フジロック&サマソニで観ておきたいアーティスト2024

フジロック&サマソニで観ておきたいアーティスト2024

今年の要注目アクトをライター4人が徹底解説! あなたは誰を観に行きますか…?

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本人が選んだ今年の注目アクト

フジロックで観るべき3組

サマソニで観るべき3組

  • アルカ(8/16 SONICMANIA)
  • Number_i(8/17幕張 MARINE STAGE|8/18大阪 AIR STAGE)
  • GLAY(8/17幕張 MOUNTAIN STAGE)

充実のラインナップが出そろった今となっては、当初「どうなるんだ今年は」と余計な心配を抱いていたのが嘘みたいに双方それぞれのカラーを色濃く出したフジロックとサマソニ。ということで楽しみ方も各々のフェスならではのアクトに足を運んでいきたい。

まずフジロックでピックアップしたのは、林道や坂道を抜けた先の奥地・FIELD OF HEAVENでトップバッターを飾る渋さ知らズオーケストラ。入場して早々、メインどころを横目に歩いた先で観る20名以上のビビッドなパフォーマンスは、まさにフェスティバルの魅力の1つ“非日常”の体験と言えるだろう。前回2019年に出演した際は最終日大トリだったアクトが初日1発目に、というブッキングの振れ幅も「らしさ」を味わう格好の機会。ぜひ足を運びたい。

未知との遭遇という点で言えば、Glass Beamsとの対峙も今年の楽しみに加えておきたい。装飾で顔を覆ったメンバーの特異なビジュアルだけで好奇心を刺激されるわけだが、そこに加え幾重にも重なった異国情緒を伴って放たれるサイケデリックなバンドサウンドのインパクトは果たして、と今から期待が止まらないでいる。

Glass Beams「Mahal」ミュージックビデオ

3組目はフジ2024の会場内で最後まで音を放つ深夜RED MARQUEEに登場のKEN ISHIIを挙げる。もちろん今年は「Mr.Brightside」「Don't Look Back In Anger」などアンセムがもたらす一体感がハイライトとなるのは間違いないが、個人的にはそれらを迎えたのちに始まる最終日深夜の打ち上げムード兼体力勝負的な雰囲気にも楽しみを見出したい。これを執筆する6月末段階でタイムテーブルは未発表だが、オーラスはKEN ISHIIのソリッドなテクノとともに走り切りたいという願望も込めてピックした。

ロケーションや音楽性の懐深さを堪能するのがフジロックならば、エンタテインメントの“旬”をひとところに凝縮した密度こそが「SONICMANIA / SUMMER SONIC」の魅力だろう。まずは幕張メッセのシンプルで無骨な空間と相性のよいダンスミュージックや映像パフォーマンスを多く楽しめる「SONICMANIA」にてアルカをチェックしておきたい。Underworldやサカナクションなどでカタルシスを得るものとは趣が異なる体験として、デビュー以降その肉体や映像機器などを駆使するアルカの先進的なパフォーマンスは見逃すわけにはいかない。真鍋大度による筋電センサーと音を連動させたビジュアル演出装置をメッセで目の当たりにするとき、我々はいったいどんな感想を抱くのかと想像するだけで楽しい。

アルカ「Incendio」ミュージックビデオ

明けてサマソニ本編が始まれば、いよいよエンタメ最前線の幕を開ける。今年もピンクパンサレス、タイラといった洋楽の注目株を新しい学校のリーダーズ、BE:FIRSTが挟んでしまうようなMOUNTAIN STAGEをはじめ、洋・邦・アジア、そしてバンドからアイドルまでシーン百花繚乱のラインナップが堪能できるのがサマソニの醍醐味だろう。

その中でいくつか特徴的なブッキングパターンがサマソニにはあり、“メインステージ序盤出演のポップスター枠”として楽しみたいのがメインステージ一発目のNumber_iだ。昨年から続投のWEST.(ex. ジャニーズWEST)と出演日を分かち、男性グループ始まりで彩られる2024年のサマソニ。ファンはもちろんコーチェラなどをきっかけに興味を持った“音楽ファン”も前にしてパフォーマンスを織り成し、マリンスタジアムがどんなうねりを生むか期待が止まらない。

