これは、異なる専門性や価値観を持つ者同士の対話を通して、挑戦的な芸術文化を創造するために京都芸術センターが行っている”Co-program”の、2025 カテゴリーAに採択された
また本企画を担当する京都芸術センターの谷竜一は「演劇はときに、共有しようのないような幻想を、その時そこにいる人たちが、ともに受け持つ技術としての側面をみせてくれます。確かに起きているが、とてもじゃないが個人が認識し把握することが難しい出来事が、身近に迫っている昨今、不安定で抽象的で個人的なことを話すことは、信用ならないことに思えるかもしれません。けれど、そうしたことが『あった』ということについては、二人の俳優がしっかりと案内してくれると思います」「かわいいとか面白いだとか変だとか、そういうフワフワとした、でもとても大事なものを、ご来場のみなさんともともに観られることを、心から楽しみにしています」語った。上演時間は約1時間20分。公演は5月18日まで行われる。
ルサンチカ コメント
2023年の公演中止を経て、2024年の戸山公園での野外上演、あいだにインタビューを用いた新作「まさらまち」を挟みながら今回の京都公演まで、ルサンチカでは「更地」を作り続けてきました。出演者や会場が変われば当然演出は変化することになり、そのたびに「更地」は新しい気づきを届けてくれます。そんな変化の中で、初演から変わることなく挑み続けているのが、出演者がツアーガイドのように観客に戯曲を伝えていく、という試みです。「更地」という戯曲を「モニュメント」に見立て、出演者がツアーガイドとして観客を案内し、時には一緒にモニュメントを見つめ、考える。この「更地」ツアーが、どうやって立ち上がり、そして私たちを連れてどこに行くのか、ぜひ会場で目撃してください。ツアーの出発地は、京都芸術センターのフリースペースです。お間違えのないようお気をつけて! 皆様とお会いできること、心から楽しみにお待ちしております。
谷竜一(京都芸術センター) コメント
ルサンチカから京都芸術センターに当初提案されたプランは、太田省吾が1992年に初演した「更地」が、映画「ゴジラ」の中で、ゴジラが踏み荒らした東京の「更地」から着想を得たと言われていることをもとに、「いつか起こってしまうだろうと思ってはいるものの、それが今日だと誰も考えていないものが、現実には起こり続けて」いることを念頭に、この戯曲を上演する、というものでした。
ただし、太田省吾と当時のチームがが本当に「ゴジラ」を参照していたのかについては、一向に謎のままです。それは過去にあったことですから、どうしても私たちが検証できる程度を超えてしまっています。
2024年に施設改修が決定したため本公演の延期を決定し、議論を重ねていく中で、わたしたちのチーム自体も、それほど「ゴジラ」を共有しているわけではない、とわかってきました。それから、ルサンチカと京都芸術センターは、このモチーフを「ポケモン」にスライドしたり、「ピクミン」の話をしたりしながら、上演のプランを検討しました。
プレ企画として「まさらまち」という三人の俳優へのインタビューに基づく作品を制作しました。そこには私もまったく知らない、そして立ち入る余地のない生活がありました。今回の「更地」は、そうした表に出ないささやかな歴史に支えられている上演です。
演劇はときに、共有しようのないような幻想を、その時そこにいる人たちが、ともに受け持つ技術としての側面をみせてくれます。
確かに起きているが、とてもじゃないが個人が認識し把握することが難しい出来事が、身近に迫っている昨今、不安定で抽象的で個人的なことを話すことは、信用ならないことに思えるかもしれません。けれど、そうしたことが「あった」ということについては、二人の俳優がしっかりと案内してくれると思います。ですので、最終的な上演には、ゴジラもポケモンもピクミンも特に出てこないのですが、さまざまな感情やすれ違い、知らなかったことなどはたくさん出てくる上演になると思います。
かわいいとか面白いだとか変だとか、そういうフワフワとした、でもとても大事なものを、ご来場のみなさんともともに観られることを、心から楽しみにしています。
ルサンチカ「更地」
2025年5月15日(木)〜18日(日)
京都府 京都芸術センター フリースペース
スタッフ
出演
※25歳以下割引あり。
中村彩乃 @clabchopper
🏠️ルサンチカ『更地』🏠️
いよいよ明日から開幕です!
ナタリーに舞台写真、コメントを掲載いただきました。今作のことが的確にまとまっています。
もしよかったらご一読ください👀 https://t.co/XbnLAEmqig