全ての回が貴重…蓬莱竜太作・演出「消えていくなら朝」スタート

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シリーズ「光景-ここから先へと-」Vol.3「消えていくなら朝」が昨日7月10日に開幕した。

シリーズ「光景-ここから先へと-」Vol.3「消えていくなら朝」より。(撮影:田中亜紀)

シリーズ「光景-ここから先へと-」Vol.3「消えていくなら朝」より。(撮影:田中亜紀)

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「消えていくなら朝」は、蓬莱竜太が2018年に新国立劇場に書き下ろした作品。今回は、すべての出演者をオーディションで決定するフルオーディション企画第7弾として、蓬莱自身の演出で上演され、大谷亮介大沼百合子関口アナン田実陽子坂東希松本哲也が出演する。

シリーズ「光景-ここから先へと-」Vol.3「消えていくなら朝」より。(撮影:田中亜紀)

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開幕に際し、蓬莱は「とにかく、どのようにこの家族が見えたのか、どう感じたのか、一人一人に聞いてまわりたい気持ちである。観る人の年齢やご家族との距離感によって印象は様々ではないだろうか。どこに観客を連れて行こうとか、何を持ち帰ってもらおうとか、そのような目的が一切ない、僕の作品の中で唯一のものかもしれない。ただひたすら家族の会話に終始する。きっとこれから毎公演、違う夜を越えて違う朝を迎えるのだろうと思います。全ての回が貴重だと思います」とコメント。

羽田家の父・庄次郎役の大谷は「『家族』というものは、我々人間の、最も身近で、最も深く、最も長い時間を過ごす関係です。実際に血が繋がっていようがいまいが、そこには、愛があり、憎しみもあり、喜びがあり、悲しみもあります。我々、六人の役者が演じる『家族』の芝居が、観客の皆様にとって、時々忘れそうになる『自分』を思い出す...... そんな時間になりますように、役者一同、魂籠めて演じます」、母・君江役の大沼は「昨年のオーディションを経て出逢うことが出来たメンバーと共に、時間を積み重ねこの物語を大切に紡いできました。言い争いばかりの羽田家を演じているうちに、不思議な繋がりや愛おしさが育まれていったように思います。家族というものも、そういうものなのでしょうか。そんな私たち家族のたった一夜の出来事を、劇場でご覧いただけましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます」と思いを語る。

シリーズ「光景-ここから先へと-」Vol.3「消えていくなら朝」より。(撮影:田中亜紀)

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羽田家の次男・定男(僕)役の関口は「今日、ひとつの朝を迎えました。オーディションから1年以上を経て、この日を迎えられること、心から嬉しく思います。明日からまた夜に戻り、朝がやってきます。“家族”と“僕”と“彼女”。6人の思いが交錯する、一夜の物語。家族だからこそ伝えられなかったこと、気づけないことがある。けれど、続いていく。この物語も27日まで続いていきます。どうか羽田家の隣人として、この一夜を見届けていただけたらと思います」と思いを語る。羽田家の末っ子・可奈役の田実は「このチームで無事初日を迎えられましたこと、本当に幸せです。『家族』を作ることの難しさを日々感じるお稽古でした。家族の会話のリズム、目線、空気感などは言葉にし難いものです。初日を終え改めて、千穐楽まで積み上げ続けたいと思いました。お客様に少しでも他人の家を覗き見する楽しさを感じていただけますように。本作は、家族や育った環境の数だけ受け取っていただくものが違うと思います。色々なご感想をぜひ伺いたいです。ご来場を心よりお待ちしております」と観客にメッセージを送る。

シリーズ「光景-ここから先へと-」Vol.3「消えていくなら朝」チラシ

シリーズ「光景-ここから先へと-」Vol.3「消えていくなら朝」チラシ[拡大]

定男の彼女・才谷レイ役の坂東は「この作品はどうしても自分ごとになってしまう時間が多かった気がします。最初は作品の言葉にたくさん喰らってしまって落ち込むことも多くて、愛とは、家族とは、仕事とは、いろんなことを立ち止まって考える時間になりました。たまに私的な感情が出てきてしまったりする中で、その瞬間は自己満足になってしまう可能性も秘めていて、そしてそれはすごく寒い話で、やっぱり、表現の仕事をする上で少しでも誰かの日々を良くしたい。そうしたいし、そうあるべきだ。と思いました。答えのないゴールのない芝居だと思うのですが、稽古の日々を過ごす中で人って本当に大切な人やものには全力でぶつかっていってしまうんだなとそれこそ愛だなと、羽田家をみていてたくさんの愛を感じました。毎公演誰かの日々を一歩でも前に進められるような時間にしたいなと思います」と意気込みを語り、羽田家の長男・庄吾役を演じる松本は「初日の幕が開きました。オーディションから始まり、一年以上かけて皆で創ってきた大切な作品です。この物語で描かれる羽田家のことだけじゃなく、自分の家族や身近な人の家族にも想いを巡らせた稽古期間でした。それは公演中も続くし、公演後もきっとそうだろうと思っています。家族って、ややこしいけど、シンプルで、だけどやっぱりややこしい。この作品を観たお客様が、家族との関わりについて考えるきっかけになれば幸いです」と作品への思いを語った。

上演時間は約2時間5分で、公演は7月27日まで。

ステージナタリーでは現在、本作の特集を展開中。特集には、蓬莱と出演者6名のインタビューを掲載している。

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シリーズ「光景-ここから先へと-」Vol.3「消えていくなら朝」

2025年7月10日(木)〜27日(日)
東京都 新国立劇場 小劇場

スタッフ

作・演出:蓬莱竜太

出演

大谷亮介 / 大沼百合子 / 関口アナン / 田実陽子 / 坂東希 / 松本哲也

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