そして最後は、もうサマソニのというよりこの夏一番の本現場に臨むかのような気持ちで注目しているGLAY。サマソニラインナップ名物の”世代やファンダムを超えたレジェンド”枠というだけでなく、20万人を動員したと言われる伝説的ライブ「GLAY EXPO '99 SURVIVAL」の会場(幕張メッセ駐車場特設ステージ)からほど近い場所での、今回初の夏フェス参加ということで、彼ら自身にとっても特別な舞台となることは間違いない。奇しくも再現セトリライブをやったばかりだし、セットリストも含めこの“幕張公演”を逃してこの夏のフェスは語れない気すらしている。

ライブレポート

ファンとして「バンド史上初の夏フェス出演」を目撃するもよし、フェスという機会に乗じてGLAYというバンドの魅力に初めて触れてみるもよし。あらゆる形で2024年の夏を楽しんでいきたい。

本人(ホンニン)

都内在住の40代男性。サラリーマン業と育児に日常をすりつぶされながら、時折ライブやフェスに足を運んでその様子を記録するインターネットユーザーとしても活動している。著書に育児エッセイ本「こうしておれは父になる(のか)」(イースト・プレス)。フジロックには初年度に参加して以来、毎年欠かさず足を運んでいる。
本人 (@biftech) ・ X

森朋之が選んだ今年の注目アクト

フジロックで観るべき3組

  • レミ・ウルフ(7/26 WHITE STAGE)
  • ガール・イン・レッド(7/27 WHITE STAGE)
  • ルーファス・ウェインライト(7/28 GREEN STAGE)

サマソニで観るべき3組

  • マディソン・ビアー(8/17幕張|8/18大阪 MOUNTAIN STAGE)
  • タイラ(8/18幕張|8/17大阪 MOUNTAIN STAGE)
  • オーロラ(8/18幕張|8/17大阪 SONIC STAGE)

邦楽フェスであれば“好きなバンド、アーティストを見る”という楽しみ方が主流だと思いますが、海外アーティストがメインのフジロック、サマソニは“未知のアーティストとの出会い”も面白さの1つ。ラインナップを見て「知ってる人が全然いない」という方もいらっしゃると思いますが(2019年あたりから日本国内における洋楽情報と、現地での人気ぶり、ブレイクぶりのギャップが大きくなっている気がします)、それはむしろ新しい音楽をキャッチアップする絶好の機会。というか、今のフジロック、サマソニは事前に出演者をチェックしないと楽しみが半減すると思うので、ぜひがんばって調べてみましょう(私もまだまだ掘ります!)。

今回挙げさせてもらった6人のアーティストの共通点は、ソロアーティストであり、多様化する価値観を表現し続けていること、既存のポップミュージックの在り方を更新するスタイルを持っていること、そして、日本ではそこまで知られていないこと。グローバルに活躍するアーティストたちの新しさに直接触れることで、ポップミュージックに対する概念がアップデートされるというのも、フジロック、サマソニの醍醐味だと思います。

個人的に特におすすめしたいのは、ガール・イン・レッド(フジロック)とタイラ(サマソニ)。

ガール・イン・レッド「Too Much」ミュージックビデオ

ガール・イン・レッドは、ノルウェー出身、1999年生まれのマリー・ウルヴェンのソロプロジェクト。自らのセクシャリティのカミングアウトを伴った「I wanna be your girlfriend」で注目された彼女は、ビリー・アイリッシュの兄・フィニアスを共同プロデューサーに迎えたデビューアルバム「If I Could Make It Go Quiet」(2021年)でブレイクを果たしました。メンタルヘルス、ジェンダーなどをテーマにした歌詞、オルタナティブ的なセンスを備えたポップサウンドによって、Z世代のクィア・アイコンとして知られています。

タイラ「Water」ミュージックビデオ

タイラは2002年生まれ、南アフリカ・ヨハネスブルク出身の女性アーティスト。R&B、アフロビートなどを融合したジャンルレスかつボーダレスな音楽性、官能性と解放感を併せ持ったボーカルによって10代の頃から大きな注目を浴び、2023年リリースの「Girl Next Door」が話題に。さらに「Water」が世界的な大ヒットを記録し、今年のグラミー賞で「最優秀アフリカンミュージック・パフォーマンス賞」を受賞しました。サブスクの浸透によって英語圏以外のアーティストが次々とブレイクしていますが、今もっとも注目されているアフリカのポップミュージックを牽引する1人と言えるでしょう。

森朋之(モリトモユキ)

音楽ライター。2000年頃からライター活動をスタート。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な執筆媒体は音楽ナタリーのほかReal Sound、Billboard JAPAN、AERA dot.など。
森朋之 (@tmyk1969) ・ X

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