Ettoneインタビュー|7人にとっての“LOOSE POPS”と“クリエイティブ”とは?

音楽、ダンス、ビジュアル、言葉といったそれぞれの得意分野を持ち寄りながら、独自の表現を切り開いている7人組の“クリエイティブガールグループ”Ettone。2025年のデビュー以降、「U+U」「東京劇場」と作品を重ねるごとに、その輪郭を少しずつ広げてきた彼女たちが掲げるのは、O21 Label Head / Executive ProducerのALYSAが提唱する“LOOSE POPS”という音楽ジャンルだ。耳なじみのよさの中に余白や余韻を宿し、聴き手それぞれの記憶や感情に寄り添うその音楽性は、ヒューマンビートシンガーYAMORIを迎えた最新曲「トワイライト」にも色濃く息づいている。今回のインタビューでは、Ettoneというグループの現在地と、“LOOSE POPS”に込めた思い、そして「トワイライト」の制作背景について、メンバーそれぞれに語ってもらった。

取材・文 / 黒田隆憲撮影 / 堅田ひとみ

余白こそがLOOSE POPS

──まずは、Ettoneが掲げる「LOOSE POPS」というジャンルについて伺います。さまざまな場でお話しされていると思いますが、改めてそれぞれがLOOSE POPSというジャンルをどのように解釈されているか聞かせてください。

chiharu 私は、ありのままの自分に立ち返れる音楽がLOOSE POPSだと思っています。曲を聴くことで過去を振り返ったり、自分を見つめ直したり、自分自身を知るための一歩を踏み出せたりする。ここまで活動してきて、そんな音楽なんじゃないかなと感じています。

yuzuki Ettoneの音楽って、聴き手がすごく情景を思い浮かべやすいと思うんです。聴く人によって解釈も違えば、思い出す風景も浮かぶ景色も違う。私たちはよく「余白」という言葉を使うのですが、その余白や余韻を大事にしている音楽がLOOSE POPSであり、Ettoneらしさなのかなと思っています。

mirano LOOSE POPSは、J-POPとしての親しみやすさと、ある種のオルタナティブな奥深さが両立しているジャンルだと思っています。耳なじみのいいサウンドやメロディ、ハーモニーを大切にしていながらも、聴けば聴くほど言葉やコードのギミック、1つひとつのこだわりに深みを感じてもらえる。そこがLOOSE POPSの魅力だと思います。

anri Ettoneの音楽は、輪郭をはっきり示して伝えるというより、言葉にしきれない空気や匂い、色、雰囲気のようなものを表現していると思うんです。聴き手が自分の経験に置き換えられるような余白がある。その余白こそが、LOOSE POPSの特徴なのかなと私は捉えています。

shion 私は、7人それぞれ声質が違うことが、LOOSE POPSを表現するうえでの強みだと思っていて。それぞれの声や世界観が重なり合うことで生まれるハーモニーは、Ettoneならではのものだと思うので、そんな音楽をたくさんの人に届けていきたいです。

koyuki みんなは音楽的な面からLOOSE POPSを説明してくれたのですが、私はもっとマインドに近いものとして捉えています。等身大でいること、ありのままの自分でいることの美しさというか。ずっとがんばり続けなくてもいいし、疲れたときは休んでいい。悲しいときは我慢しないで泣いて、うれしいときは全力で喜ぶ。そうやって自分の心に正直でいることが、LOOSE POPSなんじゃないかなと思います。

pia 私が考えるLOOSE POPSは、miranoが言ったことに近いです。決まった型ではなく、そのときに表現したいメッセージや、リスナーに思い出してほしい景色に合わせて、ふさわしいサウンドを選んでいけるものだと思っています。リリースごとに音の表情が変わっても、7人それぞれ違う声質が重なってできるハーモニーがあるから統一感が生まれる。そこにLOOSE POPSの大きな特徴があると思っています。

