「SUMMER CHAMPION」は茅原が2009年から名称を変えながらも毎年行ってきた夏恒例のイベント。今年の12月31日をもって歌手活動を休止する茅原にとって、今回が最後の「SUMMER CHAMPION」となった。
開演時間になると“CMB”ことバックバンドのChihara Minori Bandがステージに登場。続いて現れた茅原は、会場中のファンを愛おしそうに見つめながら両手で大きく手を振った。「『SUMMER CHAMPION 2021』、いくよー!」と開会宣言のごとく叫び、茅原は「Tomorrow's chance」で晴れやかにライブをスタート。CMBが奏でる爽快なサウンドに乗せて、伸びやかな歌声をステラシアターに響かせる。観客は声を出せなくとも、熱い気持ちを込めるようにフラッグを力いっぱい振った。アコースティックギターの心地のいい音色でスタートしたのは「夏を忘れたら」。穏やかな風とともにノスタルジックさを感じさせるアンサンブルが会場に広がった。
白のペンライトの美しい光を浴びながら「純白サンクチュアリィ」を歌い上げた茅原。「Lush march!!」では自身もフラッグを掲げ、ファンと一緒に旗を振ってライブを楽しんだ。茅原は「今回のライブはいつもとはちょっと違って、みんなが立ち上がることもできないし、声を出して一緒に歌うこともできないんですけど、みんなの気持ちはすっごく伝わってくるから」と会場を見渡し、「みんなに会えるのが本当に楽しみで楽しみで……夢みたいなんだよね。でも、夢じゃないんだよね。本当にみんながいるんだよね。本当にうれしいです」と思いを噛み締めるように語った。
続いて「Love Blossom」を皮切りにアコースティックコーナーへ。カホンのゆったりとしたリズムを軸にアコースティックギター、ベース、鍵盤の温かな音色が響きわたる。茅原の優しい歌声にCMBのコーラスが重なり、会場にはピースフルな空気が広がった。今回のアコースティックコーナーではハッピーな曲を届けたいという意図があったそうで、茅原は愛と希望に満ちたナンバー「Joyful Flower」を続ける。みずみずしいサウンドと歌声で会場を包み込み、楽しげにアコースティックコーナーを終えた。
「凛の花」を歌い終えたところで茅原は一度ステージを去っていき、CMBが「Theme of CMB」を演奏。バンドメンバーはユニークな自己紹介を挟みながらグルーヴィなプレイで観客を魅了した。青色の美しい衣装にチェンジして舞台に現れた茅原は、神聖な空気をまといながら「NEO FANTASIA」を歌唱。そして「次に歌うのは自分自身のテーマソングと言っても過言ではないくらい、自分自身を鼓舞してくれる歌。この曲でみんなの背中を押してあげられたらいいなと思います」と告げ、熱い思いがみなぎるナンバー「Hopeful "SOUL"」を力強く歌い上げた。その後も茅原は1曲1曲に魂を込めるように「TERMINATED」「赤い棘のギルティ」といったエネルギッシュなナンバーをパフォーマンス。会場は燃えるような赤いペンライトの光で埋め尽くされた。勢いをさらに加速させるように茅原はアッパーチューン「夢幻SPIRAL」を投下。そして火柱が上がる舞台で「Paradise Lost」を熱唱し、「みんな聞こえるよー!」とファンの心の声に力いっぱい応えた。
茅原は赤い法被を身にまとうと「まだまだ祭りは終わりませんよー!」と叫び、「美歌爛漫ノ宴ニテ」で扇子を振ってはしゃいだ。ラストナンバーは昨年リリースされたアーティスト活動15周年記念ベストアルバムのリード曲「We are stars!」。セリフありラップありの新境地のナンバーをパワフルに歌い、茅原はステージを去って行った。
アンコールで再びステージに現れた茅原は、ひまわりの花を手に持ち「Sunshine flower」を元気いっぱいに歌唱した。茅原は「みんなにこうやって会うのはひさしぶりなので改めてお話をさせてほしいなと思います」と話を切り出し、「私は2004年に声優、そして歌手としてデビューして、2007年からランティスさんで音楽活動をスタートしました。ですが、年内をもって音楽活動を休止します」と直接ファンに伝える。そして「本当にこれまで充実した毎日を過ごさせてもらってきました。この1年、みんなからたくさんお手紙やメッセージをもらったり、みんなに励まされて支えられて今日を迎えることができました。みんなが私の歌を聴いてくれて、私のことを待ってくれて、だからこそこんなに長く歌を歌い続けることができたなって、みんなに本当に感謝しています。どうもありがとうございます」とまっすぐに感謝の思いを言葉にした。その後、茅原は「みんなとの本当に楽しかった日々に感謝をしながら、この曲を歌いたいと思います」と告げて「Contact 13th」を笑顔で届ける。最後には「Freedom Dreamer」を晴れやかに歌い、彼女は客席に手を振ってステージをあとにした。
