第1回日本映画装飾協会賞の授賞式が本日12月13日に東京・TIME SHARING 新宿で行われ、プレゼンターとして
日本映画装飾協会賞は、装飾や小道具といった“画面の奥にある仕事”に光を当て、現場を支える人材の発掘と、職能の継承を目指して創設されたもの。今回は2024年10月1日から2025年9月30日までに公開・放送・配信された、映画102作品と地上波ドラマおよび配信ドラマ43本が審査対象となった。1次審査は日本映像職能連合のメンバー、最終審査は日本映画装飾協会の理事会による投票によって行われた。
日本映画装飾協会の代表理事・若松孝市は「装飾協会は昨年10月1日に創設され、ピカピカの1年生をやっと終えたところです。現在の会員は総勢255名で、今後もっと会員が増えるよう盛り上げていければ」と挨拶。「これまで日本アカデミー賞の正賞では美術賞しかありませんでしたが、前回初めてクリエイティブ貢献賞として映画『ゴールデンカムイ』が装飾で受賞しました」と述べ、今後も存在感を出していきたいと語る。
イベントでは各作品の装飾担当がスピーチを行った。映画部門の最優秀賞「国宝」の酒井は「こういった賞が生まれたことをきっかけに、装飾に入ってくれる若い子が増えたらうれしいです。そして引き続き現場に残れるような仕事環境だといいなと思います」とコメントする。優秀賞は「
「【推しの子】-The Final Act-」の神戸信次は「レジェンドから学んだ装飾という仕事を下の世代に伝えていきたい」、「宝島」の渡辺大智は「お亡くなりになった方々、引退された方々が耕してくれた畑でこうして賞をいただけてありがたいです。いいチームでできた作品が賞をいただけたこと、若い世代にとっても励みになると思います。50年、100年と協会を続けてください」と思いを伝えた。
ドラマ・配信部門の最優秀賞「新幹線大爆破」の松下は「木更津のほうでほぼこもりきりな状態で作業をしまして、いろいろな方にご迷惑を掛けたと思いますが、JRの方にもご協力いただき、そのかいもあって車両も司令所もリアルに再現できたかと思います。実際にJRの方からも『本物と変わらない』と言っていただけて」「皆さんのお力添えのおかげ」と感謝した。
また優秀賞を受賞した連続テレビ小説「
小道具、持ち道具、倉庫管理、道具製作などで装飾・美術部門を支えているスタッフを顕彰する貢献賞も発表。赤松慶人、木皿洋子、権田里絵、中道健太が受賞した。赤松は「『私でいいんですか?』というのが正直なところでした。40年キャリアがある中で、世間をざわつかせるような大型の作品を担当したこともなく」「普段は道具の管理などを毎日繰り返していますが、当たり前のことを当たり前にやっていて。それを評価していただいたことを非常にありがたく光栄に思います」と感謝を口にする。なお功労章は山田好男、松本良二に授与された。
終盤には柄本もスピーチ。「僕の親父とお袋は映画の話ばかりしていました。そんな家庭で育ったので映画館が好きになって、こういった仕事にも就きました。僕の子供たちも映画館が好きです。暗闇に入って“のぞきをする”ということが映画の楽しさ。映画は1人では作れません」と言って会場を見やり、「だんだんと、あの現場の人かなと思い出してきますね」と笑顔を浮かべる。また「装飾協会が生まれたと聞いて、『え、まだできていなかったのか』というのが正直な感想でした。授賞式第1回のプレゼンターに選んでいただいたことが、ものすごくうれしいです。お一人お一人の顔が輝いていますね。これからも協会が長く続いてほしいです」と語った。
第1回 日本映画装飾協会賞 受賞結果
映画部門
最優秀賞
「国宝」
美術:種田陽平 / 下山奈緒
装飾:酒井拓磨
優秀賞
「雨の中の慾情」
美術:磯貝さやか
装飾:折戸美由紀
「【推しの子】-The Final Act-」
美術:神田諭
装飾:神戸信次
「宝島」
美術:花谷秀文
装飾:渡辺大智 / 島村篤史
ドラマ・配信部門
最優秀賞
「新幹線大爆破」
美術:佐久嶋依里 / 加藤たく郎
装飾:松下利秀
優秀賞
「連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―」
美術:磯見俊裕 / 露木恵美子
装飾:大庭信正 / 松本吉正 / 柳澤武
連続テレビ小説「あんぱん」
美術:伊達美貴子
装飾:神戸信次
貢献賞
小道具管理課責任者:赤松慶人(京阪商会)
小道具:木皿洋子(京映アーツ)
C・G デザイン:権田里絵(東京美工)
持ち道具・装飾:中道健太(DEXI)
功労賞
装飾:山田好男(飾り屋)
装飾:松本良二(日映装飾美術)
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