「芸術祭十月大歌舞伎」芝翫・橋之助・福之助・歌之助、襲名の親子4人が魅せる

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中村橋之助改め八代目中村芝翫、および芝翫の3人の息子、中村国生改め四代目中村橋之助、中村宗生改め三代目中村福之助、中村宜生改め四代目中村歌之助の襲名披露興行となる「芸術祭十月大歌舞伎」が、東京・歌舞伎座にて上演中だ。

「芸術祭十月大歌舞伎」チラシ

「芸術祭十月大歌舞伎」チラシ

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昼の部は「初帆上成駒宝船(ほあげていおうたからぶね)」「女暫(おんなしばらく)」「お染久松 浮塒鴎(うきねのともどり)」「極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)」を披露。芝翫は「極付幡随長兵衛」と夜の部の「熊谷陣屋」に出演する。

昼の部の幕開けを飾る「初帆上成駒宝船」は美術家・山口晃と寛徳山人の作による、橋之助、福之助、歌之助の襲名を祝う新作舞踊。3人はせり上がりで舞台に登場し、叔母の中村梅彌が振りを付けた舞を披露する。中盤に浅葱幕が振り落とされると、背景画は鶴亀から一変、舞台は現代の東京となり、歌舞伎座とそこに向かう人々が描かれる。舞台中央には宝船が登場し、はちまき姿になった3人が勇ましく足を踏み鳴らす。

「極付幡随長兵衛」は、襲名後初の親子共演となる演目。昨年2015年に平成中村座でも同作で共演した実の親子である4人が、親分子分として見せる絆に注目したい。劇中劇「公平法問諍」から始まる本作は、客席の土間から喧嘩をたしなめる幡随院長兵衛を演じる芝翫が、実際に歌舞伎座の客席扉から登場するのでお楽しみに。“湯殿の長兵衛”の通称で知られるように、ラストは騒ぎを収めるため、尾上菊五郎演じる水野十郎左衛門の屋敷に出向いた長兵衛が、湯殿にて浴衣姿で髪を振り乱しながら立廻りを見せる。槍で襲いかかる十郎左衛門に、柄杓の柄のみで立ち向かう鬼気迫る長兵衛に注目だ。

「女暫」では、この日、女ながらに大力の巴御前を演じる中村七之助が、見せ場となる幕袖への引っ込みの場面で、七之助として伯父と3人の襲名について挨拶をする場面も。その後は巴御前の役に戻るも、尾上松緑演じる舞台番から「歌舞伎座のどこかで、お父さんもご覧になってるかもしれませんよ」と言われると「恐ろしいこと言わないでくださいよ」と高く艶やかな声のまま応え、客席は笑いに包まれた。「お染久松 浮塒鴎」は主人の娘と奉公人の悲恋を、尾上松也中村児太郎が手を取り見つめ合い表現。女猿曳を演じる尾上菊之助が、2つの竹を両手で打ち鳴らし、四つ竹節を披露する。

夜の部は4人の襲名披露口上に加え「外郎売(ういろううり)」、中村吉右衛門が源義経を演じる「熊谷陣屋(くまがいじんや)」、そして坂東玉三郎による「藤娘(ふじむすめ)」が上演される。公演は10月26日まで。祝幕はデザイナーの佐藤可士和が手がけている。

※記事初出時、一部キャプションに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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「芸術祭十月大歌舞伎」

2016年10月2日(日)~26日(水)
東京都 歌舞伎座

昼の部:「初帆上成駒宝船」「女暫」「お染久松 浮塒鴎」「極付幡随長兵衛」
夜の部:「外郎売」「襲名披露口上」「熊谷陣屋」「藤娘」

※「鴎」は旧字体が正式表記。

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