本日4月8日に東京・紀伊國屋ホールで
「鯨よ!私の手に乗れ」は2017年に初演された作品で、かつて同じ劇団に所属し、今では程度の違いはあれど認知症を患う老女たちの姿が描かれる。2003年に初演、2007年に再演された「りぼん」は、戦前戦後の時代を行き来しながら、希望を持って生きようとする女性たちの物語が展開する。2作とも、2020年に上演が予定されていたが、新型コロナウィルスの影響で中止となり、来年1月に連続上演の機会を得た。
来年1月5日に古稀を迎える渡辺は、「年を取った自覚はないのですが、70歳を迎えてやり残したことをがんばってやっていこうと考えました」と言い、山形県から上京して以降、演劇を通して世界平和や女性のための活動・発信を続けてきたことを振り返った。今回上演する2作については、反戦色が強いこと、女性の立場が描かれていることを共通項を挙げる。「『りぼん』は差別問題、戦後娼婦として働かされた女性たち、その子供など、今では日が当たらなくなってしまった問題を書きたいと思って執筆した作品です。米兵相手の日本人娼婦が射殺されたという記事と、戸川昌子さんの小説『大いなる幻影』をモチーフにしています。いつまでも上演したい作品ですが、体力面や公演にかかる費用など、自分が演出を担って上演するのは、70歳が限界かなと」と明かした。一方、「『鯨よ!~』は、母が介護施設に入ったときの実話をもとにした作品。戦時中に苦労してきた人たちが、まるでモノのように扱われてしまう、そのやるせなさを描きたいと思いました」と語る。また、今回の連続上演では若手俳優のオーディションが行われる。さらに、出演者に合わせて役を増やし、現代の社会情勢を反映させて、加筆するという。
記者から自身の七十代のイメージを問われると、「69歳にして、世の中に少しずつ慣れてきました(笑)。趣味と仕事の境もわかるようになってきて、私に見えている世界が他人にも同じように見ているわけではないと気付くことができた。大人になったのではないかな」と内省。2作連続上演に向けて、「今後はシニア世代が活躍していく時代。私の芝居を観て『元気になった』と言ってくださるお客さんがたくさんいるのですが、その人たちのためにもがんばらなければ。加えて、若い人たち、演劇を始めたいと思っている人たち、生きづらさを抱えている人たちに、ぜひ観ていただきたいです」と呼びかけた。
なお、渡辺は現在、紀伊國屋ホールで去る4月6日に開幕した、
オフィス3〇〇「鯨よ!私の手に乗れ」
2025年1月8日(水)~19日(日)
東京都 本多劇場
スタッフ
作・演出:
オフィス3〇〇「りぼん」
2025年1月8日(水)~19日(日)
東京都 本多劇場
2025年1月22日(水)
山形県 山形市民会館
スタッフ
作・演出:渡辺えり
さるすべり
2024年4月6日(土)〜15日(月) ※公演終了
東京都 紀伊國屋ホール
スタッフ
作・演出:渡辺えり
出演
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