再生数急上昇ソング定点観測 (2024年6月2週目) [バックナンバー]
DJ社長の元メンへのディス曲、聴くと元気になれる? / フラミンゴの生態に詳しくなるHiHi Jetsファン続出
今、盛り上がり始めている曲 / これから盛り上がりそうな曲について詳しく解説
2024年6月14日 18:30 34
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで5月31日から6月6日にかけて集計されたミュージックビデオランキング、および急上昇ランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、9位に
SixTONES「GONG」ミュージックビデオ
12位には1995年にリリースされた
WANDS「世界が終るまでは…」THE FIRST TAKE
14位はSTARTO ENTERTAINMENTに所属する
STARTO for you「WE ARE」ミュージックビデオ
25位は
櫻坂46「自業自得」ミュージックビデオ
27位には
コムドット「拝啓、俺たちへ」ミュージックビデオ
28位には
Ado「MIRROR」ミュージックビデオ
豪華メンバーによるチャリティソング、歴史のあるバンドの名曲や人気YouTuberのデビュー曲など、幅広い楽曲が並んだ今週は下記3曲をピックアップ。
DJ SHACHO「Waiting for You in Bali island」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場26位
今回ウィークリランキング26位になった「Waiting for You in Bali island」はDJまるへのディスソング。4月に公開されたDJ銀太へのディス曲「And I'm waiting for you too」は曲調もリリックもシリアスな雰囲気だったのに対して、今回は底抜けに明るくテンションの高さが際立っている。
DJ SHACHO「And I'm waiting for you too」ミュージックビデオ
「Waiting for You in Bali island」でDJ社長は、DJまるがRepezen Foxxを辞めた経緯について、流れるようなフロウの高速ラップで告発。あくまでDJ社長の見解であり片方の言い分だけを鵜呑みにするべきではないが、楽曲としてのクオリティが妙に高いことから、歌っていることが事実か否かは差し置いて「純粋に曲として好き」という反応が多く、また耳に残るキャッチーさがあるため、元メンバーをボロクソに叩く曲でありながら「聴いていると元気になる」という声も上がっている。
サビでは勢い余ってDJ社長が、バツ3で最近4回目の結婚をしており、来月5人目の子供が生まれるという自身のプライベートも暴露。ちなみにこの件について彼は6月6日に公開した「お久しぶりです、DJ SHACHOです。」という動画で真実だと語り、「4回目の結婚は本当に好きな人とした。自分のことを一夫多妻と勘違いしていたけど、ただそれまで本気で人を好きになったことがなかったんだなと気付けた。5回目の結婚はたぶんない」と説明している。
お久しぶりです、DJ SHACHOです。
なおDJ社長は、6月6日にインドネシアのEDMフェス「ULTRA Beach Bali 2024」にDJとしてソロで出演し復帰。6月8日に福岡・みずほPayPayドーム福岡で行われた音楽フェス「MUSIC CIRCUS FUKUOKA」にてRepezen Foxxの3人体制での初ライブを行い、ひさびさに日本のファンの前に現れたDJ社長は、床に頭を付けて土下座で観客に謝罪した。
DJ SHACHO緊急帰国、ドームにて謝罪。
DJ銀太は脱退と同時にGINTAに改名し、ソロでの音楽活動をスタートさせている。Repezen Foxxと脱退した2人がこれからどんな活動を展開していくのか、今後も気になるところだ。
HiHi Jets「Mrs.Flamingo」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場49位
3月に
HiHi Jets「TODAY」(Arena Tour 2024 BINGO)
「TODAY」は5人がクールな表情のまま激しいダンスを繰り広げるという、全体的にカッコよさが際立っているパフォーマンスなのだが、「Mrs.Flamingo」は対照的な雰囲気だ。全身フラミンゴの衣装に身を包んだ3人が歌い踊るそのビジュアルは、とにかくファンシーな印象が強い。ポイントは、首を高く上げたまま翼を広げて前後に動かす「敬礼」や、そろって同じ方向に進む「後進」など、実際のフラミンゴの動きを取り入れているところ。高橋が作間に哺乳瓶でいちごオレを飲ませるラストシーンは、フラミンゴがヒナに口移しで与える赤い母乳「フラミンゴミルク」とフラメンコの掛け声「オレ」をかけたものだろう。こういう小ネタについて調べることで、フラミンゴの生態に詳しくなるファンが続出している。
アイドルソング、特にSTARTO所属アーティストの曲の中には、本人たちはいたって真剣に歌っているが歌詞などが意味不明なため、愛を込めて“トンチキソング”と呼ばれているものがある。「Mrs.Flamingo」に関してはファンの間で「心から真剣に歌う感じがまさに正統なトンチキソング」「近年稀に見るトンチキ」「トンチキソングの新たな歴史が刻まれた」と歓迎されている一方で、「見た目のインパクトは強いが、変なフレーズもなく、曲だけ聴けばストレートにいい曲なのでトンチキソングではない」という意見も出ており、そんな批評性の高さもこの曲の魅力になっているのだろう。
マサラダ「(ム)責任集合体」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場99位
1年前の2023年6月にボカロPとしての活動を開始したマサラダは、初めて投稿したボカロ曲「ライアーダンサー」のMVがYouTubeにて現時点で600万再生を超える大ヒット。ボカロリスナーの間で「楽曲に込められた意味を深く知りたい考察班も、単純に腕を振って踊りたい人も楽しめる快作」と1作目にして高い評価を得た。
マサラダ「ライアーダンサー」ミュージックビデオ
その後に発表した「ちっちゃな私」と「ウルトラトレーラー」も含め、すべてのMVがニコニコ動画でミリオンを突破。今、破竹の勢いを見せているマサラダが、新たに発表した楽曲が「(ム)責任集合体」だ。
この曲はおそらく、SNSで誹謗中傷する人たちを歌っているのだろう。「おれは しらない / なにも しらない」や「わたしたち ぜったいにみてません!! / いってません! きいてません!」などのフレーズは、誹謗中傷が大きな問題に発展すると急に「自分は関与していない」と無責任になる様を見事な筆致で描いているように見える。そんなネット社会の風刺を感じさせる歌詞を、軽快なトラックに乗せて何度も聴きたくなる中毒性の高い曲に仕上げるマサラダ。そのソングライターとしての才能を堪能できる1曲だ。
※高橋優斗の「高」ははしご高が正式表記。
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- 真貝聡
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ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。
サゅ @nnukgr
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