Ettone

Ettone

7人にとっての“クリエイティブ”とは

──Ettoneは「クリエイティブガールグループ」というコンセプトも掲げていますね。クリエイティブであるために日頃から心がけていることを教えてください。

chiharu 私は昔から、物事をしっかり考えたうえで行動するタイプなんです。自問自答することも多いですし、言葉について考えるのも好きで。インプットもアウトプットも好きなので、日常の中でも、できるだけたくさんのことを感じ取れる自分でいたいと思っています。人との関係や自分の在り方について考えながら過ごすことが、そのまま歌詞などの表現につながっている気がします。

chiharu

chiharu

yuzuki 私はリズムについて考えるのがすごく好きなんです。家にカホンがあるんですけど、メイクするときにも座って叩いたりするくらいで(笑)。民族音楽の動画を観るのも好きで、自分は本当にリズムが好きなんだなって感じます。まだまだ勉強中ですけど、これからもっと深掘りしていきたいです。

mirano 私は振付で貢献できるよう、今はダンスを磨いているところです。将来的には、振付だけでなく、トラックメイクや言葉、ビジュアルの世界観まで含めて、自分の力で届けられる表現者になりたくて。そのために大切にしているのは、好きなものをとことん突き詰めることと、苦手分野を作らないことです。自分が普段触れないジャンルでも、興味を持ったらまず飛び込んでみる。そういう小さな経験の積み重ねが、自分の表現につながっていくと思っています。

mirano

mirano

──miranoさんは、もともとどんなきっかけでダンスを習い始めたのですか?

mirano 子供の頃にチアダンスをやっていて、そこで人前に立って踊る楽しさを知りました。その後、友達がダンスをしているのを見て自分もやってみたいと思うようになり、いろいろなスタジオを回る中でヒップホップに出会ったんです。Run-D.M.C.のようなカルチャーにも強く影響を受けて、ずっとダンスを続けてきました。アーティストのサポートダンサーを経験したり、ロックやジャズなどさまざまなジャンルに触れたりする中で、歌って踊ること、音楽を仕事にすることを意識するようになり、今Ettoneにいます。

Ettone

Ettone

──そのほかの皆さんはそれぞれクリエイティブでいるために何を大切にされていますか?

anri 私は学ぶことがすごく好きで。最近は大学の授業で「同じ音を聴いていても、経験によって知覚の時点ですでに受け取り方が違う」という話を聞いて、とても興味を惹かれました。私たちは同じものを見たり聞いたりしていても、解釈が違うだけじゃなく、そもそも知覚しているもの自体が違う。だからこそ、もっと見えるようになりたいし、もっと聞こえるようになりたい。そのために、本や映画も含めて、自分のフィルターを変えてくれるものを大切にしたいと思っています。

shion 私は最近トラックメイクにハマっているんですけど、人とのコミュニケーションや、映画、ドラマ、本のような物語に触れることも大事にしています。Ettoneは7人いるからこそ、自分1人では届かないところをほかのメンバーに助けてもらいながら、作品を作れる。それはEttoneだからこそできることだと思いますし、そういう環境にいることに、すごくやりがいを感じます。

shion

shion

koyuki Ettoneとして自分に何ができるかを考えたときに、私はメイクや美容が得意なんだと改めて気付いたんです。メイクって、その人の素材を生かすことだと思っていて。顔立ちや骨格、似合う色味も1人ひとり違うので、その人に合った見せ方やどうプロデュースするかを考えることにすごく興味があります。最近はいろんな国のメイクも見ながら勉強していて。そういう感覚を今後Ettoneにも生かしていけたらいいなと思っています。

pia 私はジャズやクラシック、日本のアンダーグラウンドな音楽まで、ジャンルを問わずいろいろ聴いているのですが、気が付くと「この要素とこの要素を組み合わせたら面白そう」みたいなことを考えているんですよね。絵を描くのも好きなので、いつも小さいノートと色鉛筆を持ち歩いています。Ettoneの楽曲でも、「この人がこのパートを歌ったら、こういうメッセージが伝わりそう」と想像したりすることが、自分のクリエイティブにつながっている気がします。

pia

pia

──小さい頃から、さまざまなジャンルの音楽を聴いていたのですか?

pia 最初のきっかけは、父が昔からバンドをやっていたことでした。私はオーストラリア育ちなんですけど、家には楽器がたくさんあって。妹や親戚も音楽をやっていたので、常に音楽が身近にあったんです。でも私はまずダンスから始めて、ジャズやスローモダンのようなジャンルを通じて、音を身体や表情で表現する感覚を学んできました。通っていた学校もミュージカルに強いことで有名で、踊ったり歌ったりする機会が多かったこともあり、そこから音楽への興味が深まっていきました。