POLYSICS、ライブ直前の楽屋からリハ実況レポート

POLYSICSが、アルバム「We ate the machine」を携えてUSツアーを敢行! ナタリーではロサンゼルス公演に密着し、その様子を数回に分けてレポートする。第2回となる今回は、ライブ直前の楽屋の様子をお届け。メンバーはLAのクラブ「The Roxy」でリハーサルを終え、今まさにライブのスタートを待っているところだ。

普段着のままで綿密なリハーサルを行うPOLYSICSのメンバーたち。

普段着のままで綿密なリハーサルを行うPOLYSICSのメンバーたち。

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■POLYSICS米国ツアーレポート第2回

ただ今現地時間20時29分。LAのヴェニュー「The Roxy」の2階にあるPOLYSICSの楽屋で、この原稿を書いている。開演前のアーティストの楽屋で原稿を書くなんて、もちろん初めての経験だ。会場は20分ほど前に開き、続々とお客さんが入場している(今、前座のバンドが始まった)。日本人らしき東洋人もいるが、現地の若い連中の方が圧倒的に多い。ポリのコスプレをしている奴もいるが、なんだかよくわからない動物の着ぐるみを着ているやつもいる。

客層は若く、会場をぐるりと取り囲んでいる。キャパ500名ほど、東京で言えば渋谷クアトロぐらいの規模だが、過去にはブルース・スプリングスティーンやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなども演奏した名門クラブだ。こちらではあまり前売りを買うという習慣がないらしく、ふたを開けてみなければ動員の予想がつかないらしいが、お客さんの数はともかく、熱狂的なライブになることは間違いなさそうだ。開場すると列の最前列にいたやつから先を争ってステージ前の特等席に陣取るのは日本と同じ。

POLYSICS一行は15時半ごろホテルからヴェニューに到着した。しばらく待たされたあと16時ごろ会場入りしてセッティングを開始。ローディーが何人もいるような超メジャー・バンドではない。メンバー全員——もちろんカヨもフミも——がツアー車から重い楽器やアンプ類を運び、設置する。バンド活動とは肉体労働でもあるのだ。

ドラムの音を決め、ギターやベースの弦を張り(ほぼライブ2回ごとに弦は取り替えるという)、音出しの確認をして、全員が揃ってリハーサルを始めたのが17時半ぐらい。「カジャカジャグー」「Rocket」「機械食べちゃいました」を演奏しながら音のバランスやモニターの返しなどを確認し、慎重に音を決めていく。当然全員普段着での演奏だが、おなじみのオレンジのツナギのコスチュームを着ない演奏は、なんだかまるで別のバンドのように聞こえる。客がいないホールに響く音は、ベースとドラムスの音が前面に出て、ひどく生々しい。ふだんのライブのポリよりもはるかに「まともなロック」に聞こえるのは気のせいだろうか。MySpace Record社長Jの言うところの「POLYSICSの世界へのパスポート」は、まだ与えられていない。これが本番になるとどう変わるのか。興味津々である。

リハは18時過ぎごろ終了。セッティング開始から2時間以上をかけている。ポリのリハはほかのバンドと比べてもかなり綿密な方らしいが、実質的な演奏時間の倍以上の時間と、数倍の手間暇をかけて、ひとつのライブは作られている。今日がツアー初日。これから1カ月以上、こんな毎日が続く。プロのバンドって本当に大変な仕事だ。「The Roxy」でやるのは初めてらしく、メンバーはモニターの具合やステージ上の音の鳴り方などでやりにくいようだ。だがそこはプロ。本番では修正してくれるはずである。

メンバーはその後、近所のケバブ屋で慌ただしくディナーをとり、その後コスチュームに着替えて楽屋で待機。今日のライブの模様は日本のCATVで流されるらしく、今横のソファではメンバーがコメント撮りをやっている、そのあと現地のTV番組の取材が始まった。開演まであと1時間半。まだメンバーの顔には緊張の表情はうかがえない。

(取材・文 / 小野島大)

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