吉田山田、思いの強さでファンとつながった“祭り”の一夜

吉田山田が8月26日に東京・上野恩賜公園 野外ステージにて毎年恒例のライブイベント「吉田山田祭り 2017」を開催した。

定刻を迎え、バックバンドのメンバーに続いて赤い法被を来た吉田山田が姿を現すと、オーディエンスは総立ちに。1曲目「新しい世界へ」のイントロでは早速ステージから銀テープが発射され、会場のテンションに火を点ける。山田義孝（Vo）が「最高の夜にしよう！」と呼びかけると2曲目「てんてんてんて」の演奏へ。山田が身を乗り出してファンの顔を見ながら歌唱すれば、吉田結威（G, Vo）はバンドメンバーと向かい合いながらギターを演奏するなど、2人は思い思いのパフォーマンスで歌と演奏を届けていった。

最初のMCで吉田がライブ冒頭の歌い出しを山田が失敗してしまったことに触れると、山田は申し訳なさそうにしながら「銀テープの『パン！』で頭が真っ白になっちゃった」と話し、オーディエンスに謝罪。吉田は相方をイジりながらも「こういうアクシデントがあるのがライブのだいご味」とフォローを入れ、ライブを再開させた。「ガムシャランナー」の歌唱時には、客席から「走れ！」の声が上がり、一体感のあるパフォーマンスを展開。その後2人は「街」「押し出せ」とアップチューンを畳みかけ、ライブ序盤を勢いよく駆け抜けた。

MCでライブ当日の8月26日が山田の母親の誕生日であるという話題になると、吉田は「Happy Birthday to You」を熱唱。山田は照れくさそうにしながらも、吉田や観客たちと一緒に母親の誕生日を祝福した。「タイムマシン」「キミに会いたいな」といったミドルテンポのナンバーで客席をクールダウンさせると、ギターを置いた吉田はマイクを手にして吉田と共に「約束のマーチ」を歌唱。2人が織りなす心地よいハーモニーに観客はじっと聴き入っていた。

またこの日のライブでは11月にリリース予定の新作アルバム「変身」の制作の中で誕生した新曲「浮遊」「もし」「守人」がライブで初披露された。吉田は「変わっていくことは楽しみでもありますが、怖いことでもあるんです。大事にしていたものが急に色褪せたり、その結果人を傷付けてしまったり。それでも変わろうとしている今の吉田山田をこのアルバムに詰め込みました」と、アルバムのタイトルの由来を交えながら新作に込めた思いを打ち明けた。

ライブ終盤、「ワッショイ！ ワッショイ！」のコール＆レスポンスで景気付けをした2人は「未来」をパフォーマンス。山田が客席まで下りていき、観客の目の前で歌い始めると、ステージ上でギターを弾いていた吉田は「俺も行く！」とギターを置いて客席に乱入。2人は観客が鳴らす手拍子のリズムに体を預けながら、熱のこもった歌声を会場内に響かせていく。「YES!!!」では山田の「YES!YES!YES!」の歌声に合わせて、オーディエンスが「YES!!!」と書かれたうちわをかざし、会場内は大盛り上がりに。最後のMCで山田は「つながるってことは距離じゃなくて、思いの強さなんだと思うんです。みんなとつながり合えたら、それがお守りになるんじゃないかなと思います」と感慨深そうに語り、本編最後のナンバー「魔法のような」を歌い始める。2人の歌声に合わせて客席からは自然と手拍子が上がり、ピースフルな雰囲気の中、ライブ本編は幕を閉じた。

吉田山田の2人がステージを掃けると、アンコールの代わりに客席から「約束のマーチ」の大合唱が巻き起こる。ステージに再度登場した2人はオーディエンスが歌い終わるのをじっと待ち、合唱が収まると山田は「なんだかエネルギーをもらってばっかりだな。ありがとう」とファンに感謝の気持ちを伝えた。彼らはアンコールで代表曲の1つ「日々」を歌唱。吉田が爪弾くギターの音色に山田の情感豊かな歌声が重なり、客席の中には涙を流しながら彼らの歌声を聴いているファンもいた。山田の「最後ひと盛り上がりいきましょう！」という呼びかけから、彼らは「イッパツ」「夏のペダル」の2曲をオーディエンスにプレゼント。「夏のペダル」の曲中には吉田と山田がステージ中央に置かれた和太鼓を叩き、息の合ったパフォーマンスを披露した。最後に彼らは観客と一緒に「ワッショイ！ ワッショイ！」と声を張り上げ、今年の「祭り」をフィナーレへと導いた。