東映の映画「
樋口は1975年の公開当時、宣伝用に制作された「新幹線大爆破」の“のぼり”を手に登壇。映画はちょうど50年前の7月5日の公開初日に観たそうで「小学4年生だったか、初日に学校をサボって小遣いを握りしめて行きました。ランドセルを隠して、もぎりの前でこう……」と、身振りを交えながら当時の状況を再現。「いざ映画を観たら高倉健さん(沖田役)も山本圭さん(古賀役)も犯人役で、悪いことをした人たちが劇中で亡くなっていく。学校をサボった自分に置き換えて怖くなった」と振り返って観客を笑わせた。
さらに樋口は「ミニチュアの出来が本当にいい!」と作品のリアリティを支えた特撮技術について熱弁。ミニチュアと写真の切り抜きを組み合わせて作られた浜松駅前のシーン、東映の撮影所内に作られたオープンセットの東京駅など見どころに触れ、「ある意味、この映画のすべてのカットが特撮と言える」と語った。
ウルトラマンや怪獣のデザインを手がけた成田亨が「新幹線大爆破」の特殊撮影に関わっていることも紹介。成田は同年に始まった東映の「トラック野郎」シリーズにも参加しており、「『トラック野郎』も実は大特撮映画なんですよ」と言及する。公開当時は「新幹線大爆破」の上映前に「トラック野郎」の予告が付いていたそうで、樋口は「やべえ! 新幹線の次はトラックだ!と興奮したのを覚えています」と思い返した。
話題はNetflix映画「新幹線大爆破」にも及び、樋口は「Netflix版を観た人には、ぜひこの映画(東映版)を観てほしいという思いがありました。実際にNetflix版でも、東映版で宇津井健さんが演じた倉持運転指令長が双眼鏡をのぞくシーンや、商社マンが錯乱するシーンをどうしてもやりたかった」と述懐。クライマックスの撮影前には主演の草なぎ剛と2時間以上にわたって話したそうで、「人を殺すか殺さないか、という話に対してどれだけリアリティを持てるか。自分の死生観はノストラダムスの大予言から来ている、なんて話までしました」と明かした。
最後に樋口は、閉館する丸の内TOEIについて「映画館は記憶を作り出す場所。この映画館には、ほかにはない味があったと思います。それも含めて、ここで観られた楽しみ。この楽しい思い出を持って帰って、いつまでも記憶の中でこの映画館をかわいがっていただけたら。僕も、皆さんと気持ちは一緒です」と呼びかけ、イベントの幕を引いた。
80タイトル以上を特集する「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトは7月27日まで開催中。
※草なぎ剛のなぎは弓へんに前の旧字体、その下に刀が正式表記
さよなら 丸の内TOEI
開催中~7月27日(日)東京都 丸の内TOEI
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樋口真嗣が東映版「新幹線大爆破」50年前の公開初日を回想、ミニチュアの魅力も熱弁
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