ステージナタリー - 舞台・演劇の最新ニュースを毎日配信

「八月納涼歌舞伎」新作はタモリ発案の落語から、笑福亭鶴瓶「勘三郎が操作」

1174

「八月納涼歌舞伎」製作発表記者会見より。左から中村七之助、笑福亭鶴瓶、中村勘九郎。

「八月納涼歌舞伎」製作発表記者会見より。左から中村七之助、笑福亭鶴瓶、中村勘九郎。

「八月納涼歌舞伎」にて、新作歌舞伎「廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと)」が上演される。上演に先がけ本日7月8日には、都内某所にて製作発表記者会見が行われた。

本作は、吉原一の花魁と田舎侍を描いた人情噺。2015年1月に笑福亭鶴瓶が口演した、新作落語「山名屋浦里」が元となっている。このたびの歌舞伎化は、中村勘九郎の強い希望により実現。会見には、鶴瓶、田舎侍・宗十郎を演じる勘九郎、花魁・浦里を演じる中村七之助、脚本の小佐田定雄、演出の今井豊茂、松竹株式会社の取締役副社長である安孫子正が出席し、終始和気あいあいとした雰囲気の中、本作への意気込みを語った。

まず鶴瓶から「実はこの話は、2011年に『笑っていいとも!』のメイク室で、タモリさんが『ブラタモリで花魁と武士のこんな話があって、これいいよ』って話してくれて、ほとんどそこで完成したんです。で、タモリさんから『落語にしてよ』って言われて『それ絶対できるわ』ってなって」と本作誕生の経緯が明かされた。「タモリさんも今回の歌舞伎化をすごい喜んでる。名前載せたら?って何度も言ったんですよ。向こうの社長にも。でもタモリさんね、『歌舞伎にタモリは似合わねえよ』って。粋なこと言うなあ」と振り返り、「そういう意味でもいろんな人の力を借りてできた作品なんですが、それもすべてのりちゃん(中村勘三郎)が操作してるような思いがあります」と微笑んだ。

そこから話は勘三郎との思い出話に。鶴瓶は「僕50歳から(本格的に)落語を始めたんですよ。4年くらい経って、歌舞伎座で披露したんですね。その時にのりちゃん(勘三郎)が来てくれて、『よかったよー!』って言うんですよ。俺全然ダメだったのに。『そんなもん上辺で言うな!』って俺が怒ったら『あんたアガってたでしょ? アガってる学さん(鶴瓶)を見たのは初めてだから。あなたは古典に対してのものすごく敬意がある。古典をやるべきだ』って言ってくれて。そこからこっちものめり込んでやり始めた感じですね。だから背中を押してくれたのは、勘三郎と……(春風亭)小朝さんです。で、小朝さんと勘三郎はめっちゃ仲悪い(笑)」とおどけ、会場を笑わせた。

さらに勘三郎が亡くなった後も、勘九郎・七之助をはじめとする中村家から、歌舞伎座の新たなこけら落とし前日のエイプリルフールに“七之助逮捕”と嘘をつかれて慌てさせられたことや、その仕返しにスケルトンがプリントされた全身タイツで中村家へ焼香に出向き、家の前で「納骨しろー」とダンスをしたという、両家の微笑ましいエピソードを披露。一方で「のりちゃん(勘三郎)が死んで、2人は急激に、競争するように伸びてる。俺の落語聞いて『これを歌舞伎にしたい』って思えるってことは、大概ですよ。責任あるでしょ」と賛辞を送った。

勘九郎は自身が演じる宗十郎役について「とても真面目な人。物事すべてにまっすぐ」と解説。「私、根が真面目なのでとてもやりやすい……」と続けると、横の鶴瓶が、異議ありと言わんばかりにマイクに手を伸ばし、「終わらないでしょー(笑)」と勘九郎がその手を遮る一幕も。「演じたいな、と思える魅力的な人物です。馬鹿が付くほどまっすぐな男。僕が最初に受けた感動を、そのままお客様に伝えられれば、伝えなくてはならないと思っています」と意気込んだ。落語の歌舞伎化にあたっては、「セリフ量が多いのでテンポを大事にしたいと思います。いっさい幕を使わず、暗転も極力使わないよう演出の今井さんとお話しながら、テンポよく進めていけたら」と構想を語る。

続く七之助は浦里役について「歌舞伎の花魁の素晴らしい特徴を凝縮したような人。プライドはありますが、その中に寂しさと悲しさを持っている。演じるのが楽しみです」とコメント。「ラストに……あまり言えないんですけど。(浦里の)人間味がバーっと出るシーンがあるんです。そこが歌舞伎の演目でも、なかなかない花魁像なんじゃないかなと」と明かし、「最初に読んだ時は泣きました。あの素晴らしいものを、ちゃんと表現しないといけない」と決意を新たにした。

「八月納涼歌舞伎」は8月9日から28日まで、東京・歌舞伎座にて上演。

「八月納涼歌舞伎」

2016年8月9日(火)~28日(日)
東京都 歌舞伎座

第一部:「嫗山姥」「権三と助十」
第二部:「東海道中膝栗毛」「艶紅曙接拙」
第三部:「土蜘」「廓噺山名屋浦里」

(c)松竹株式会社

ステージナタリーをフォロー