第36回高松宮殿下記念世界文化賞、演劇・映像部門にアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル

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第36回高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者が、本日7月15日に発表され、同日昼に東京都内で受賞者発表記者会見が行われた。

アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
Anne Teresa De Keersmaeker
© Anne Van Aerschot
Courtesy of Rosas

アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル Anne Teresa De Keersmaeker © Anne Van Aerschot Courtesy of Rosas

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高松宮殿下記念世界文化賞は、世界の優れた芸術家に贈られる賞。第36回の受賞者には、絵画部門にピーター・ドイグ、彫刻部門にパフォーマンスアートのマリーナ・アブラモヴィッチ、建築部門にエドゥアルド・ソウト・デ・モウラ、音楽部門にピアニストのアンドラーシュ・シフ、演劇・映像部門にローザスの芸術監督アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルが選ばれた。さらに、第28回若手芸術家奨励制度の対象団体として、イギリス・ロンドンを拠点に青少年に演劇のトレーニングや上演機会を提供しているナショナル・ユース・シアターが選出された。

『ワンス』2002年
Once, 2002
© Herman Sorgeloos
Courtesy of Rosas

『ワンス』2002年 Once, 2002 © Herman Sorgeloos Courtesy of Rosas[拡大]

演劇・映像部門を受賞したドゥ・ケースマイケルは、モーリス・ベジャールが創設した舞台芸術学校ムドラでバレエを学び、1983年にダンスカンパニー・ローザスを旗揚げ。日常的な動作を振付の起点とし、それを極限まで抽象化するスタイルで、音楽と身体の関係性を再構築する作風を確立した。ローザスの創設メンバーに池田扶美代がいることから、日本とも縁が深く、2004年には細川俊夫のオペラ「班女 Hanjo」を演出。来日公演も数多く行っている。なお、ダンサーが高松宮殿下記念世界文化賞で演劇・映像部門を受賞するのは、2017年のミハイル・バリシニコフ以来となる。

松岡和子

松岡和子[拡大]

演劇・映像部門の選考委員を務めた演劇評論家の松岡和子は、会見で、ドゥ・ケースマイケルの業績を説明。ドゥ・ケースマイケルが23歳のときに発表した「ローザス・ダンス・ローザス」の動きをまねた動画がYouTubeなどで投稿されていることについて言及し、「42年前の作品が、今の若い人や世界中の人たちの心を動かしているという事実が、彼女の力の1つの証」だと述べた。また、ドゥ・ケースマイケルが作品を映像化する際には、舞台の様子を収録するのではなく、映像作品として場所や人を変え、振付だけが継承されるという独特な創作をしていること、音楽との緊密な関係が作品の特徴であることを説明し、「65歳になっても、彼女の創作意欲とその力は衰えるどころかますます盛んで、今年のアヴィニョン演劇祭でも作品を上演されたと聞きました。常に挑戦する姿勢が導く先鋭的で予測不能な作風は、いつも観客をドキドキワクワクさせてくれます。先ほども申しました通り、映像化する際は映像としてどう見えるかを考え、独立して評価される作品を作っている。まさに、今回の演劇・映像部門を受賞されるに相応しい方だと思います」と話した。

ポール・ローズビー
ナショナル・ユース・シアターCEO兼芸術監督
Paul Roseby, CEO & Artistic Director,
National Youth Theatre
© The Japan Art Association / The Sankei Shimbun

ポール・ローズビー ナショナル・ユース・シアターCEO兼芸術監督 Paul Roseby, CEO & Artistic Director, National Youth Theatre © The Japan Art Association / The Sankei Shimbun[拡大]

教室でウォームアップするメンバーたち ナショナル・ユース・シアター(ロンドン北部)
2025年4月
Members warming up in the classroom.
National Youth Theatre (North London), April 2025
© The Japan Art Association / The Sankei Shimbun

教室でウォームアップするメンバーたち ナショナル・ユース・シアター(ロンドン北部) 2025年4月 Members warming up in the classroom. National Youth Theatre (North London), April 2025 © The Japan Art Association / The Sankei Shimbun[拡大]

また、若手芸術家奨励制度の対象となったナショナル・ユース・シアターは、1956年にロンドンの学校教師たちによって設立された劇団。多様な学生たちが集まって、共に演劇を学ぶことで、社会を先導していく人材の育成を目指している。障がい者支援の施設、環境保護団体の施設とも協力して活動するほか、設立70周年を迎える来年は、世界各地の若者中心の芸術団体と連携し、デジタル技術を生かしたイベントを企画している。

10月22日に東京・明治記念館にて授賞式が行われる。

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読者の反応

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唐津絵理 @eri_karatsu

発表!「第36回高松宮殿下記念世界文化賞、演劇・映像部門にアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル」
数日前にアビニヨンで取材をさせていただきました。新作も素晴らしかったです。
今回、大好きな日本での受賞について喜びを語っていらっしゃいました。10月に来日されるのも本当に楽しみです。 https://t.co/R2P9uC87pb https://t.co/rNPKrzAsm0

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