インドの演出家シャンカル・ヴェンカテーシュワラン演出、
本作は「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2016 AUTUMN」のプログラムの1つとして、2016年に京都・京都芸術劇場 春秋座で上演された作品。今回のVimeoでの配信は、ヴェンカテーシュワランの「コロナ禍である現在だからこそ、多くの人に本作を観てほしい」という思いから決定した。
配信に際し、ヴェンカテーシュワランは「このパンデミック、進行中の社会不安、新たに展開される国境紛争、それらが私にある感覚を生み出しています。つまり、私たちは薄暗がりのなか危険な山の斜面を突き進む長い旅路にあるということを。『水の駅』は、私たちの抱える課題に取り組む方法、周りそして先々を見渡すために速度を落とし、暗闇のなかで私たちがもっと鮮明に物事を見るための手段を示してくれます。上演時間は2時間弱、ペースはゆっくりとした、沈黙劇です。ぜひ静かな時間と場所を見つけてください。スクリーンの明るさを落とし、スピーカーの音量は下げてみてください。この作品のペースにじっくりと浸り、目、耳、心を開いて、あなたの想像のなかで作品を完成させてください」とコメント。視聴は無料で、配信は7月5日まで。
シャンカル・ヴェンカテーシュワラン コメント
太田省吾が「水の駅」を発表してから35年が経った2016年、私が演出し、インド各地とスリランカの俳優が出演する「水の駅」を京都で上演する機会に恵まれました。
私の「水の駅」が転形劇場の「水の駅」と違うのは、その沈黙が生まれる出所です。太田省吾の沈黙は、歴史、言語を共有するがゆえに登場人物は言葉を交わす必要がない、人々は共通の言語、生きられた歴史の集合的経験を持っているところから来ていると考えられます。他方、私たち南アジアの文脈における沈黙は、カースト、階級、肌の色、文化の違いから生まれています。私たちの沈黙は、私たちが全く違った文化、言語背景を持っており、言葉を交わすことができないところから来ています。
「水の駅」で私たちは、社会が種レベルにまで剥ぎ取られた時の人間の状態を目の当たりにします。そこでは私たちは一個人ではなく、死に囲まれた薄暗いランドスケープを横断する、特有の文化や言語、個性をはぎ取られた単なるヒトのサンプルです。
このパンデミック、進行中の社会不安、新たに展開される国境紛争、それらが私にある感覚を生み出しています。つまり、私たちは薄暗がりのなか危険な山の斜面を突き進む長い旅路にあるということを。
「水の駅」は、私たちの抱える課題に取り組む方法、周りそして先々を見渡すために速度を落とし、暗闇のなかで私たちがもっと鮮明に物事を見るための手段を示してくれます。
上演時間は2時間弱、ペースはゆっくりとした、沈黙劇です。ぜひ静かな時間と場所を見つけてください。スクリーンの明るさを落とし、スピーカーの音量は下げてみてください。この作品のペースにじっくりと浸り、目、耳、心を開いて、あなたの想像のなかで作品を完成させてください。
シャンカル・ヴェンカテーシュワラン / シアター ルーツ&ウィングス「水の駅」(2016年上演)配信
2020年6月26日(金)~7月5日(日)
作:
演出:シャンカル・ヴェンカテーシュワラン
出演:ムーン・ムーン・シン、ラヴィンドラ・ヴィジャイ・S、シャージ・スレーンドラナード、ヴェヌーリ・ペレラ、アニルドゥ・ナーヤル、カヴィター・スリーニヴァーサン、ヤシュワント・シヴァッパ、マンダーキニー・ゴースワーミー、スミタ・P、ジャヤスーリヤ・クマーラ・ピッライ、サーナンダン・V・シャンカラン、アーナンダサーミー、チャンドラ・ニーナサム、ゴーパーラクリシュナン・K
関連記事
太田省吾のほかの記事
リンク
ステージナタリー @stage_natalie
あなたの想像の中で作品を完成させて、ヴェンカテーシュワラン演出「水の駅」配信中
https://t.co/0pZr5ITfRQ https://t.co/ThxyJhDkoy