東京・世田谷パブリックシアターでは、新たに国内の若手クリエイターを育成し、国際的に作品を発信していくことを目的とした「あたらしい国際交流プログラム」を始動させた。今回は同プログラムの先陣を切る作品として、ポルトガル出身のティアゴ・ロドリゲスによる「不可能の限りにおいて」が
既報の通り、本作の上演は2月に行われた世田谷パブリックシアターの2025年度ラインナップ発表会で告知されていたが、このたび出演者が明らかに。
国際赤十字社や国境なき医師団の支援者たちの証言をもとに構成された本作では、戦場や人道支援の現場での体験が多層的に描かれる。登場人物たちはそれぞれの視点から支援活動の現実を語り……。
上演に際し演出の生田は「ハードな作品ではありますが、『この作品に描かれていることは、今もこの世界で起きているのだ』、ということを客席とシェアするための、心強い仲間が揃いました。私たちも全力で取り組みますので、劇場に是非お越しください」と語った。チケットの一般販売は7月5日10:00にスタート。生田のコメント全文と、キャストからのメッセージは以下の通り。
生田みゆきコメント
「あたらしい国際交流プログラム」の一環としてこの作品を取り上げるにあたり、俳優の皆様と共に1週間近くかけて丁寧なワークショップを行いました。ワークショップでは、ドキュメンタリー色の強い本作をリーディングという形で取り上げることを意識し、試しに「役」になるということをなるべく排除して言葉を紡いでいただきました。すると、様々なフィールドで活躍している俳優の皆さんが、普段どういうことを考えていて、何に心動かされているのか、或いは何が分からなくて戸惑っているのかが自然と見えてきて、とても密度の高いコミュニケーションが取れました。得難い出会いをたくさんいただいたと思っております。
ハードな作品ではありますが、「この作品に描かれていることは、今もこの世界で起きているのだ」、ということを客席とシェアするための、心強い仲間が揃いました。私たちも全力で取り組みますので、劇場に是非お越しください。
清島千楓コメント
私にとって、初めてのリーディング公演。喜びと共に色んな感情が入り混じっています。
ワークショップオーディションの場で触れさせていただいた、紛争地域で人道支援をされる人たちのお話に衝撃を受けました。
演技経験の少ない私が今回の機会をいただけたのは、生まれ育った沖縄で見てきた平和への想いも併せて届けるためかもしれない、と思っています。
この作品が、今この瞬間も戦禍で苦しむ人たちがいる事実に気付くきっかけになれるよう、精一杯努めます。
萩原亮介コメント
「そもそもリーディングってなんだ?」から始まったワークショップは、スタートから参加者の皆様の持つ様々な経験や想像力が惜しみなく持ち寄られる光景が印象的でした。
そんな中「初見で感じたことを胸に留めておいて」という言葉と共に手渡された今回の戯曲。冒頭から引き込まれていった感覚、次の行へ進むのを躊躇(ためら)いただ息を整えた瞬間。
彼らの言葉をどのように届けることができるのか、精一杯探したいと思います。
前東美菜子コメント
オーディションのとき「これを声に出して読んだら泣いちゃうかもな」と思いながら練習して、やっぱり泣いてしまいました。でも同時に、これを読んで泣いている自分が、耐えられないほど傲慢だとも思いました。
今は快適な部屋で、暖かいお茶を飲みながら、テキストに向き合っています。まだどうすればいいのか私一人ではわかりません。みんなで考えたら、何か形になるかもしれません!
