台風クラブが初東京ワンマンで28曲熱演、嵐のように駆け抜けた4回ものアンコール

3

247

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 33 213
  • 1 シェア

台風クラブの全国ツアー「遠足’23」の東京公演が7月16日に東京・東京キネマ倶楽部にて開催された。

「遠足’23」東京公演の様子。(撮影:今井駿介)

「遠足’23」東京公演の様子。(撮影:今井駿介)

大きなサイズで見る(全20件)

今年2月に5年半ぶりのアルバム「アルバム第二集」を発表した台風クラブ。このツアーでは、初ワンマンとなる京都・ソクラテス公演を皮切りに全国11カ所を回った。初の東京ワンマンとなるこの公演で台風クラブは28曲もの楽曲を次々と演奏。夏真っ盛りの東京の空気に負けないような、熱気に満ちたライブを繰り広げた。

石塚淳(Vo, G)(撮影:今井駿介)

石塚淳(Vo, G)(撮影:今井駿介)[拡大]

刺すような日差しとジメジメした空気が悩ましい7月のど真ん中。キネマ倶楽部のフロアには台風クラブ初の東京ワンマンを見届けるべく大勢の人たちがひしめき合っていた。開演を待ちわびる観客の期待感が徐々に高まっていくと、入場SEが流れ出すとともに場内は暗転し、石塚淳(Vo, G)、山本啓太(B)、伊奈昌宏(Dr)の3人が登場。彼らは「下宿屋ゆうれい」でライブの幕を明け、スリーピースならではの飾り気のない無骨なアンサンブルを響かせていく。石塚が「京都の台風クラブです! 皆さんどうぞよろしくお願いします!」と威勢よく挨拶すると、3人は勢いそのままに「相棒」「ついのすみか」を演奏し、フロアを上から下へ、右から左へと縦横無尽に揺らしていった。

山本啓太(B)(撮影:今井駿介)

山本啓太(B)(撮影:今井駿介)[拡大]

その後も、「こんなめでたいパーティのダンスホールになじめない俺やあなたに」というセリフに続けて披露された「ダンスフロアのならず者」や、ギルバート・オサリバンの「Alone Again」に“勝手な日本語を乗っけた”曲「ホームアローン」、疾走感のある「旅情」が畳みかけられ、会場の熱気はぐんぐん上昇。ノスタルジックな面影の残るキネマ倶楽部によく映えるような、泥臭くもどこか洒脱な演奏や佇まいに、観客の視線は釘付けにされていく。石塚の「海辺のロックンロールをやらせてください」という言葉で始まった「42号線」では、会場に波打つような揺れが巻き起こり、演奏後にひと際大きな拍手が送られた。そして3人は第1部の最後に「なななのか」を披露。柔らかくも鋭い西陽のような照明を浴びながら、スモークが張りうすらぼんやりとしたステージから伸びやかなメロディを届けていった。

伊奈昌宏(Dr)(撮影:今井駿介)

伊奈昌宏(Dr)(撮影:今井駿介)[拡大]

10分ほどの休憩ののちにライブが再開。「潮騒」「夜行」というゆったりした2曲が奏でられると、会場にはうら寂しい空気が流れ始める。さらに力強くも切なさの漂う「日暮し」が披露されると、観客は3人の奏でる音と石塚の抒情的な歌声にじっと耳を傾けた。その後石塚は唐突に「結成年が2013年という説と2015年という説があるが、自分は2015年説を支持している」という話を始め、その2015年当時に作られた楽曲「処暑」を披露。さらに2日前できたばかりだという新曲「身も心も」を続け、最新の台風クラブを提示した。

「遠足’23」東京公演の様子。(撮影:今井駿介)

「遠足’23」東京公演の様子。(撮影:今井駿介)[拡大]

ライブ終盤に石塚が「台風クラブは意識の高いバンドなので、休憩時間も反省会をしてました。前半は演奏に重きを置きすぎてたんですけど、後半はもっと楽しんでいこうという結論に達しました」と語り、3人は台風クラブ随一のポップナンバー「春は昔」を披露。さらに「とんがりブーツ」「待ち人」が畳みかけられると、その言葉通りの楽しげなパフォーマンスから伝播するように、会場は高揚感に包まれていく。彼らは「飛・び・た・い」「へきれき」と、夏を舞台にした楽曲を連続で披露し、なだれこむようにラストナンバー「野良よ!」を演奏。怒涛のような勢いで激しいアンサンブルを響かせ、颯爽とステージを去っていった。

「遠足’23」東京公演の様子。(撮影:今井駿介)

「遠足’23」東京公演の様子。(撮影:今井駿介)[拡大]

アンコール、ダブルアンコールに入ってもなおその勢いが止まることはなく、「遠足」「台風銀座」の2曲が性急なビートに乗せて駆け抜けるように奏でられ、観客は力の限り飛び跳ねる。それでも拍手は鳴り止むことがなく、ライブはトリプルアンコールに突入。彼らは代表曲の1つ「火の玉ロック」を、原曲とは見違えるようなアップテンポで披露し退場。客電が点き、観客が帰路につき始める中、おもむろに3人が姿を現す。石塚が「台風クラブは日々アップデートしてるんで、呼ばれなくても出てきます!」とユーモア混じりに語り、ライブは4回目のアンコールへ。不意に再開されたライブに驚きと興奮を隠せない様子の観客へ、真のラストナンバー「まつりのあと」が届けられ、台風クラブ初の東京ワンマンは文字通り嵐のように過ぎ去って行った。

この記事の画像(全20件)

台風クラブ「遠足’23」2023年7月16日 東京キネマ倶楽部 セットリスト

01. 下宿屋ゆうれい
02. 相棒
03. ついのすみか
04. 道草
05. ダンスフロアのならず者
06. ホームアローン
07. ずる休み
08. 旅情
09. 42号線
10. 2013年のピンボール
11. 江ノ島
12. 抗い
13. なななのか
14. 潮騒
15. 夜行
16. 日暮し
17. 処暑
18. 身も心も(※新曲)
19. 春は昔
20. とんがりブーツ
21. 待ち人
22. 飛・び・た・い
23. へきれき
24. 野良よ!
<アンコール>
25. 遠足
<ダブルアンコール>
26. 台風銀座
<トリプルアンコール>
27. 火の玉ロック
<クアドラプルアンコール>
28. まつりのあと

全文を表示

読者の反応

  • 3

澤部渡 / スカート @skirt_oh_skirt

クアドラプルアンコール……? https://t.co/htXyqo51Z8

コメントを読む(3件)

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 台風クラブ の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。