本作は1990年にアイルランド・ダブリンで初演され、オリヴィエ賞演劇部門の作品賞、トニー賞の演劇作品賞などを受賞した作品。映画化もされており、1993年には劇団民藝により「ルナサの祭りの日に」のタイトルで日本初演された。今回は民藝の長木彩が翻訳を務め、演出を温泉ドラゴンの
舞台は1936年の夏、アイルランド北西部。マンディ家の5人姉妹は、村外れでつましく暮らしていた。あるとき一家のもとへ、25年間アフリカで働いていた長男のジャック神父が無残な姿で帰ってくる。姉妹はかつて一緒に踊った8月の収穫祭(ルナサ)の日々を懐かしみ、次女のマギーはラジオから流れる音楽に身を任せて踊りだす。つられて姉妹たちもダンスに夢中になり感情を解き放つが、マイケルの父親ジェリーが突然現れて……。チラシには「今年こそ、ここではない何処かへ──」とキャッチコピーが記された。
民藝初登場のシライは「劇中、日々を生きることに精いっぱいな彼女たちがある解放を求めて、5人で踊り狂う場面があります。自分の身体からあふれ出るエネルギーを全開させていくこのシーンに、ある意味、今回の僕のやりたいことが集約されているように思います」と語り、「民藝という劇団が長い歴史のなかで築き上げてきた伝統と品格へのリスペクトを込めながら、いい意味でそれを打ち破っていきたい。一緒にやらせていただくことを光栄に思っております」と思いを述べた。
シライケイタ コメント
僕は劇作家になったのが遅くて35歳、演出を始めたのがその翌年。演劇をつくる行為そのものが、今の自分と違う自分になっていきたいとか、新しい自分と出会いたいとか、そんな思いに直結しているんです。
「ルナサに踊る」の5人の姉妹は、今を生きていくことだけで精いっぱいな人たち。とても共感が湧いたんですね。1930年代のアイルランドの片田舎では、それほど大きな夢は描けない。チェーホフ劇の登場人物みたいに、都会に出て何か成功したいとか、そんなふうには思ってないところも面白く感じたんです。なにより必ずしも幸せな未来が待ってるわけじゃないっていうどこか切なく物悲しいストーリーにも、心惹かれるものがありましたね。
劇中、日々を生きることに精いっぱいな彼女たちがある解放を求めて、5人で踊り狂う場面があります。自分の身体からあふれ出るエネルギーを全開させていくこのシーンに、ある意味、今回の僕のやりたいことが集約されているように思います。あふれる生命力を舞台上に「実現」できるか、ここが勝負所です。民藝の品のいい女優さんたちが、どうなるんだろうっていう興味も僕自身にも強烈にあるわけですが、つまり身体的、肉体的に極限まで作品世界に近寄っていけるかということを目指したいと思っています。
もちろん僕の方法論を一方的に押しつけてばかりでも始まらない。僕も吸収できるところは存分に吸収して、歩み寄りながら一緒に新しい展開を構築できればいいかなと思っています。それが人と人との新たな出会いの喜びそのものというか、芝居づくりの醍醐味ですよね。民藝という劇団が長い歴史のなかで築き上げてきた伝統と品格へのリスペクトを込めながら、いい意味でそれを打ち破っていきたい。一緒にやらせていただくことを光栄に思っております。
劇団民藝「ルナサに踊る」
2022年5月26日(木)~6月4日(土)
東京都 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
作:ブライアン・フリール
訳:長木彩
演出:
出演:石巻美香、
舞台『真夜中の太陽』@公演情報 @Mingei_kouen
ステージナタリー様に #ルナサに踊る の紹介記事が掲載されました!
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