無題の稽古会、発表公演に向け福原冠「俳優たちはまだ生きている」

無題の稽古会の発表公演「無題の稽古場ー俳優達の夜、夜明け、夜明け前－」が、12月30日に神奈川・急な坂スタジオで行われる。

無題の稽古会は、2016年に福原冠と寺内淳志がスタートさせた自主企画。さまざまな出自の俳優・ダンサーが集い“本番のない稽古場”として稽古やワークショップを重ねてきた。

今回の発表公演では、多彩な戯曲に加え、稽古会の参加者がオンラインで行ってきたワークやエクササイズ、そして俳優たちの日常をコラージュした作品が披露される。構成・演出・出演には、福原と寺内のほか、荒木知佳、井神沙恵、石松太一、伊藤安那、中島広隆、埜本幸良、鴇田直也、三橋俊平が、音楽協力に額田大志が名を連ねた。なお当日は出演者によるトークも実施される。

開催にあたり、福原は「永遠に続いてしまうように思われた日々の中で考えたこと、悩んだこと、笑ったこと、怒ったことをリノリウムの敷かれた稽古場に刻んでみようと思います。もちろんアイディアを出し合いながら。立ち止まっては選択をしながら。いくつもの時代をくぐり抜けてきたたくましい言葉と格闘しながら。2020年、俳優たちはまだ生きている」とコメント。また、急な坂スタジオのディレクターである加藤弓奈は「配信のご用意もありますので、ぜひ稽古場の様子を覗いてみてください。いつか振り返った時に、“公演を前提としない稽古”がこれほどまでに難しく、そして重要だった年は他になかったと思える日が来ることを祈って」とメッセージを送った。

入場は無料で、完全予約制。会場の定員は15名まで。また本公演ではオンライン配信も予定している。

福原冠コメント

俳優にとって日常と同じくらい稽古場が必要なんじゃないか。

そんな思いから本番の来ない稽古を重ねています。俳優ってなんだろう。俳優として生きるってなんだろう。

例年にない程の回数で稽古をしました。いつもの急な坂スタジオで、いつもの高円寺のスタジオで稽古できることを期待しながらそれぞれの部屋でワークを重ねました。永遠に続いてしまうように思われた日々の中で考えたこと、悩んだこと、笑ったこと、怒ったことをリノリウムの敷かれた稽古場に刻んでみようと思います。もちろんアイディアを出し合いながら。立ち止まっては選択をしながら。いくつもの時代をくぐり抜けてきたたくましい言葉と格闘しながら。2020年、俳優たちはまだ生きている。

加藤弓奈（急な坂スタジオ ディレクター）コメント

2020年、公演の機会を失ったつくり手達、鑑賞の機会を失った観客の皆さん、それぞれが様々な土地に数多くいたことでしょう。

その時、来てくださる人を失った会場には何が出来るのでしょうか？

急な坂スタジオはいつものように、帰りを待っていました。

今、稽古場には俳優達が戻ってきてくれています。

人が使ってくれて初めて、会場には命が吹き込まれます。

配信のご用意もありますので、ぜひ稽古場の様子を覗いてみてください。

いつか振り返った時に、“公演を前提としない稽古”がこれほどまでに難しく、そして重要だった年は他になかったと思える日が来ることを祈って。