「モンゴル・ハーン」は、2022年にモンゴルで初演され、その後、イギリス・ロンドン、シンガポールで上演された話題作。「モンゴル・ハーン」は、2019年に死去した作家バブー・ルハグヴァスレンが1998年に発表した「Tamgagui Tur(英題:State Without A Seal)」をもとにした作品で、ヒーロー・バートルの演出により2022年に舞台化された。本作では、約3000年前の古代モンゴル帝国を舞台にした壮大な歴史ドラマが、モンゴルの伝統楽器や歌唱法を用いた音楽、ダンス、パペットを使用した演出を交えて描かれる。
トークライブには、アンバサダーの白鵬、演出のバートル、プロデューサー兼出演者のバイラ・ベラが登壇。また、本公演の共同プロデューサーを務める龍皇昇とバイセル・エンフフグジルが通訳で参加した。まず白鵬は「『モンゴル・ハーン』の映像を拝見したのですが、非常に素晴らしい舞台で、本当に感動しました。今回、アンバサダーを務めさせていただくことを大変光栄に思っております。日本とモンゴルは、相撲やスポーツだけではなく、政治や文化的にも深いつながりがあるので、この公演を通じて、両国の絆がさらに深まることを願っております。また私個人としては、今後も、日本とモンゴルをつなぐ架け橋になるような活動をしていきたいと考えております」とあいさつした。
演出家・映像監督・イラストレーターなど、さまざまな分野で活躍するバートルは、本作の見どころについて、「昔から伝わるモンゴルの伝統的な音楽、サーカス、ダンス、アクション、あらゆる演劇的な要素がすべて含まれた、わかりやすい舞台になっていると思います」とアピール。イギリスに留学経験があり、ロンドン公演の実現に向けてプロデューサーとして尽力したベラは「『モンゴル・ハーン』には、3000年ほど前に古代モンゴル帝国を治めた架空の王アーチュグ・ハーンが登場します。このアーチュグ・ハーンという人物は、国や民のために自分を犠牲にする王。ロンドン公演でも多くの方が受け入れてくださったように、日本の観客の皆さんにも伝わりやすいストーリーになっていると思います」と日本の観客に呼びかけた。
またトークライブでは、作家のルハグヴァスレン、バートル、白鵬の縁が明らかになる場面も。バートルは「ルハグヴァスレンさんと白鵬さんのお父さんは地元が同じで、もともと交流があったんです。彼らと親交を深める中で、『Tamgagui Tur』という作品をもう一度生まれ変わらせて、世界の人々に広く知ってもらいましょう、という話になりました。『Tamgagui Tur』を『モンゴル・ハーン』として舞台化するにあたり、脚本を変更した部分はあまりなく、私のほうで演劇的な演出を追加していきました」と「モンゴル・ハーン」の制作秘話を明かす。
これを受けて白鵬は「バートルさんが制作したドキュメンタリー番組『モンゴル民族の百人の偉人』に、私と父が出演させていただいたことがあったのですが、そのときに番組MCを務めていたのがルハグヴァスレンさんだったんです。番組の撮影をしていた2016年頃から『モンゴル・ハーン』の話が動いていたとは知りませんでした。そのご縁がつながって、まさか私が『モンゴル・ハーン』のアンバサダーになるなんて」と驚いた様子を見せつつ、うれしそうに微笑んだ。
日本モンゴル友好記念事業「モンゴル・ハーン Japan Tour 2025」の公演は、10月10日から20日まで東京・東京国際フォーラム ホールC、24日から26日まで愛知・愛知県芸術劇場 大ホールで行われる。
日本モンゴル友好記念事業「モンゴル・ハーン Japan Tour 2025」
2025年10月10日(金)〜20日(月)
東京都 東京国際フォーラム ホールC
2025年10月24日(金)〜26日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
スタッフ
脚本:バブー・ルハグヴァスレン
演出:ヒーロー・バートル
出演
アーチュグ・ハーン:エルデネビレグ・ガンボルド
エゲレグ首相:ボールド・エルデネ・シュガー
ツェツェル正妃:バイラ・ベラ
ゲレル側妃:ドゥルグン・オドゥフー
アチール王子:ドルジュスレン・シャダヴ
クチール王子:サムダンプレフ・オユンサンバー
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