南沢奈央コメント
国際赤十字社と国境なき医師団の方々へのインタビューをもとに作られた本作品。語られるのは、なかなか想像も及ばない、あまりに過酷な世界で、でもそれは現実だということが突きつけられます。その生々しい言葉の数々を、今回は演じるのではなく、“リーディング”で伝えていくことになります。作品の内容はもちろん、リーディング公演である意義も考えながら、これまで多くの作品で戦争と向き合ってこられた生田さんとともに、リスペクトを持って築いていきたいと思っています。
薬丸翔コメント
オーディションの情報を頂いた時に、凄く心が躍ったのを今でも覚えています。が、オーディションに参加して自分の想像力が足りなかったことを感じたことも覚えています。自分がこの作品に参加する意味をオーディションの5日間で考えさせられ、考えれば考えるほど、怖さを感じました。でもその怖さと比例して、作品に参加する意義も増長していきました。今必要なのは覚悟だと。あくまで真摯に、誠意を持って稽古、本番に臨みます。
山本圭祐コメント
紛争地域に従事されている方々のインタビュー。それはドキュメンタリーです。生の言葉で、それを俳優がリーディングする。
めっちゃ難しい。どうすればいいんだろうか。
頼もしい生田さん、共演者の皆さんと話し合いながら意見をぶつけ合いながら、作れるのを楽しみにしています。
劇場でお待ちしています。
渡邊りょうコメント
ワークショップで印象に残ったのが「当事者として演じる資格があるのだろうか」という問いです。紛争地へ赴いた方の経験から語られるこの戯曲は、日本人の自分の経験からは遠く、役者としてパッと演じようもんなら途端に厚かましくなってしまいます。役者としての演じる欲求から離れ、語られた言葉を自分として伝えていくことで事実とフィクションがシームレスに繋がって、その瞬間の真実を生み出していくような挑戦でした。
市川理矩コメント
今回のワークショップに参加し、楽しく、濃厚な時間を過ごしました。
生田さんの演出は的確で、ユーモアがあり、自分もそれに応えたいと強く思い、ワークショップに挑みました。この熱量を忘れず、キャストの皆さんから刺激を貰い、与え、毎日切磋琢磨し「不可能の限りにおいて」をより良い作品にできるよう稽古に励みます。
岡本圭人コメント
「不可能の限りにおいて」は、国境なき医師団と国際赤十字社の人道支援者の証言をもとに書かれた演劇作品です。SHIZUOKA せかい演劇祭 2025でオリジナル版の演出を拝見いたしましたが、とても感銘を受け、この作品こそ1人でも多くの方々に届けるべきだと心から思いました。ワークショップオーディションを受け、作品に参加できることを光栄に思っています。私たちには何が「可能」で、何が「不可能」なのか……
答えを出すのは難しい問いではありますが、皆様にお話を知っていただけることで、少しでも可能性を広げていただけることを願っています。
川辺邦弘コメント
リーディング公演は過去に2回程出演したことがありますが、今回、ワークショップを受けてみて今までのリーディング公演とは一味違う感覚を覚え、とても刺激を受けました。俳優とは役に寄り添い演じるわけですが、今回のリーディングは役になるという感覚ではなく(私自身が感じるものを表現するというか)上手く言葉に出来ないですが、俳優として初めての試みのような気がしています。
小林春世コメント
ワークショップオーディションで1番印象的だったのは、演出の生田さんから参加者に提示された、「当事者になることなんてできるのだろうか」という問いでした。それを考えながら台本と向き合った数日後、リーディングという形での上演に、意味や、おもしろさがあると感じました。今はお稽古開始前ですが、ワークショップを通して、既に仲間のような気持ちを感じている共演者の方々との再会が楽しみです。ご期待ください。
小山萌子コメント
この作品のワークショップオーディションに参加した時に演出家の生田さんが「間(あわい)でやって欲しい」と言った言葉が忘れられない。
直ぐに役を演じようとせずに、自分と役をグラデーションみたいにして演ずるという意味合いだと思っています。
今回チャレンジする、この「間(あわい)」が稽古を通してどのような花をひらくのか、本番でこの「間(あわい)」が観客の皆様にどう届くのか、今から楽しみで仕方がない!
万里紗コメント
この作品の言葉達を前に、私自身に属した思いや願いを口にすることができません。しかし、この名前も知らない誰かが語った言葉を、名前も知らない誰かに手渡したいと、ただ駆り立てられています。この作品の時間を劇場で共有した人々が、重い足を引きずるように帰路につくのか、或いは背負い続けてきた苦悩を下ろすことのできる場所を見つけるのか。予想もつかないうねりを真摯に覚悟して、皆様と作って参りたいと思います。
森準人コメント
ワークショップで演出の生田さんから提示されたアプローチはこれまで試したことのないもので好奇心と面食らった気持ちとが混ざり合った状態でしたが、いざそれで本を読んでみると「そういうことかー!!」と。
今回は演者ですが、出来上がった作品をお客さんとしても前から見てみたいなあと言う気持ちにさせてくれる言葉を持っている生田さんとの稽古場をとても楽しみにしています。
あたらしい国際交流プログラム リーディング公演「不可能の限りにおいて」
2025年8月8日(金)〜11日(月・祝)
東京都 シアタートラム
スタッフ
作:ティアゴ・ロドリゲス
翻訳:藤井慎太郎
演出:
出演
Aチーム
清島千楓 /
サポートキャスト:
Bチーム
市川理矩 / 岡本圭人 / 川辺邦弘 / 小林春世 / 小山萌子 / 万里紗 / 森準人
サポートキャスト:萩原亮介 / 前東美菜子 / 南沢奈央 / 薬丸翔 / 山本圭祐 / 渡邊りょう
ももんも🍑おJUMP ジョジョ ピューロ @9F8HWYPN9IrC4R2
おお……またなんか難しそうな…… https://t.co/EwHQaH1124