ももクロ「ももクリ2021」は10年前のオマージュ満載、2年ぶりの開催に思わずあふれた涙

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ももいろクローバーZのワンマンライブ「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」が12月7、8日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催された。

ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」の様子。(撮影:上飯坂一)

ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」の様子。(撮影:上飯坂一)

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「ももいろクリスマス」、通称「ももクリ」は2010年にスタートしたクリスマスライブ。「春の一大事」「夏のバカ騒ぎ」と並ぶももクロ3大ライブの1つで、毎回華やかなパフォーマンスが繰り広げられている。昨年の公演は新型コロナウイルス感染拡大の影響により実施が見送りとなったが、今年は感染拡大防止のための運営ガイドラインを策定したうえで2年ぶりに開催が実現。2日間のライブは10年前の2011年12月に行われたももクロ初のさいたまスーパーアリーナ公演「ももいろクリスマス2011 さいたまスーパーアリーナ大会」を踏襲したタイトル、演出のもと進行し、モノノフ(ももクロファンの呼称)にとって必見の内容となった。この記事では昨日12月8日公演の模様をレポートする。

「PRIDE」のテーマ曲に合わせて登場したももいろクローバーZ。(撮影:高田真希子)

「PRIDE」のテーマ曲に合わせて登場したももいろクローバーZ。(撮影:高田真希子)[拡大]

メンバーがライブへの期待感を口にする影ナレやVTRが流れたのち、さいたまスーパーアリーナに力強く響き渡ったのは「ももクリ2011」のオープニングでも使用された格闘技大会「PRIDE」のテーマ曲。仰々しい太鼓の音とともにステージ上に炎やスモーク、火花が勢いよく噴出し、ナレーターのレニー・ハートの勇ましいコールに合わせてももクロが1人ずつモノノフの前に姿を現した。10年前は一面ペンライトの光で染まったアリーナの景色を前に瞳に涙を浮かべたり、緊張で目を左右に動かしたりと、初々しさを顔ににじませていたが、すっかり大人に成長したメンバーは堂々とした貫禄ある表情を浮かべる。当時の光景を思い起こせつつ、今日までの成長を見せつけるエモーショナルな演出に場内が高揚感で満たされていく中、4人は「ももクリ2011」でも1曲目に披露した「CONTRADICTION」でライブをスタートさせ、モノノフの気持ちをより一層高ぶらせた。

ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」の様子。(撮影:上飯坂一)

ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」の様子。(撮影:上飯坂一)[拡大]

グラデーションが鮮やかな新衣装に身を包んだももクロは、続いて「マホロバケーション」「ロードショー」を立て続けにパフォーマンス。ももクロの大型ライブでは大所帯のバックバンドを従えたステージングが長らく定番になっていたが、今回は「ももクリ2011」と同様に、メンバーの歌とダンスだけで場内に強固な一体感を作り上げていく。「HOLIDAY」では4人が花道を通って中央のセンターステージへと移動し、360°全方位に向けてきらびやかな笑顔と歌声を届けた。

トロッコに乗って歌うももいろクローバーZ。(撮影:高田真希子)

トロッコに乗って歌うももいろクローバーZ。(撮影:高田真希子)[拡大]

「ひさしぶりの『ももいろクリスマス』ということで、テンションアゲアゲですが皆さんいかがですかー?」といういつも通りの和気あいあいとしたMCでモノノフの心を癒やしたももクロは、次にウインターソング「今宵、ライブの下で」を情感たっぷりに歌い上げる。曲中には百田夏菜子が2年ぶりに「ももクリ」を開催できた喜びを「今日は来てくれて本当にありがとう! メリークリスマス!」という言葉に詰め込み、会場を明るく包み込んだ。高城れにが「手が痛くなるくらいの拍手を私たちにください! 私たちも皆さんに元気をお届けします!」と煽ったあとは、メンバーが別々のトロッコに乗り、4色のペンライトの光であふれるアリーナ内を回りながら「Chai Maxx」や「全力少女」という初期からのライブの人気曲を連発。客席後方まで隅々に手を振り、モノノフとのコミュニケーションを心ゆくまで楽しんだ。

シャボン玉ショーを繰り広げる玉井詩織と高城れに。(撮影:高田真希子)

シャボン玉ショーを繰り広げる玉井詩織と高城れに。(撮影:高田真希子)[拡大]

