「赤穂義士外伝」2カ月連続上演に向け、尾上松緑ら泉岳寺で墓参り「みんなで歌舞伎を盛り上げたい」

東京・歌舞伎座で12月から行われる尾上松緑主演「赤穂義士外伝」2カ月連続上演に向け、松緑をはじめ、坂東亀蔵、尾上左近、演出の西森英行、脚本の竹柴潤一が昨日11月26日に赤穂義士ゆかりの東京・泉岳寺で墓参りを行った。

昨年10月、講談をもとにした新作歌舞伎「荒川十太夫」が松緑主演で初演され、大谷竹次郎賞や文化庁芸術祭賞・芸術祭優秀賞を受賞。作中では、赤穂義士討入りの後日譚が描かれた。今回の「赤穂義士外伝」2カ月連続上演では、12月の第二部にて、赤穂義士による討入り前夜と当日の物語である「俵星玄蕃」が初演され、1月の昼の部にて「荒川十太夫」が再演される。

5人は泉岳寺の山門にて写真撮影をしたのち、浅野内匠頭の墓前で法要を行い、四十七士の墓を参った。また、松緑は大石内蔵助の墓、亀蔵は「俵星玄蕃」で演じる杉野十平次の墓、左近は両作品で演じる大石主税の墓にそれぞれ卒塔婆を立て、手を合わせた。松緑は「これまで何度も来ている場所ですが、泉岳寺に来るということは、忠臣蔵に関わりのある公演をさせていただけているということでもあるのでありがたい」と述べ、「昨年上演した『荒川十太夫』がお客様に喜んでいただけたことが、2つ目となる『俵星玄蕃』につながりました。気心の知れた何でも言い合えるようなメンバーでやっておりますので、これからも新作物に限らず、みんなで歌舞伎を盛り上げたいです。年末に昔のように『忠臣蔵』がテレビなどでかからなくなっていますが、こういった古き良き日本の物語があるということをお客様に楽しんでもらえるようにがんばりますので、応援してもらえれば」と呼びかけた。

亀蔵は「去年の『荒川十太夫』は、どうなるかが自分たちでもわからなかったのですが、舞台稽古で観た幕内のみんなが『良かったよ』と言ってくれたことが自信につながり、幕が開いてからはお客様から『良いお芝居で泣けました』『良いお殿様ですね』と言っていただきうれしかった。今回は第2弾ということでプレッシャーはありますが、みんなで良いものを作っていければ」と意気込む。大石内蔵助の息子・大石主税を2カ月連続で勤める左近は「大石主税さんは、最年少で討入りに臨み、最初に抜け穴に飛び込んでいったと言われる人物。その勇猛果敢な闘志に、思いの強さ、忠義の素晴らしさを感じます。私は年齢も近く、そのような方を勤めさせていただけることをとても光栄に思います」と述べた。

西森は昨年の「荒川十太夫」に続いて今回も参加する出演者・スタッフのチームを「松緑さんを筆頭に、常に妥協せぬ、ベストは何かを考え続ける素晴らしいチームです。その中でやれることは至上の喜びです」と語る。竹柴は「昨年の『荒川十太夫』は神田松鯉先生の御作を舞台にするということで、良くも悪くも寄りかかってできましたが、今回の『俵星玄蕃』は皆様の意見、皆様のお力をもらいながら、お客様に楽しんでいただける作品を作っていきたいと思います。初心忘るべからず、狂言作者としての仕事ができれば」と気合いを口にした。

「俵星玄蕃」が披露される「十二月大歌舞伎」は12月3日から26日まで、「荒川十太夫」が披露される「壽 初春大歌舞伎」は1月2日から27日まで、それぞれ歌舞伎座にて上演される。