泉谷しげる、エレック時代の初期4作品リマスター音源配信 個展「サイバーパンク展」開催も

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泉谷しげるがエレックレコードに残した初期4作品が配信リリースされた。

泉谷しげるエレック音源配信ビジュアル

泉谷しげるエレック音源配信ビジュアル

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今年の2月、48年ぶりに古巣であるフォーライフミュージックへの電撃復帰を果たし、ニューアルバム「シン・セルフカヴァーズ 怪物」をリリースするなど、精力的な活動で再び話題を呼んでいる泉谷しげる。

今回配信されたのは、泉谷の鮮烈なデビューを飾ったライブアルバム「泉谷しげる登場」、加藤和彦プロデュースのもと、高中正義やつのだひろといった最初期サディスティック・ミカ・バンドのメンバーが参加し、今なお歌い継がれる名曲「春夏秋冬」を生んだ2ndアルバム「春夏秋冬」、吉田拓郎バンドのメンバーやザ・ゴールデン・カップスのジョン山崎ら豪華ミュージシャンとのセッションから生まれたセルフプロデュース作「地球はお祭りさわぎ」、松田幸一率いるカントリー / ルーツ路線のラストショウと、ジョニー吉長や川崎雅文が在籍した本格派ロックバンド・イエローという、まったくタイプの異なる2つのバンドをバックに制作された意欲作「黄金狂時代」の計4作品。全作品ともに最新のデジタルリマスター処理が施されている。なお同じくエレックより発表されたアルバム「光と影」のみ6月以降の配信が予定されている。

また、米原康正がキュレーションをする東京・表参道のギャラリー、tHE GALLERY OMOTESANDOにて、泉谷の個展「サイバーパンク展」が5月16日から6月15日まで開催される。今回の個展にあわせて泉谷初の描き下ろしサイバーパンクマンガ「ROLLING THUNDER(ローリングサンダー)」も発売される。開催期間中の週末には米原のプロデュースによる特別イベント「泉谷しげる×米原康正トーク&ライブ60分」も行われる。スケジュールなど詳細は画廊のSNSで確認を。

泉谷しげる「泉谷しげる登場」(1971年)収録曲

泉谷しげる「泉谷しげる泉谷しげる登場」ジャケット

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01. 白雪姫の毒リンゴ
02. 砂時計
03. ちきしょう
04. プロフィール
05. 告白のブルース
06. 東西南北
07. 義務
08. ひねくれ子守唄
09. うられうられて
10. 給料日前だから
11. 人生の曲り角
12. 人生を越えて

泉谷しげる「春夏秋冬」(1972年)収録曲

泉谷しげる「春夏秋冬」ジャケット

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01. 地球がとっても青いから
02. ねどこのせれなあで
03. 狂走曲21番
04. 黒いカバン
05. 鏡の前のつぶやき
06. 帰り道
07. 春夏秋冬
08. 街はぱれえど
09. 化粧室
10. 君の席
11. 出船
12. 行きずりのブルース
13. きせつはずれ

泉谷しげる「地球はお祭り騒ぎ」(1972年)収録曲

泉谷しげる「地球はお祭り騒ぎ」ジャケット

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01. つなひき
02. 息ぬき
03. 初恋純情篇
04. 街からはなれられない
05. よせてはかえす
06. 巨人はゆりかごで眠る
07. 陽が沈むころに
08. 久しぶりです
09. ヒマ人クラブ
10. ほら吹きひとつ
11. 大通りを横切って
12. 終りをつげる
13.きせつはずれ

泉谷しげる「黄金狂時代」(1974年)収録曲

泉谷しげる「黄金狂時代」ジャケット

泉谷しげる「黄金狂時代」ジャケット[拡大]

01. 眠れない夜
02. A・HA・HA・HA
03. 暗黒街丑松通
04. 火の鳥
05. 溶岩道路RAG
06. 摩天楼
07. 遥かなる人
08. Dのロック
09. 人情夜曲
10. 懐かしい人
11. 明日のヒマ人
12. 北の詩人

泉谷しげる 個展 “サイバーパンク展”

2025年5月16日(金)~ 6月15日(日)東京都 tHE GALLERY OMOTESANDO
OPEN 12:00 / CLOSE 19:00
休廊日:月・火曜日 

米原康正 コメント

かかってこいや
混沌、暴走、反逆──それは泉谷しげるが半世紀以上にわたってクリエーティブという言葉を武器に体現してきた精神である。
それは実は「漫画家になりたかった音楽家」と自認する泉谷が、70年代から描いてきたサイバーパンクという世界そのものでもある。
テクノロジーが人間性を侵食し、システムが個を抑圧するこの時代に、泉谷のアートが放つ「生の叫び」は、かつてないほど強いリアリティを持つ。
泉谷しげるの絵には、計算された美しさも、なめらかな秩序もない。あるのは、剥き出しの衝動と、壊れかけた世界に対する苛烈なまでの肯定だ。その筆致は、まるで都市の片隅で今にも崩れ落ちそうな鉄骨のように粗く、脆く、しかし確かに生きている。
それはまさに、サイバーパンクのビジョン──華やかな未来像の裏に潜む、人間存在の不安定な美しさ──と響き合う。
今、私たちは再び「未来」という言葉に夢を見られなくなっている。AI、監視社会、気候変動──かつてSFが描いたディストピアは、もはやフィクションではない。
だからこそ、きれいごとではない、泥臭くも激しい「生きる意志」をむき出しにした泉谷しげるの絵画が、私たちに必要なのだ。
サイバーパンクとは、未来を悲観する物語ではない。どんなに崩れた世界でも、なお生き抜こうとする者たちの物語だ。そして泉谷しげるのアートもまた、同じ精神を燃やしている。音楽活動と共通する「暴発する感情」「既成の枠組みへの抵抗」が濃密に込められている。技術に翻弄される時代の中で、「人間」であることをあきらめないために。
今回の個展は、飾るためでも、眺めるためでもない。
生きて、壊れて、叫び続けるための泉谷にとっての戦場なのである。

※ジョン山崎の「崎」はたつさきが正式表記。

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