「Dance New Air 2018」記者発表、黒田育世「ラストパイ」再演に喜び

「Dance New Air 2018 - ダンスの明日」の記者発表が、本日7月11日に東京都内で行われた。

「ダンスビエンナーレトーキョー」として2002年にスタートした「Dance New Air」は、東京・青山を中心とした会場で、2年に1度開催されているダンスフェスティバル。本日の記者発表では、まず主催者を代表してチーフプロデューサーの宮久保真紀が挨拶した。宮久保は「今回は『身体を透してみえてくるもの』をキーワードに、私たちの琴線に訴える圧倒的な力を持った作品をラインナップしました。高い身体性とアート性を兼ね備えた作品の熱量は直接向き合わないと感じることができません」と語った。

続いて参加アーティストから黒田育世、黒田の作品「ラストパイ」に出演する菅原小春、加賀谷香、奥山ばらば、そしてレクチャーパフォーマンス「ダンスハ體育ナリ？」を手がける木野彩子、「DNAスペシャルパフォーマンス」を上演するBLUE TOKYOのハルキ、そして「DNAスペシャルパフォーマンス」の空間を演出するいけばな草月流師範・山田幸泉が登壇した。

黒田は今回上演する「ラストパイ」について「2005年にNoismの金森穣さんにメインパートを踊っていただいて初演した、とても思い出深い作品です。これまでレパートリーワークショップという特殊な形で、ダンス経験のない人にも門戸を開いて上演を繰り返してきました。今回の上演版には、プロフェッショナルダンサーが参加します」と述べる。続けて、「世界的モデルの山口小夜子さんが作ってくださった衣装をまた使わせていただけるということで、すごくうれしいです。一番良い形で上演できるように務めたいと思います」と意気込みを語った。

「ラストパイ」出演者の菅原は「黒田さんは“優しい鬼”と聞いているので、生死をさまよいながらしっかり踊ります（笑）」と笑顔で語る。加賀谷は「多分『ラストパイ』歴代のダンサーの中でダントツの最年長だと思われます。フィジカルの強度を求められるような作品を今の年齢で踊ったらどうなってしまうのか、未知です。年長者代表として挑戦させていただきます」とコメント。そして奥山は「黒田さんは世代的には近いですが、私が踊りを始めた頃にはすでにダンスの世界でトップを走ってらっしゃる人でした。その方の作品に出演させていただけることは大変光栄です。がんばらせていただきます」と力強く述べた。

続いて木野は作品について「『ダンスハ體育ナリ？』は、ダンスの歴史を振り返りながら、複合的にダンスを捉え直す試みです。『其ノ一』では体育教師でもあった舞踏家・大野一雄の活動や女子体育の歴史を扱い、『其ノ二』は1936年頃の体操の大流行や、その後戦争でオリンピックが中止されたという歴史的背景を踏まえた作品になります」と紹介した。

BLUE TOKYOのハルキは「イサム・ノグチさんの『天国』を舞台に、山田幸泉先生の作品の中でパフォーマンスさせていただくのは、とても貴重なこと。かなりのプレッシャーを感じていますが、しっかりとアクロバットを演出できるようにがんばります」と意気込む。そして山田は今回制作するインスタレーションについて「1.5mmの竹ひご4mを1万本使う予定でございます。今回のようにほかの分野の方たちとのコラボレーションは初めてですし、20数年、『見えるもの・見えないもの』というテーマで創作を続けてきて、フェスティバルのテーマにもリンクするところがあるので楽しみです」と期待を語った。

なお「Dance New Air 2018」のメインプログラムでは、ルーシー・ゲリン「SPLIT」、ラシッド・ウランダン「TORDRE（ねじる）」、小林勇輝「Chromosome」、パウラ・ロソレン「Aerobics!- A Ballet in 3 Acts」が上演されるほか、多彩な関連プログラムも実施される。詳細は公式サイトで確認を。開催期間は10月3日から14日まで。

※初出時、人名表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。