「
chipokkeは、
上演に向け、嶺は「全て何もかもなかったんだね。嘘だったんだね。昔言った言葉があった。本当は、そんなことなかったんだなと思った。その場所は確かに存在していた、今はなくてもいなくてもその人には見えるし、僕にも見える。だから、何もない世界なんてないんだなと思いました。何かが見えると良いなと思います」、宮本は「当たり前にあったものが、そこにはもうないことの喪失感。そして求める明日。この戯曲に出会ったとき、温かい血が通う感覚がありました。この温かくなった身体はなんだろう。この世に生まれ、死にゆく者たちへの太田さんの贈り物のような言葉たちを、なにもかもなくなった更地に息を吹かせることが出来るだろうか、大きな覚悟を背負って挑戦致します。信頼する越川さんの演出のもと、嶺さんと私にしか描けない『更地』を表現したいです」とそれぞれ思いを述べた。
越川のコメントは以下の通り。
越川道夫コメント
太田省吾作、演出の「更地」の初演は、1992年。27歳の私は縁があって、その稽古場助手でした。「小町風伝」「水の駅」「地の駅」「風の駅」など、ずっと太田さんが主宰する転形劇場の作品を見続けてきた私は、その演出の「秘密」が知りたくて助手の仕事を一も二もなく引き受けたのです。結論を言えば、その「秘密」はひとつも分かりませんでした。なぜそうなるのかも理解できないまま、「更地」が「魔法」のように素晴らしい演劇として育っていくのを、私は目の当たりにしたのです。「沈黙劇」と呼ばれる転形劇場の作品が、どのように作られていたのか「更地」の出演者であり、転形劇場のメンバーであった瀬川哲也さんに質問したことがあります。瀬川さんはしばらく考えた後、その台本には初め台詞があったこと、様々な作業を経るうちに台詞が消えていったことを教えてくれました。だから、瀬川さんは言うのです、どのようにと言うことはできない、「魔法」だと思って欲しい、と。後年、その瀬川さんの話をすると、やはり転形のメンバーだった大杉漣さんは、そりゃ、瀬川さん、カッコ良すぎるなー、と大笑された。私は、ずっと「更地」にこだわってきました。太田さんも、瀬川さんも、女を演じた岸田今日子さんも、もういません。いつかは「更地」と思ってるんだ、と話してくれた大杉さんも早く逝ってしまわれました。今回、嶺豪一、宮本なつと、わたしたちの「更地」を探し、太田さんの言葉と向き合いたいと思います。「秘密」は何もありません。
chipokke 第1回公演「更地」
2024年11月8日(金)~2024年11月10日(日)
東京都 SCOOL
スタッフ
出演
※U25チケットあり。11月9日14:00開演回は託児付き鑑賞回。
ステージナタリー @stage_natalie
chipokke、越川道夫演出で太田省吾「更地」立ち上げる 夫婦役は嶺豪一・宮本なつ(コメントあり)
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