今年の2月、48年ぶりに古巣であるフォーライフミュージックへの電撃復帰を果たし、ニューアルバム「シン・セルフカヴァーズ 怪物」をリリースするなど、精力的な活動で再び話題を呼んでいる泉谷しげる。
今回配信されたのは、泉谷の鮮烈なデビューを飾ったライブアルバム「泉谷しげる登場」、
また、
泉谷しげる「泉谷しげる登場」(1971年)収録曲
01. 白雪姫の毒リンゴ
02. 砂時計
03. ちきしょう
04. プロフィール
05. 告白のブルース
06. 東西南北
07. 義務
08. ひねくれ子守唄
09. うられうられて
10. 給料日前だから
11. 人生の曲り角
12. 人生を越えて
泉谷しげる「春夏秋冬」(1972年)収録曲
01. 地球がとっても青いから
02. ねどこのせれなあで
03. 狂走曲21番
04. 黒いカバン
05. 鏡の前のつぶやき
06. 帰り道
07. 春夏秋冬
08. 街はぱれえど
09. 化粧室
10. 君の席
11. 出船
12. 行きずりのブルース
13. きせつはずれ
泉谷しげる「地球はお祭り騒ぎ」(1972年)収録曲
01. つなひき
02. 息ぬき
03. 初恋純情篇
04. 街からはなれられない
05. よせてはかえす
06. 巨人はゆりかごで眠る
07. 陽が沈むころに
08. 久しぶりです
09. ヒマ人クラブ
10. ほら吹きひとつ
11. 大通りを横切って
12. 終りをつげる
13.きせつはずれ
泉谷しげる「黄金狂時代」(1974年)収録曲
01. 眠れない夜
02. A・HA・HA・HA
03. 暗黒街丑松通
04. 火の鳥
05. 溶岩道路RAG
06. 摩天楼
07. 遥かなる人
08. Dのロック
09. 人情夜曲
10. 懐かしい人
11. 明日のヒマ人
12. 北の詩人
泉谷しげる 個展 “サイバーパンク展”
2025年5月16日(金)~ 6月15日(日)東京都 tHE GALLERY OMOTESANDO
OPEN 12:00 / CLOSE 19:00
休廊日:月・火曜日
米原康正 コメント
かかってこいや
混沌、暴走、反逆──それは泉谷しげるが半世紀以上にわたってクリエーティブという言葉を武器に体現してきた精神である。
それは実は「漫画家になりたかった音楽家」と自認する泉谷が、70年代から描いてきたサイバーパンクという世界そのものでもある。
テクノロジーが人間性を侵食し、システムが個を抑圧するこの時代に、泉谷のアートが放つ「生の叫び」は、かつてないほど強いリアリティを持つ。
泉谷しげるの絵には、計算された美しさも、なめらかな秩序もない。あるのは、剥き出しの衝動と、壊れかけた世界に対する苛烈なまでの肯定だ。その筆致は、まるで都市の片隅で今にも崩れ落ちそうな鉄骨のように粗く、脆く、しかし確かに生きている。
それはまさに、サイバーパンクのビジョン──華やかな未来像の裏に潜む、人間存在の不安定な美しさ──と響き合う。
今、私たちは再び「未来」という言葉に夢を見られなくなっている。AI、監視社会、気候変動──かつてSFが描いたディストピアは、もはやフィクションではない。
だからこそ、きれいごとではない、泥臭くも激しい「生きる意志」をむき出しにした泉谷しげるの絵画が、私たちに必要なのだ。
サイバーパンクとは、未来を悲観する物語ではない。どんなに崩れた世界でも、なお生き抜こうとする者たちの物語だ。そして泉谷しげるのアートもまた、同じ精神を燃やしている。音楽活動と共通する「暴発する感情」「既成の枠組みへの抵抗」が濃密に込められている。技術に翻弄される時代の中で、「人間」であることをあきらめないために。
今回の個展は、飾るためでも、眺めるためでもない。
生きて、壊れて、叫び続けるための泉谷にとっての戦場なのである。
※ジョン山崎の「崎」はたつさきが正式表記。
リンク
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泉谷しげる、エレック時代の初期4作品リマスター音源配信 個展「サイバーパンク展」開催も https://t.co/BkVea2Ev5x