テラシマユウカ最後のライブ
GANG PARADEは「みんなの遊び場」をコンセプトとする、音楽事務所WACKの所属グループ。2014年に始動した前身ユニットから2度の改名、幾多のメンバー増減、グループ分裂などを経て2022年1月から再びGANG PARADE名義で活動している。テラシマは2016年から8年にわたって活動し、「8年間走り切った」「新しい道を歩き出すことへの好奇心」という理由からグループを脱退することを決めた。
生バンドの演奏が遊び人をお出迎え
開演時間を迎え、和テイストのEDMインストトラックが流れ始める。ステージとフロアを隔てる紗幕にはメンバー1人ひとりを紹介する映像が。そしていよいよライブの幕が上がると同時に聴こえたのは、ドラムのカウントイン。ギャンパレは生バンドを率いた編成で遊び人(GANG PARADEファンの呼称)の前に現れた。バンドメンバーは
「エンジョイプレイ! みんなの遊び場! GANG PARADEです!」という挨拶からメンバーそれぞれの自己紹介に続き、チャンベイビーは「『TO BE BORN』開幕! 生まれました! 皆さん今日は来てくれてありがとうございます。皆さん、周りを見渡してみてください! なんと今日はホールでのワンマンライブです!」と述べ、ホール公演の緊張を和らげるために“TO BE BORN体操”を考えてきたと話す。彼女は尻、肩、膝の“BONE(骨)”を動かす体操を遊び人に指南し、「なんだか膝がわらっているな!」という言葉から「lol」へとつないだ。
テラシマがステージ後方から前に向かって駆け出し、指揮者のように腕を振り、「シグナル」がスタート。明るい曲調の楽曲だが、「Ah 命を燃やして立ってたいよ」「ねえ 君がいなきゃ成り立ってないよ」といった歌詞が現体制最後のステージに臨んでいるギャンパレによって届けられるという重みを含んで届けられ、大いに盛り上がった。遊び人の中には興奮だけではない複雑な思いが込み上げている者もいる様子だった。
キャン・GP・マイカは「なんと今回、バンドセットでお送りしています! 今日しか観られないGANG PARADEをお見せできているんじゃないでしょうか!」と、ここでバンド編成について言及。この公演のためにさまざまなことを準備してきたことに触れ、「Gangsta Vibes」へ。この曲ではEDMトラックと生のドラムが同期するという演奏スタイルが取られ、続く「躍動」ではベースとギターも加わり、ドープな低音と和風メロディが場内を支配した。「涙は風に、思いは歌に」で全力疾走の激しいパフォーマンスが繰り出されたあと、バイオリンの生演奏から「Dreamer」に入るなど、生バンドを従えた編成ならではアレンジを交えてライブが進む。MCではアイナスターがここで新衣装になったことを報告したあと、この公演のためだけに集まったバンドメンバーを紹介。バンド名は“GANG BOYZ卍”で、ユイ・ガ・ドクソンが名付けたという。
「この人生に意地と誇りを!!!!!!!!!!!!」
ライブ後半、名刺代わりの楽曲「GANG PARADE」ではバンドメンバーも激しくヘッドバンギングをするなど、ロックバンドさながらに盛り上がる。ミクスチャーロックテイストの「Peace☆超パニック」、などを披露していく中でメンバーはバンドの演奏に後押しされるように、力強く歌い踊った。「pretty pretty good」のシンセメロディが流れる中、ナルハワールドは瞳を輝かせながら「今日がとても楽しみな気持ちと、まだ来てほしくない気持ちがありました。でもこうして今日を迎えられてよかったと心の底から思っています。あなたがここに来てくれたこと、あなたが笑っていてくれること、それが何より幸せなんです。ギャンパレを好きで、ギャンパレに会いに来てくれて本当にありがとう。まだまだ一緒に遊んでくれますか?」と呼びかけ。そして金色のテープが発射され、そこにはメンバー12人のサインと「この人生に意地と誇りを!!!!!!!!!!!!」という、「ROCKを止めるな!!」の1フレーズが書かれていた。
バンドメンバーのソロ回しを経て、ギャンパレはメロディックパンクチューン「BREAKING THE ROAD」を投下。激しいパフォーマンスのあと、ユイ・ガ・ドクソンが息を切らせながら語り始める。「終わりたくない時間で本当にあるんですね。ここまでみんなで、全員で駆け抜けてきました」という彼女の言葉に続けて、キラ・メイが「まだ足りない。あと5時間くらいやりたい!」と奔放な笑顔を見せると、ココとヤママチミキが「それはやめとこう」と制した。
