アーティストたちはどんなファッションで稽古に臨んでいるのか? ステージナタリーが送る演劇人の稽古着コレクション、略して「ケイコレ」では、本番を控えた舞台人たちの稽古着姿をパチリ。そのスタイルを選んだ理由のほか、おしゃれな共演者、いつか手にしたい稽古アイテム、公演の見どころを語ってもらう。
第48回では、パルコ・プロデュース2021「ザ・ドクター」に出演する
Day1
「ザ・ドクター」という題名の通り、若手医師の役なので白衣を着てます。
象徴的なアイテムを身につけると役に入る良い切り替えになります。
中のシャツは「人形の家Part2」でご一緒した永作博美さんが経営するカフェの“ヨダカTシャツ”です!
Day2
今日は別の役の稽古。もう1つの役は差別や偏見と戦う活動家。通気性が良く、動きやすいスーツで気合いを入れます。
基本、衣装のイメージに近い稽古着で挑みます。というのも突然衣装で舞台上に立つと、上手く動けなくて動揺することが多いんです。不器用なので。共演する益岡(徹)さんと衣装合わせのときお話ししたのですが、「衣装を着ると気分が上がるね、だけど普段は稽古着でも演じないといけない。これも訓練だねえ」とおっしゃっていて、稽古着っぽさも残さねばな……と思いました。
Day3
ウォーミングアップ時の稽古着です!
よくシャツインしてます。中嶋しゅうさんが生前にお土産でくれたドイツ・ベルリンの劇場、フォルクスビューネのシンボルのTシャツ。演出の栗山(民也)さんがめざとく気付いて、「俺がその劇場をしゅうに教えたんだぞ」と盛り上がりました。
稽古着におけるこだわりは?
自分のテンションが上がるもの。
大切な人たちから貰ったものや、思い入れのある服や小物をよく身に着けます。
その人たちを思い出して気を引き締めたり、応援してもらっている気持ちで!
「稽古着おしゃれだな!」と思う共演者は誰ですか?
大竹しのぶさん。
いつも素敵なお洋服を着ていらして、
稽古着も白衣の下にちらりとのぞくシャツがオシャレです!
いつか手にしたい憧れの稽古アイテムは?
脱ぎ履きが楽で軽い稽古場シューズ。靴紐付きのジャズシューズは短い休憩時間、外に出るのがめんどくさいです。
パルコ・プロデュース2021「ザ・ドクター」で、特に注目してほしいのはどんなところ?
とある医療現場で起こった少女の死を巡る事件が、ソーシャルメディアによって世界へ拡散され、宗教や人種問題やジェンダー問題にまで発展します。
優秀な医師である大竹しのぶさん演じるルースが、さまざまな人種や価値観にもみくちゃにされていく、その中でも凛と立ち続けようとする大竹さんのお芝居が素晴らしいです。
注目してほしいのは、怒涛の討論シーン。
日本人が避けて通りがちな本音のディベートシーンがたくさん出てきます。価値観の違う人間同士のやり取り。面白いです!
現代社会の本質を鋭く突いた作品です。悩みながら、丁寧に作品を作っています。観に来てくださったお客様も、私たちと一緒に悩んでいただけたらうれしいです。
プロフィール
1994年、東京生まれ。2015年に劇団青年座入団。劇団公演に多数出演。近年の舞台出演作に、PARCOプロデュース2019「人形の家 Part2」、「まじめが肝心」、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース リーディング公演「ポルノグラフィ」、ENGISYA THEATER COMPANY「春の終わりに」、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三。」など。
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