ダブルアンコールを求める拍手に呼ばれ、茅原は夏らしい浴衣姿でステージに登場。「ファイナルなんですよね。わかってるんだけど、本当にそうなのかなっていう不思議な気持ちです」と彼女はつぶやき、「やっぱり私はこの場所が大好きだなあと思った。マスクをしてるけど、みんなの笑顔がよく見える。みんなの笑顔が私のすべて。大好きだよ。みんなが大好きだよ。本当に好き」と感情をあふれさせた。茅原は13年連続で続いてきた河口湖ライブについて「毎年この場所でライブをやらせてもらって。去年は無観客になってしまいましたけど、配信でみんなが応援してくれました。こんなに長くこの場所でライブを続けてこれたという歴史は本当にすごいこと」と思いを馳せ、「2009年にスタートして、始めた頃は遠いところからみんなが集まってくれるのかなと心配していたけれど、始めてみたらみんなが毎年この場所に集まってくれて、心の底からこの場所での時間を楽しんでくれて。優しいみんなに本当に心から感謝します」と感無量の様子だった。
茅原が「SUMMER CHAMPION」を締めくくるナンバーに選んだのは「purest note ~あたたかい音」。2011年に河口湖ライブを意識して作られ、この場所でファンと一緒に育ててきた大切な楽曲を茅原はじっくりと歌い上げた。演奏が終わると茅原は客席に向かって頭を下げ、再び顔を上げたときにはその目に涙が。泣きながらも明るい声で「みんな集合ー!」とCMBを呼び集めた。これまで「SUMMER CHAMPION」に参加してきたCMBのメンバーも思い入れたっぷりに挨拶。バンマスのケニー(Key)は「ここでのライブはどれもこれも楽しくて素敵な思い出ばかりです。それが来年からないと思うと……」と寂しがるも「彼女の決断はいろいろ考え抜いた結果だと思うので、みんなで尊重しようと思います」と話す。そして「ちょっとお休みして音楽的に何かが芽生えてきたら、またここでやろうよ。僕たちCMBはいつでもどこでも飛んでやってきます! みんなもそうですよね?」と温かい眼差しで語ると、会場は割れんばかりの大きな拍手に包み込まれた。
イベントのエンディングでは、河口湖の夜空に大きな花火が次々と打ち上がる。茅原とファンは一緒に花火を眺め、特別な夏の時間を共有した。茅原は「13年間、この大好きな河口湖ステラシアターでライブを続けてこれたこと、本当に私は幸せだったなと思います。ライブの楽しさを私に教えてくれたのは、この河口湖ステラシアターでした。こんなに長い時間、13年もこんなに幸せな時間を過ごすことができたのは、みんなが私のことを好きでいてくれて、愛してくれたおかげです」とあふれる感情を言葉にする。そして大好きな場所の景色を目に焼き付けるように会場の隅々まで眺めたあと、泣き笑いの表情でマイクを通さずに「みんなー! だーいすき!」と力いっぱい叫んで13回目の「SUMMER CHAMPION」に幕を下ろした。
このライブの映像はStreaming+でアーカイブ配信されている。7日公演の配信チケットは8月14日21:00まで、8日公演は15日21:00まで販売中。
茅原実里「SUMMER CHAMPION 2021 ~Minori Chihara Final Summer Live~」2021年8月8日 河口湖ステラシアター セットリスト
01. Tomorrow's chance
02. 夏を忘れたら
03. 純白サンクチュアリィ
04. 詩人の旅
05. Lush march!!
06. Love Blossom
07. Joyful Flower
08. 凛の花
09. Theme of CMB
10. NEO FANTASIA
11. Hopeful "SOUL"
12. TERMINATED
13. 赤い棘のギルティ
14. 夢幻SPIRAL
15. Paradise Lost
16. 美歌爛漫ノ宴ニテ
17. We are stars!
18. Sunshine flower
19. Contact 13th
20. Freedom Dreamer
21. purest note ~あたたかい音
Minori Chihara the Last Live 2021 ~Re:Contact~
2021年12月26日(日)神奈川県 神奈川県民ホール
yaya @shilfol
【ライブレポート】茅原実里、河口湖ステラシアターで過ごした最後の夏「私はこの場所が大好き」(写真13枚) https://t.co/q4jvo9NgQi