再び話し始めたドクソンは、さまざまな気持ちが入り交じる中でこの日を迎えたことを明かしつつ、全国から集まったであろう遊び人に感謝を伝えた。そして「私もたまに落ち込むことがあるんですけど、苦しいときに思い出すのが、ライブなんです。みんなの笑顔とか泣き顔とか、見守ってくれる1人ひとりの表情を思い出して、またがんばろうって思えます。だからこの先、また何か乗り越えなければいけないときは、今日を思い出します」と空中を見上げるドクソン。彼女は普段ライブ中にめったに泣かないが、今にも泣き出しそうになりながらも涙をぐっとこらえて話を進める。「今日ここにいてくれるあなたたち1人ひとりが違う人生を歩む中で、こうして出会えました。みんなもこれからの日々でしんどかったり、心が折れたりしちゃいそうなときもあると思うんです。でもそんなときにふと思い出して、照らしてくれる光みたいな瞬間に今日がなれていたら、そんな皆さんの居場所に“遊び場”がなれていたらうれしいです」と努めて冷静に思いを口にした。
ドクソンが「まだまだたくさん見たことないくらいの幸せな瞬間をこれからも遊び人と作っていきたいんですけども、これからも一緒にいてくれますか?」と呼びかけると、フロアに喝采が湧き起こる。続けて彼女は「よし、もうこうなったら! 今この瞬間、今ある声も思いも全部出しきって、歌って踊って笑おうぜ!」と叫び、「いけますかメンバー! いけますかGANG BOYZ卍! いけますか遊び人!」と会場の全員を煽り、ラストナンバー「ROCKを止めるな!!」へ。ドクソンが涙を流さなかったのは、金テープにも書かれていた「この人生に意地と誇りを!!!!!!!!!!!!」や、「さぁ歌って踊って笑って」といった前向きなメッセージが込められたこの曲につなげるためでもあったようだ。12人はそんな楽曲を最後まで笑顔で届け、ライブを締めくくった。
そしてアンコールが始まり、12人で「Priority」を披露したあと、テラシマが最後の挨拶を行った。
テラシマユウカ 最後の挨拶(全文)
「アンコールありがとうございます。今日で私、テラシマユウカはGANG PARADEを脱退します。気付けば8年もの長い時間、WACKで活動してきました。私の東京生活はたった1日でグループ(SiS)が解散してしまうという想像もできない事件から始まって、当時はもう立ち直れないなって思っていました。
でもある人から「これは終わりじゃなくて始まりだから」と声をかけてもらって。その言葉を信じて、心折れることなくここまでやってこれました。あのときの絶望はGANG PARADEと遊び人とみんなとの幸せな時間の始まりになりました。そんな幸せな生活の中で、誰よりも一緒に時間を過ごして、誰よりもいろんな感情を分かち合ってきたメンバー、遊び人のみんなと築いた絆は、私にとってかけがえのない宝物です。きっとこんな特別な存在はほかでは作れないだろうし、でもこれが最初で最後でいいって。この特別な存在をずっと抱きしめて生きていきたいと思います。みんな、GANG PARADEに出会ってくれて本当にどうもありがとうございます。
もうこれからの生活でメンバーも遊び人も隣にいなくって、毎日くだらないことばっかでふざけたり、しょうもないことで遊び人に付き合わせたり、遊び人を置いてけぼりにしてこっちだけでワーワー言ってたり、ライブで手足が千切れそうなくらい体を動かし続けることも、いろんな経験してきたことがもうこれからなくなる。そう思ったら、自分で決めた道ではあるけど、すごくやっぱり寂しいです。
でもこの幸せが過去になっても、みんなからもらった愛を思い出す度に心があったかくなるやろうなって思うし、これからのGANG PARADEの活動を見て、その力強さにいつだって勇気付けられるんだろうなって。そう思ったら、前を向いて、自分の足で歩いていけます。みんなのこと、本当に頼もしいし、尊敬してて、私の生涯の誇りです。本当にみんなのこと心から大好きです。みんなからもらった愛が枯れることはないけど、私からみんなへの愛も枯れることはありません。自分のすべてをかけた8年間。もう青春でもなくて、これが私の生活で、人生そのものでした。8年間、愛しい日々を本当にありがとうございました!」
喝采のあとに、ダブルアンコールで新体制スタート
テラシマの言葉に大きな歓声が湧き起こる中、ギャンパレは「Plastic 2 Mercy」を投下し、バンドバージョンにアレンジされた同曲で渾身のパフォーマンスを見せた。そしてテラシマはステージに1人残り、「ありがとうございました! みんなのこと、愛してるよ!」と最後に叫び、8年立ち続けたステージを降りた。
