大竹しのぶ主演「女の一生」、演出の段田安則「今だからこそ、浮かび上がるものを」

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11月に東京・新橋演舞場で上演される「女の一生」の製作発表記者会見が、昨日9月30日に東京都内で実施された。

「女の一生」製作発表記者会見より。左から風間杜夫、高橋克実、大竹しのぶ、段田安則。

「女の一生」製作発表記者会見より。左から風間杜夫、高橋克実、大竹しのぶ、段田安則。

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後列左から高橋克実、段田安則、風間杜夫、前列中央が大竹しのぶ。

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「女の一生」は、森本薫が文学座に書き下ろした、杉村春子の代表作。劇中では、少女時代に堤家に拾われ、やがてその家業を守ることになる主人子・布引けいの40年が描かれる。今回、杉村が長年演じてきたけい役に、大竹しのぶが初めて挑み、堤家の次男・栄二役を高橋克実、堤家の長男・伸太郎役を段田安則、栄二と伸太郎の叔父・章介役を風間杜夫が演じる。なお、段田は演出も務める。

段田安則

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大竹しのぶ

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会見には、段田、大竹、高橋、風間、そして松竹の安孫子正副社長が登壇。まず段田は「女の一生」の初演が、戦時中の1945年4月に行われたことに触れ、「警戒警報が鳴るとお客様や俳優、スタッフは外に出て、警報が解除されるとまた始めて。命がけで上演していたと聞きました。戦後生まれの私にとっては、舞台に立つことや、客席がお客さんでいっぱいになることは“当たり前”のことでしたが……そういった過去のことや、コロナの現状を考えたとき、決して当たり前ではなかったことに気が付きました。今作には、命がけで挑みたいです」と言葉に力を込める。

段田の話に頷いた大竹は「杉村先生がお亡くなりになる少し前に、お仕事で何日間か一緒になりました。戦時中は、芝居中に空襲警報が鳴るとか、セリフの検閲のため、おまわりさんが立っている中お芝居をやられていたそうで。『あなたはいいわね、自由な時代に生まれて。自由に芝居ができるんですもの。がんばりなさいね』とおっしゃってくださったことを思い出します」と、杉村との思い出を振り返る。

「高橋克実の栄二は……どうなんでしょう(笑)」と発言し、高橋克実(右)を動揺させる風間杜夫(左)。

「高橋克実の栄二は……どうなんでしょう(笑)」と発言し、高橋克実(右)を動揺させる風間杜夫(左)。[拡大]

高橋克実

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風間杜夫

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続く高橋は「僕は同じ役の19歳から59歳までを演じるのですが、たくさんかつらを被らせていただきます!」と明かし、会場を笑いで包むと、「会見前に風間さんのところへ挨拶に行きましたら、『高橋くんそのまま出るの? それじゃあ何の役かわからないじゃないか』と言われてしまいました(笑)」と苦笑い。2009年、2011年と、劇団新派が上演した「女の一生」に栄二役で出演していた風間は「思い出深い作品。素晴らしい共演者の皆さんと、再びこの芝居に参加できることを大変うれしく思っております」と微笑む。続けて「高橋克実の栄二は……どうなんでしょう。私は大分疑問に思っております(笑)」と、冗談交じりに話し、高橋を動揺させる。「本読みでも、どうも高橋克実くんは、文学座の北村和夫さんのお芝居を盗んでいるようで。それがまた、笑いを取る芝居なんですが、笑ってはいけないところで笑ってしまう(笑)。これからの稽古が楽しみですね」とニヤリと笑った。

後列左から高橋克実、段田安則、風間杜夫、前列中央が大竹しのぶ。

後列左から高橋克実、段田安則、風間杜夫、前列中央が大竹しのぶ。[拡大]

会見後に行われた合同取材には、段田、大竹、高橋、風間が参加。記者から、演出家としての段田の印象を問われると、大竹は「段ちゃん(段田)と共演するときは、お芝居が好きな者同士、いつも台本についてしつこいくらい話していて。今回、演出家と役者としても、お互いに意見を言い合っています。日本だと演出家を“先生”として扱いがちですが、そういう上下関係が全然なくて。演出家と役者と、対等に話ができる稽古場で、すごく楽しいです」とエピソードを明かす。

段田の演出を受けるのが2度目だと言う高橋は「段田さんは、伝え方が役者目線で、とてもわかりやすく的確。まあ理解できたからといって、それを実際に表現できるかどうかは別問題ですが……(笑)」ととぼけ、周囲の笑いを誘う。また「あるシーンで、栄二があえて間を取った理由を、稽古で話し合ったのですが、段田さんが僕が考えていたものとは、まったく別の考え方を提示してくださって。自分の中だけで考えていることって、ものすごく単純なんだな、ということに気付かされました。段田さんとご一緒すると、そういった気付きがすごく多いです」と言葉に信頼をにじませた。

風間は「まだ本読みでしか彼の演出ぶりは見ていないんですけど」と前置きしつつ、「若い俳優さんに『いろんなチャレンジをしなさい』とおっしゃっていたのが印象的でした。僕はいろんな舞台で段田安則の数々の名演技を観てきましたけど、彼は本当に突拍子もない芝居をするんですね(笑)。そんな彼が『演出家に言われてやるんじゃ面白くないぞ、自分で思いついてやったほうが喜びが大きいぞ』と若い子に言う。稽古で、“俳優・段田”の成り立ちを垣間見れたらと思います」と語る。

作品を通し、現代を生きる観客に伝えたいことについて話が及ぶと、段田は「コロナを経験している今だからこそ、激動の時代を生きた布引けいの人生がより浮かび上がるのでは」と分析し、「生きてさえいれば、次の手立てが見つかるんじゃないかと。簡単ではないけど、がんばろうと思っていただけたら幸いです」とコメント。大竹は「お客様は大変な思いでいらっしゃると思います。ちょっとした不安を抱えながら、それでも劇場に足を運んでいただけるわけですから。やっぱり来て良かったと思える芝居を作らなきゃいけない」と凛とした表情で述べた。

「台本を読んでいて、コロナの状況ともリンクしているなと気づいた」と語る高橋は、「焼け跡を前にした栄二が『ひどい目に遭ったけれども、新しいこれからの世の中を見てみたい』と話すセリフがあります。人間、マイナスばかり考えていても仕方がなくて、少しでも前に行くしかない。お客様が自分の将来に希望を持つことができれば」と話す。「本読みで泣いてしまった」と明かした風間は「お客さんにも、センチメンタルな意味じゃなく、泣いてほしい。だって、泣きたいときは思い切り泣いたほうがいいじゃないですか。小さなお芝居かもしれませんが、観た方の心に届き、一生記憶に残る名舞台になると確信しております」と力強い口調で述べ、取材を締めくくった。

公演は11月2日から26日まで。チケットの販売は10月4日10:00にスタート。

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「女の一生」

2020年11月2日(月)~26日(木)
東京都 新橋演舞場

作:森本薫
補綴:戌井市郎
演出:段田安則

出演

布引けい:大竹しのぶ

堤栄二:高橋克実
堤伸太郎:段田安則
堤ふみ:宮澤エマ
堤知栄:多岐川華子
堤総子:服部容子
職人 井上:森本健介
野村精三:林翔太
堤しず:銀粉蝶
堤章介:風間杜夫

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