熱狂!POLYSICS、LAライブ最速レポート到着

ロサンゼルス現地時間の10月18日深夜、クラブ「The Roxy」でPOLYSICSの熱いライブが終了した。密着レポ第3弾は、興奮冷めやらぬライブの様子を現地直送、最速レポートでお届けする。

満員の観客を前に日本と変わらぬ熱いライブを繰り広げるPOLYSICS。

満員の観客を前に日本と変わらぬ熱いライブを繰り広げるPOLYSICS。

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■POLYSICS米国ツアーレポート第3回

たった今ライブ終了しました。メンバー全員汗だくで楽屋の床にへたりこんでおります。と思ったらMySpace創業者で、ポリ契約をいちはやく決めた恩人、トム・アンダースン氏が東洋系美女を連れて楽屋に挨拶に来て、記念写真を撮っている。

いつものことだが、持てる力をすべて出し切る誠実さ、どれだけ動き回ってもシャウトしまくっても叩きまくっても少しも演奏が乱れない体力、プログレばりのややこしい変拍子を飛び跳ねながらこなす技術、そして尽きることのないエネルギーには本当に感心するし、圧倒されてしまう。MCが英語になっていたりするほかは、日本でいつも見る、ぼくたちが知るPOLYSICS以外の何物でもなかった。リハーサル時のモニターのトラブルも関係ない。いつものコスチュームに着替えたポリは、リハでの普段着のポリとはまったく異なる別世界を作り出していた。つまり、いつも通り最高のポリがそこにいたのである。しかし、それはライブの前から十分に想像できたことだった。だからぼくの主な関心はお客さんの反応にあった。

客席は文句なしの満員。日本の基準からすると少しフロアには余裕があるが、これはこちらの決まりらしい。ライブが始まった瞬間大歓声があがり、その8割ぐらいが前に押し寄せ、あとは後ろのほうで腕を組んで見ている。ステージに向かって左側がソファ席になっていて、ゆっくり見たいオトナたちはそこに座っている。日本のポリのライブでは最前列から最後列まで客全員テンションが上がりまくった躁状態だが、あれは結成以来の長年の活動の蓄積のたまものだ。まだポリは米国では足場を築いたばかり。前の方で騒いでいる連中はせいぜい200人ぐらいだろうが、その熱狂ぶりは日本人にも劣らない。だってさあ(といきなり口調が変わる)日本ではアンコール前にやることが多い「ブギー・テクニカ」をオープニングSE「Iron Rocks」のあとにやったんだけど、例のカヨちゃんの手裏剣を投げるみたいなフリを、何人ものファンが真似しているんだよ。日本なら見慣れた風景だけど、ここはアメリカ、LAだぜ。

このあともそんな場面はいくつもあって、メンバーの一挙手一投足に観客は敏感に反応し、ハヤシが手を振れば同じように手をふり、飛び跳ねれば同じように飛び跳ねる。「Rocket」の「ギモンギモンギモン…」というサビのフレーズも、なぜか大合唱になるのである。はっきり言って日本と同じだ。途中からぼくはガイコクで見ているという意識もなくなり、日本でいつも通りにライブを楽しんでいる気になっていた。断言してもいいが、日本人が聴いてもよく意味のわからない(わかろうという気もあまり起きない)歌詞を、ガイジンがわかるとは思えない(ハヤシの英語MCも、意味が通じているのか不明)。だが彼らは歌うのだ。我々日本人が、意味もわからない英語の歌詞のサビを「空耳」で歌うように。つまりはここで歌い踊るアメリカ人にとって、ポリが日本人であることも、遠く太平洋を渡ってやってきた言葉の通じないガイジンであることも関係ないのだ。ただかっこいいイカれたロックをやるやつら。それで十分だろう。ようやく表層的な物珍しさや、「東洋の神秘」的なオリエンタリズムで判断されない、真にグローバルなポップ・アクトが日本から登場したのかもしれない。

約1時間、18曲。申し分なく楽しめた。メンバーは明日から過酷なツアーが始まる。今日のライブは、彼らにとって、ごくありきたりな日常の一コマなのかもしれない。だが今日ライブを見に来た子供たちにとっては、かけがえのない思い出になったはずなのだ。また会おう。

(取材・文 / 小野島大 ライブ撮影 / Kaori Suzuki)

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