新国立劇場バレエ団「ジゼル」芸術監督の吉田都が初演出「ブリティッシュバレエを大切に」

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10月に上演される、新国立劇場バレエ団の「ジゼル<新制作>」制作発表が、昨日10月3日に行われた。

左から池田理沙子、木村優里、吉田都、アラスター・マリオット、福岡雄大、速水渉悟。

左から池田理沙子、木村優里、吉田都、アラスター・マリオット、福岡雄大、速水渉悟。

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2022/2023シーズン 新国立劇場開場25周年記念公演 新国立劇場バレエ団「ジゼル<新制作>」ビジュアル

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新国立劇場開場25周年を飾る「ジゼル<新制作>」では、舞踊芸術監督就任2年目となる吉田都が初めて演出を手がける。元英国ロイヤル・バレエ団の振付家アラスター・マリオットが改訂振付を担い、アドルフ・アダンの音楽による19世紀の名作バレエを新たに立ち上げる。

「ジゼル」では、実はほかに婚約者がいる恋人・アルブレヒトに裏切られた村娘のジゼルが、錯乱して息絶え、亡霊となってなおアルブレヒトを守り通す姿が描かれる。今回のプロダクションでは舞台美術・衣裳が一新され、新国立劇場バレエ団で「火の鳥」「アラジン」を担当した舞台美術家ディック・バードが、ヨーロッパのキリスト教と土着の文化の狭間にある世界観をデザインで表現する。

吉田都

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吉田はまず、制作発表の場が設けられたことに感謝を述べ、「サー・ピーター(・ライト)の『ジゼル』で育った私にとって、若いときから主役をいただいたり、すべての役を踊ってきた、とても大切な作品です」と思いを語り、「ジゼル」の魅力を「原型を留めたまま、これだけ長く踊り継がれている作品はなかなかない」と言い切る。「それは現在でも共感できる部分がたくさん入っているからで、サー・ピーターが魅せられた『ジゼル』の踊り手・ウラノワが言うには、詩情や純潔、人間の知性、信頼、勇気などといった力強いメッセージ性が強くあるから。それらがお客様に伝わればと思います。ダンサーにとっては1幕と2幕の生と死の踊り分けは、踊り甲斐があります」と説明し、マリオットが特に1幕の演技に力を入れて創作している旨を伝えた。

また稽古開始までに膨大な下準備をしていたというマリオットやバードと共に、意見を交わしながら作り上げているそうで、マリオットとは「サー・ピーターのコピーを作るのではないけれど、ブリティッシュバレエを大切にしたいので、演劇性を重要視して稽古を進めています」と明かす。吉田は稽古後も「こうしてほしい!という思いが募って、夜も連絡してしまうので、面倒くさい女だと思われているかもしれません」と冗談めかしながら、その充実ぶりを語った。演出については「私自身がクラシックバレエにこだわってきているので、そこはきっちりと守りつつ、お客さまによりストーリーが伝わるような演技、表現にできるよう作っている最中です。そのような仕上がりになったらうれしいなと思います」と語った。

アラスター・マリオット(右)

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制作発表にはマリオットも登壇。吉田について「踊りが洗礼された、とてもクリーンなダンサーで、彼女の持つ音楽性と動きは正にイギリスのスターと呼ぶのにふさわしい。また、自分がほしいものが明確にわかっているので、仕事を一緒にするにはとてもやりやすい仲間です」と讃える。振付については「古典作品に新しく振付をする機会はあまりないので、その場を与えてくれた都には感謝しています」と喜び、「『ジゼル』にはモダンな解釈もありますが彼女が求めているのはそういうものではなかった。(英国ロイヤル・バレエ団という)共通のバックグラウンドを持った私たちが同じ風景を見ていることが大切で、今回は、演技をすること、踊ること、イギリスのスタイルを正統に受け継ぎながら作品を作っていくことが明確なゴール。衣裳から舞台装置に至るまで、すべてにそのことが言えます。加えて、舞台上のダンサーがそれぞれの人物のことを深く知っている、そんなしっかりとしたものが今、出来上がってきていると感じます」と話す。

左から木村優里、福岡雄大。

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左から池田理沙子、速水渉悟。

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さらにジゼル役、アルブレヒト役を演じるダンサー4名が登場。過去にも「ジゼル」に出演し、今回、プリンシパルに昇格して初めての作品となる木村優里は「マリオットさんのご指導によって舞台全体のキャラクターが明確になった気がしています。1幕の村人たちの境遇や生活、私たちの掛け合いがよりナチュラルで、日常に近い感じに。(福岡)雄大さんはいつも明確なビジョンを指し示してくださるので、とてもありがたく、楽しみにしています」、また福岡雄大はマリオットの振付について「目線の配り方など、些細だけど舞台で観るとすごく効果的なことを教えていただいています。演劇的な要素が多く、『ロミオとジュリエット』や『マノン』など英国風なドラマチックさが最高な状態で仕上がるように練習しているところです」と語った。「ジゼル」初主演となり、ペザントも務める池田理沙子と速水渉悟は、「今回、ペザント パ・ド・ドゥはテクニカルな面でもハードな構成になっていますが、物語が進む中で盛り上がるシーンの1つなので、2人でがんばっていきたいと思います。速水さんとはお互い初めての挑戦になるので、毎日細かく話し合いながらリハーサルに臨んでいます」(池田)、「大切なところは残しながら自分なりのアルブレヒトを考えながらリハーサルしています。ただ見つめ合うシーンでも何を考えているか、どういった仕草をすると観客に伝わりやすいかを話し合いながら作っています。ペザントではキャラクター性もまったく違うので、ぜひどちらも観に来てください」(速水)とそれぞれ意気込みを述べた。

公演は10月21日から30日まで東京・新国立劇場 オペラパレスにて。チケットは発売中だ。

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2022/2023シーズン 新国立劇場開場25周年記念公演 新国立劇場バレエ団「ジゼル<新制作>」

2022年10月21日(金)~30日(日)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

振付:ジャン・コラリ、ジュール・ペロー、マリウス・プティパ
演出:吉田都
改訂振付:アラスター・マリオット
音楽:アドルフ・アダン
指揮:アレクセイ・バクラン、冨田実里
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

キャスト

ジゼル:小野絢子、柴山紗帆、木村優里、米沢唯、池田理沙子
アルブレヒト:奥村康祐、井澤駿、福岡雄大、渡邊峻郁、速水渉悟
ヒラリオン:福田圭吾、中家正博、木下嘉人、中島駿野
ミルタ:寺田亜沙子、根岸祐衣、中島春菜
ペザント パ・ド・ドゥ:池田理沙子、速水渉悟、奥田花純、中島瑞生、五月女遥、佐野和輝、飯野萌子、山田悠貴

ほか新国立劇場バレエ団

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