その後、4人はフリルやレースが目を引く衣装に着替え、このライブに欠かすことのできないクリスマスソング「サンタさん -ZZ ver.-」を歌唱。「ももクリ」では10年前の初回以降、「サンタさん」の曲中の「れにちゃんのぉ↑↑ もっといいとこ 見てみたい!」という掛け声に応え、高城が長時間の壮大なマジックを披露するのが恒例となっていたが、今回は高城とアシスタント役の玉井詩織の2人がかくし芸として巨大なしゃぼん玉を次々に漂わせてステージ上を幻想的に彩る。曲が終わると、高城は「(『ももクリ』の)DVDを観て思ったんです。『あれっ、これなんの時間だっけ?』って」と初披露から10年経ってようやくライブ中のマジックの時間の長さに気付いたことを明かし、今後はもっと短い尺で楽しめるかくし芸に挑戦していくことを宣言。以前からこの長尺問題を客席側で感じていたモノノフたちも高城の話にそろって同意した。

「BUTTOBI!」を初披露するももいろクローバーZ。(撮影:上飯坂一)

「BUTTOBI!」を初披露するももいろクローバーZ。(撮影:上飯坂一)[拡大]

ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」の様子。(撮影:高田真希子)

ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」の様子。(撮影:高田真希子)[拡大]

佐々木彩夏が「かなちゃんのちょっといいところでもいいんじゃない?」と高城のコーナーを奪うよう百田をそそのかす茶番も挟みつつ、ライブはここから怒涛の後半戦へ。ももクロは冬のバラードナンバー「空のカーテン」をしっとりと響かせたかと思えば、Nintendo Switch用ゲームソフト「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」とのコラボレーション企画のテーマソングである新曲「BUTTOBI!」をにぎやかに初パフォーマンス。同じくヒャダインこと前山田健一が作詞作曲した「真冬のサンサンサマータイム」や、聴く者の感情を揺さぶる独特の世界観を持つ「デモンストレーション」「天国のでたらめ」を畳みかけていった。また最近のライブで披露されることの少ないレア曲「BIONIC CHERRY」では、4人が10年前と同じように運動量の多いダンスを踊りながらステージ上を縦横無尽に駆け回ったり、無邪気な笑顔で抱き合ったりと、大人になった今も変わらないアイドル性でモノノフを楽しませた。

ライブの終盤では「モノクロデッサン -ZZ ver.-」「走れ! -ZZ ver.-」といったももクロがこれまで大切に歌い紡いできた、グループの歴史における大事なナンバーが並ぶ。4人はライブ本編の最後に映画「劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』」の主題歌「月色Chainon」を芯のある凛々しい歌声で届け、さわやかな笑みを浮かべてステージをあとにした。

ももいろクローバーZとマーティ・フリードマン。(撮影:増田慶)

ももいろクローバーZとマーティ・フリードマン。(撮影:増田慶)[拡大]

アンコールでは初期から変わらず使用されてきたSE「overture ~ももいろクローバーZ参上!!~」が鳴り響き、ステージに再び現れたももクロは10年前と同じく「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」でライブを再開する。間奏でセンターステージのせり上がり装置に乗ったマーティ・フリードマンが登場し、白熱のギターソロをプレイするという、「ももクリ2011」を再現する演出がここでも繰り広げられ、場内が大きな興奮で満たされた。マーティはダークで攻撃的なロックチューン「境界のペンデュラム」でも続けてももクロと共演し、ダイナミックな演奏でモノノフを圧倒。曲が終わり、この日に誕生日を迎えたことをメンバーに触れられると、「今日が僕の人生の中で一番楽しい誕生日です!」と顔をほころばせた。

「白い風」を歌うももいろクローバーZ。(撮影:上飯坂一)

「白い風」を歌うももいろクローバーZ。(撮影:上飯坂一)[拡大]

涙ながらに自身の思いをモノノフに伝える高城れに。(撮影:増田慶)

涙ながらに自身の思いをモノノフに伝える高城れに。(撮影:増田慶)[拡大]