その後、エレクトリカルなSEが流れてダブルアンコールが始まり、テラシマを除く11人が登場。グループの最古参メンバーであるヤママチミキは、「今のSEが私たちの新しいSEになります」と述べてから、今の思いを語り始めた。そしてそんな言葉のあとに11人は新体制で新曲「グッドラック・マイフューチャー」を初披露。全曲のパフォーマンスが終わり、最後には月ノウサギが締めくくりのMCを担当し、「以上、私たちGANG PARADEでした! ありがとうございました!」とメンバー全員で挨拶した。
ヤママチミキ コメント(全文)
「私は最初はただの1人のファンでした。そこからオーディションを受けて合格をもらって、活動を始めて、あっという間に10年が経ちました。この10年の中でこのグループは、数え切れないくらい変わり続けてきています。新しい出会いもあれば、別れもあって。楽しいこと、うれしいこともあれば、悲しいこと、苦しいこともあって。活動している中で、笑っている時間よりも、悩んだり葛藤したり、そういう時間がどうしても長くなってしまって。つらいなって思っちゃうときもあるんですね。それでもこの場所に立ち続けているのは、あなたたちと過ごすという、この何にも代えられないこの時間が本当に大好きで愛おしいから。
このときのために私はこの場所に居続けることを選んできました。きっと、この先もこの選択は変わらないだろうし、今までだってこうやって選択してきたことは間違いじゃないと思っているので、これからも私はみんなとこういう時間を過ごすためにステージに立ち続けると思います。私の一番の願いは、この先の未来もあなたたちとの時間を一緒に紡いでいくことです。
今、この瞬間から11人のGANG PARADEが始まります。今まで、GANG PARADEは変わり続けてきたけれど、きっとこの先も変化とともに進んでいくと思うんです。でもたくさん変化してきた中でもずっと変わらなかったものもあるし、これからも変わらないものがあります。それは私たちGANG PARADEと、あなたたち遊び人の関係。どれだけグループの中身が変わろうとも、絶対に変わることがないだろうと確信しています。今までと変わらずにGANG PARADEと遊び人を信じて、これからは変化も武器にして進んでいけるように。私たちにはその道しかないので、どうかあなたたちもGANG PARADEをこれからも信じて愛して一緒に進んでくれたらうれしいです。今日は本当にありがとうございました」
月ノウサギ コメント(全文)
「GANG PARADEは今日まで続いていること、ここにいること、遊び人が応援してくれること、何1つ当たり前じゃないと思います。今日という日を死ぬ気で準備してきたように、みんなも今日、いろんな気持ちを抱いてここに足を運んでくれたと思います。みんなの思いすべてが、私たちGANG PARADEの生きていける理由です。今日は本当に来てくれてありがとうございました。
GANG PARADEの人生はまだまだ続いていきますし、11人はGANG PARADEとしてまだまだ歌い続けていきます。何度経験しても別れは寂しいし、胸が痛いけれど、これまでに一緒に活動したどのメンバーとのどの瞬間も、かけがえのないものだって胸を張って言えます。これから大変なこともいろいろあるかもしれないけど、遊び人が、あなたが、隣にしてくれたらきっと大丈夫だって思います。だからこれからもGANG PARADEの隣で一緒に歩いてくれたらうれしいです。どうかこれからもGANG PARADEをよろしくお願いします」
セットリスト
GANG PARADE「TO BE BORN」2024年11月30日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
01. Happy Lucky Kirakira Lucky
02. パショギラ
03. don't forget me not
04. lol
05. シグナル
06. QUEEN OF POP
07. Gangsta Vibes
08. 躍動
09. 涙は風に、思いは歌に
10. Dreamer
11. エキゾチックアニマル
12. GANG PARADE
13. Peace☆超パニック
14. pretty pretty good
15. Anything Goes!!!!
16. BREAKING THE ROAD
17. ROCKを止めるな!!
<アンコール>
18. Priority
19. Plastic 2 Mercy
<アンコール2>
20. グッドラック・マイフューチャー
かずま @kazumaguitar
ギャンパレはサキ様が始めたときから物凄い変化をしてますよね😌
でもこれだけ長く続いているのは本気のメンバーばかりだからだと思います
きっとまだまだ歴史は続くのでしょう👊👊👊
#GANGPARADE https://t.co/h7njE996N4