“誰1人取り残さない劇場”目指す愛知県芸術劇場、専属ダンスアーティストに酒井はな・島地保武ら

愛知県芸術劇場ラインナップ2025及び劇場専属のダンスアーティスト記者会見が、昨日4月14日に愛知・愛知県芸術劇場とオンラインにて行われた。

会見には、愛知県芸術劇場芸術監督 / アーティスティックディレクターを務める唐津絵理、愛知県芸術劇場ダンスアーティストの酒井はな、島地保武、Nullの岡田玲奈、黒田勇が出席。なお、愛知県芸術劇場ダンスアーティストの三東瑠璃は体調不良により欠席となった。

唐津は「当劇場では、“世界への窓”“県民の広場”という基本理念を掲げ、ダンス、音楽、オペラ、演劇といった多彩なジャンルの優れた作品をお届けすると共に、新たな作品の創造・普及、そして次世代のアーティストの育成を行っております。“世界への窓”は、単に海外の作品を招聘するという意味だけではありません。観客の皆様がこれまで知らなかった表現や価値観に触れ、ご自身の感覚を広げていくための“窓”であり、未知の世界と出会うための開かれた場でありたい、という意味が込められています」と説明しつつ、2025年度に同劇場が取り組む自主事業のラインナップを発表。唐津は“世界への窓”を象徴する作品として、ダンスとアニメーションが融合したアクラム・カーン「ジャングル・ブック」、オランダを拠点に活動するネザーランド・ダンス・シアター（NDT）より、NDT2が約20年ぶりに来日するNDT2 [Nederlands Dans Theater]「ネザーランド・ダンス・シアター 来日公演」を紹介した。

また唐津は、新たな作品を創造・発信する事業として、岡田利規が作・演出を手がけ、中村恩恵、酒井、島地らが出演するダンス兼演劇作品「ダンスの審査員のダンス」、神奈川・Dance Base Yokohamaと連携したプロジェクト「パフォーミングアーツ・セレクション2025 あいちダンスフェスティバル2025（仮）」、若手アーティストの発掘と育成を目指した新プロジェクト「公募プログラム AICHI NEXT: Performing Arts Project」を行うことを発表した。「パフォーミングアーツ・セレクション2025 あいちダンスフェスティバル2025（仮）」には、阿目虎南、岩渕貞太、小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク、柿崎麻莉子、高橋萌登、三東が参加。「AICHI NEXT: Performing Arts Project」には、敷地理とハイドロブラストが採択されたほか、チャレンジ枠として愛知県にゆかりのある4組が登場する。

さらに唐津は、同劇場の基本理念の1つである“県民の広場”にも言及し、「劇場は作品を上演する場であると同時に、地域の文化拠点として人々が集い、交流する場でもあります。“誰1人取り残さない劇場”を目指し、さまざまな工夫を凝らしてまいります」とコメント。毎年恒例となった劇場無料イベント「愛知県芸術劇場オープンハウス」、アクセシビリティの強化、ハラスメント対策、字幕サービスや託児サポート、バリアフリー化を充実させることなどを目標に掲げた。

続いて唐津は、新設されたプロジェクト「Constellation（コンステレーション）」について説明。英語で“星座”を意味する「Constellation」では、愛知県芸術劇場ダンスアーティストに選出された表現者と、同劇場が一定期間密接に関わり合いながら、創作・発表・交流を行う。現段階で、愛知県芸術劇場ダンスアーティストの任期は2年を予定している。

そして、愛知県芸術劇場ダンスアーティストの面々があいさつ。酒井は「県民の皆さんが楽しめて、健康になることができるダンス、バレエ、舞台芸術に取り組みたい」、島地は「皆さんと一緒にやってみたいのは、感度を高めること。今、世の中でどんなことが起きているかを察知して、密な環境で議論し、発信していけたら」と意気込みを語る。愛知にある至学館大学出身の岡田と黒田は、共に「縁の深い愛知県で、専属ダンスアーティストとして活動できることをうれしく思います」と喜びを明かした。