1923年9月に朝鮮人の虚無主義者 / 民族主義者の朴烈とともに検束され、1926年3月に大逆罪で死刑判決を受けた文子。恩赦で無期に減刑され、栃木女子刑務所に送られるも同年7月23日に23歳で独房にて自死した。本作では、残された生の声を伝える短歌をもとに、死刑判決から自死に至るまでの文子の121日間の闘いが描かれる。
1971年にピンク映画で監督デビューし、300本を超える映画を監督・制作してきた浜野。文子の最後の孤独な闘いを映画化することを切望し続けてきた彼女が、監督人生の集大成として本作を完成させた。また浜野の作品「百合子、ダスヴィダーニヤ」「雪子さんの足音」にも出演している菜葉菜が最後まで国家権力に抵抗した文子を演じ、朴烈役で
浜野は「100年後の『今』という時代にこそ、権力に抗い、たった一人で国家に戦いを挑んだ『文子』という爆弾を投げ込みたい。その私の願いが、まるで文子が乗り移ったかのような菜葉菜さんという役者を得て、今作品で結実しました。ぜひ一人でも多くの人に見ていただけることを願っています」とつづり、菜葉菜は「誰よりも強い覚悟と思いを持った浜野監督,そして心強いスタッフやキャスト、関わる全ての方々のお陰で最後まで走り抜けることが出来た。今の時代だからこそ,この映画を通して多くの方に金子文子という人を知ってもらい、感じて頂けたら本望です」と伝えている。2人のコメント全文は後掲している。
なお本作は、戦前の裁判所や刑務所を移築した長野・松本市歴史の里などで撮影を実施。
※山崎邦紀の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
浜野佐知 コメント
私が金子文子と出会ったのは、文子が獄中で残した自伝「金子文子 何が私をこうさせたか」でした。読み進むうちに時代も年齢も違うのに、文子の魂が私の中で蘇ったかのような感覚を覚えました。日本という国からの、あらゆる差別に猛然と反発した文子、その怒りを、私は自分の怒りとして受け止めたのです。
無籍者として存在を消され、一時期奴隷同然の生活を強いられた文子とは比べ物にもなりませんが、私もまた、女は映画監督になれないと門を閉ざした日本映画界で、映画監督への道を歩み、生き抜いてきたからです。
100年後の「今」という時代にこそ、権力に抗い、たった一人で国家に戦いを挑んだ「文子」という爆弾を投げ込みたい。
その私の願いが、まるで文子が乗り移ったかのような菜葉菜さんという役者を得て、今作品で結実しました。
ぜひ一人でも多くの人に見ていただけることを願っています。
菜葉菜 コメント
金子文子は100年前の日本で、たった一人で国家に真っ向から闘いを挑み続け,壮絶な人生を駆け抜けた女性。
彼女を演じることは決して容易ではなかったが、誰よりも強い覚悟と思いを持った浜野監督,そして心強いスタッフやキャスト、関わる全ての方々のお陰で最後まで走り抜けることが出来た。
今の時代だからこそ,この映画を通して多くの方に金子文子という人を知ってもらい、感じて頂けたら本望です。
風間勇助 @Kazama_narapu
死刑判決から自死するまで、金子文子に何があったのか?浜野佐知の監督作が来年公開(コメントあり) https://t.co/5mwyDloggU