範宙遊泳・山本卓卓、学生キャストらと作り上げる新作「昔々日本」9月に

範宙遊泳主宰の山本卓卓が書き下ろした新作「昔々日本」が、9月8日から11日まで東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて上演される。

本作は、日本大学、桐朋学園芸術短期大学、多摩美術大学、玉川大学、桜美林大学が設立する東京演劇大学連盟によって行われる共同制作公演。オーディションで選ばれた学生キャスト、スタッフ、さらに若手演劇人が、山本と共に舞台を作り上げる。出演者の中には、作品の重要部分となる場面で先導して踊る「ムーブメント」キャスト11人が含まれる。なお上演に際して、山本がステージナタリーに寄せたコメントは以下の通り。

山本卓卓コメント

道すがらすれ違う人を見て「あの人は家に帰ったらどんな顔をするのだろう？」と考えてしまう。
他にも、不祥事でボロカスに叩かれている人をテレビで見て、あるいは叩いている側の人を見て。
電車の中でスマホゲームに勤しむスーツ姿の男性を見て、立ったまま眠るOLを見て。
「いったいどんな顔をするのだろう？」
別に現代だけの話じゃなくて、過去だってそうで、僕の書棚の筆者たちは
「どんな顔してあれを書いたのだろう？」

こういう覗き根性を、合法的に欲望叶えるためにはやっぱり物語しかない。
想像力のない世界は、物語のない世界だと思う。
今回の座組には、瑞々しいそれがある。
僕の仕事はといえば、彼らの想像力を如何にして閉じさせないか、世界を閉じさせないか、だと思っている。
千秋楽を終えたら、座組の彼らはどんな顔をするのだろう？
そんなスケベなことを、合法的に思考する夏の夜です。