今年、ももクロは3月の玉井詩織に始まり、7月の百田夏菜子、9月の佐々木彩夏とメンバー全員がソロコンサートを開催。そんな中、高城は自身の“ソロコン10周年”を記念し、各地のモノノフ(ももクロファンの呼称)に会いに行く計12会場のライブハウスツアーを企画した。6月にスタートしたこのツアーは約5カ月をかけて全国で行われ、高城の地元である横浜でファイナルを迎えた。
今回のツアーは一貫して“空の旅”がテーマ。高城がキャビンアテンダントに扮したキービジュアルや、ツアーのテーマ曲「ポジティブ・アテンションプリーズ!」にもこのテーマが色濃く表れている。“ラストフライト”となった横浜公演は、昼と夜の2部制。高城はそれぞれコンセプトの異なる“空の旅”へとモノノフを誘った。
Daytime Flight「いない。」
「いない。」という意味深なサブタイトルが付けられた第1部。高城が物憂げな表情を浮かべるキービジュアルが観客の想像を駆り立てたが、“離陸”直前、「Renny Airlines」の機内アナウンスが流れたのち、今回のツアーで着ていたCA風衣装をグレードアップさせたきらびやかな紫色の衣装で高城が登場すると、場内がフライトに対する高揚感で満ちる。そして横浜にちなんだワードや、横浜市歌のメロディが盛り込まれた“横浜愛”あふれるナンバー「レニー来航!!」でいよいよライブがスタート。公演序盤にはソロ曲のほか、ももクロの楽曲「黒い週末」も披露された。「黒い週末」は高城が咳込んだのを合図に曲が始まるのがお約束のロックナンバーで、躍動感あふれるサウンドを繰り出す生バンド、紫のペンライトを振りつつ息をそろえてコールを叫ぶモノノフが一体になり、会場に熱気が広がっていった。
離陸後、快適な空の旅を続けていた「Renny Airlines」の飛行機だが、ここで突然、時空の歪みに突入し、“もしも高城がももクロをやっていなかったら、モノノフと出会っていなかったら”という世界線へと迷い込んでしまう。高城の1人語りのナレーションが流れたのち、「もう1人の私を紹介します」というひと言を経て、ステージには幼少期の高城を思わせる少女の姿が。そして温かなミディアムナンバー「じゃないほう」が始まり、サビの途中から少女と同じく白いワンピースを着た高城がステージへと現れる。高城は少女に語りかけるように歌声を響かせつつ、「もう一人の私を 紹介したくなったのは 君とこれから先も 歩きたかったからです」とモノノフに向けてメッセージを届けた。
さらに高城はステージ中央の階段に腰掛け、の子(神聖かまってちゃん)が提供したももクロの楽曲「孤独の中で鳴るBeatっ!」を歌唱。バンドの演奏をアコースティックギター1本に絞ったアレンジで楽曲の新たな魅力を引き出しながら、「大丈夫さ 大丈夫だと」と優しく歌い上げた。このブロックでは、その後もももクロの楽曲が連続。「なんとなく最低な日々」では机や椅子、コーヒーカップなどの小道具が用意され、高城は歌詞の内容に合わせて演技を交えつつ歌声を紡いでいく。「白金の夜明け」では途中からバンドのアンサンブルが厚くなり、心が開いていく様を表すように曲の疾走感が加速。「追憶のファンファーレ」の曲中には、再び少女時代の高城がステージに登場した。高城がもう1人の自分と手をつなぎながら歌う中、モノノフから寄せられた「れにちゃん がんばれ」という手書きの付箋が次々にスクリーンに映し出されるという、感動的な光景が広がった。
観客がステージ上の景色をじっと見守るようなしっとりとしたパフォーマンスが続いたが、次のブロックではセクシーな黒の衣装にチェンジした高城がさっそうと現れ、会場の空気が一変。レーザー照明がフロアを彩る中、高城はももクロの初期曲「キミとセカイ」を、1人の男性ダンサーを相手役にしてパフォーマンスし、男女間の強い愛情を大人びたムードで視覚化していく。「ROCK THE BOAT」「Guns N' Diamond」でも男性ダンサーを交えたアグレッシブなステージが展開され、激しいペアダンスが観客の視線を釘付けにした。
後半の幕間映像も高城の1人語りで進行。スクリーンにももクロのライブ映像などが映し出されたのち、虹がかかった青空が広がり、飛行機は無事にもとの世界線へと帰還した。再びCA風の衣装で登場した高城は、ソロ曲「Tail wind」「everydayれにちゃん」を続けて披露。紫のペンライトが左右に揺れ、モノノフのコールにますます力が入る中、飛行機が着陸した映像が流れると、最後は10月18日に配信リリースされたばかりの新曲「君色のひかり」へ。「つらいときや悩んだとき、“あなた”自身が照らしてる光に気付いてほしい」という、高城らしい温かなメッセージがモノノフの胸に響いた。
「アンコールへとトランジットされるお客様は、そのまま素敵なコールとともにお待ちください」というCA高城の場内アナウンスを経て、ライブはアンコールへと突入。ツアーグッズのTシャツを着用し、大きなリボンで結んだポニーテール姿で再登場した高城は、ツアーのテーマ曲「ポジティブ・アテンションプリーズ!」を披露する。曲中、まるで機内食のように台に乗せられたサイン入りのボールを手に取り、フロアへと勢いよく放り投げた。
ここでようやく、第1部最初のMCパートへ。昼公演に来場したモノノフへのプレゼントとして、「ポジティブ・アテンションプリーズ!」のミュージックビデオがステージ上のスクリーンで初公開された。そして高城は昼公演のラストに、モノノフへの思いを込めて作詞したという新曲「message」を初披露。高城らしいポジティブな言葉が詰め込まれた歌詞が、明るくポップなサウンドやメロディとともに柔らかに響きわたる。公演タイトルの「いない。」はこの曲の歌詞から引用したもので、歌い終えた高城は「もう逃げちゃいたい、やめちゃいたいと考えていたあの日の私はここにはもう“いない”と声を大にして言いたい。それはモノノフの皆さんのおかげです。本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを述べて昼のフライトを終えた。
フル @f61326
【ライブレポート】ももクロ高城れに「アイドルになれた世界線がすべて」ソロコン10周年ツアー地元横浜で“ラストフライト”(写真26枚) https://t.co/DHPq7o4c6y