そして、10年後もさいたまスーパーアリーナに集まることをモノノフと約束した4人がこの日のラストナンバーとして歌ったのは、 「ももクリ2011」で初披露した思い出の楽曲「白い風」。切なくも温かい、心のこもった歌声が会場いっぱいに広がった。曲中、感極まって涙を流した高城は「2年ぶりにこうして『ももクリ』を開催できたことが本当にうれしくて、幸せいっぱいの気持ちでこの2日間を過ごしていたんですけど、最後の曲を歌っていたら急に寂しくなって、『新しい冬をキミと見つけた』という歌詞が今の状況にリンクしているなと感じて。やっぱりこの2年間、普通のことが普通じゃなかったり、当たり前にできていたことがなかなか思うようにいかなかったり。みんな困難にぶちあたりながらも2年かけて私たちに会いに来てくれたんだなと思ったら、すごく泣けてきちゃって」とその理由を言葉に。「10年前にここのステージに立ったとき、もちろんライブ自体はすごく楽しかったんですけど、緊張とか不安で100%楽しめなかったんです。やっぱり10年ですごく成長したなって。でもそれは、モノノフさんがどんなことがあっても一緒に歩んでそばにいてくれたからなんだなと思います。今日は幸せを1つひとつ幸せを噛み締めながらライブをできたって、10年前の自分にも言ってあげたいです」「改めて言わせてください。本当にモノノフさんになってくれてありがとうございます」と精一杯の感謝の気持ちを伝えた。

感極まって涙を流す玉井詩織と、優しく寄り添う高城れに。(撮影:高田真希子)

感極まって涙を流す玉井詩織と、優しく寄り添う高城れに。(撮影:高田真希子)[拡大]

10年前、まだ15歳の中学生だった佐々木は「当時はライブが終わったら『あー、楽しかった』とか、『ちゃんとできたかなー』とか思ってたんですけど、10年経った今はライブが終わっちゃって寂しいというのが一番の気持ちで」と話しつつ、この2日間、客席に手を振りすぎて筋肉痛になったことを笑いながら報告。続く玉井は「ライブというものが絶対に生活に必要かと言ったら、『どうなんだろう。今は行くべきじゃないのかな』と考える方もいると思うし、私たちも『今は開催するときじゃないのかな』といろいろたくさん考えました。でも、こうやって2年ぶりに大きなステージに立たせていただいて、ライブって絶対に必要ものだなと思いました」と語り、客席からその言葉に賛同する拍手が沸き起こると思わず目から涙をあふれさせた。「すごいひさしぶりにライブで泣いたかもしれない(笑)」と自分自身の涙に驚いた玉井は、「自分の中で10年間を振り返りながら、『自分たち、10年で成長できたのかな』と考えながらライブをしていたんですけど、2DAYSのライブで最後まで声を枯らさずに歌えたのは10年の積み重ねがあったからなのかなと、些細なことなんですけど思ったりして」と成長の実感を口に。再び盛大な拍手を浴びた。

モノノフとの別れを惜しむももいろクローバーZ。(撮影:上飯坂一)

モノノフとの別れを惜しむももいろクローバーZ。(撮影:上飯坂一)[拡大]

最後、リーダーの百田は「アイドルと年齢ってシビアなイメージがあったけど、みんなと一緒に年齢を重ねていくこともすごく楽しくて。みんながももクロもことを必要としてライブに来てくださったときに、常に最新の私たちを、一番楽しい私たちを皆さんにお届けできるようにしたいです」と頼もしい挨拶を述べつつ、「元気でいてください。お互いにね(笑)」と病気やケガでメンバーを欠くことの多かった2021年の活動を踏まえてモノノフと健康を祈り合う。別れを惜しみつつステージ上の階段を登ったももクロは、「週末ヒロイン、ももいろクローバーZ!」というお決まりのZポーズを決め、会場に感動的な余韻を残しながら2年ぶりの「ももいろクリスマス」を締めくくった。

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ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス2021 ~さいたまスーパーアリーナ大会~」2021年12月8日 さいたまスーパーアリーナ セットリスト

01. CONTRADICTION
02. マホロバケーション
03. ロードショー
04. HOLIDAY
05. 今宵、ライブの下で
06. PLAY!
07. Chai Maxx
08. 全力少女
09. 仮想ディストピア
10. サンタさん -ZZ ver.-
11. 『Z』の誓い
12. 空のカーテン
13. BUTTOBI!
14. 真冬のサンサンサマータイム
15. デモンストレーション
16. 天国のでたらめ
17. BIONIC CHERRY
18. モノクロデッサン -ZZ ver.-
19. 走れ! -ZZ ver.-
20. 月色Chainon
<アンコール>
21. 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 feat. マーティ・フリードマン
22. 境界のペンデュラム feat. マーティ・フリードマン
23. 白い風

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べっちー🤗 @becchie76

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