「ゴジラ-1.0」でアカデミー賞受賞の山崎貴「ここが出発点」、オスカー像は緊張を忘れる重さ

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ゴジラ-1.0(マイナスワン)」が、第96回アカデミー賞で日本映画として初めて視覚効果賞を獲得。その受賞記念記者会見が、本日3月12日に東京・羽田空港のTIAT SKY HALLで行われた。

「ゴジラ-1.0」アカデミー賞受賞記念会見の様子。左から高橋正紀、浜辺美波、山崎貴、渋谷紀世子、野島達司。

「ゴジラ-1.0」アカデミー賞受賞記念会見の様子。左から高橋正紀、浜辺美波、山崎貴、渋谷紀世子、野島達司。

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監督・山崎貴らが会見に出席

「ゴジラ-1.0」アカデミー賞受賞記念会見の様子。

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同作は、日本映画としてアカデミー賞の視覚効果賞に初めてノミネートされ、初受賞を果たした。なお、同部門における監督の受賞は、「2001年宇宙の旅」のスタンリー・キューブリック以来、55年ぶり、史上2人目。会見には、監督・脚本・VFXを担った山崎貴、VFXディレクターの渋谷紀世子、3DCGディレクターの高橋正紀、エフェクトアーティスト / コンポジターの野島達司が出席した。

オスカー像の重さにびっくり

山崎貴

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渋谷紀世子

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山崎は「最高の結果になってほっとしています」と率直な心境を明かし、オスカー像を手にした際の思いを「想像をはるかに超えていて、緊張を一瞬忘れるくらいの重さでびっくりしました。本当は(プレゼンターのアーノルド・)シュワルツェネッガーさんからもらいたかったけど……(笑)。そのあと握手ができたのでよかったです」と冗談混じりで伝える。渋谷は「獲った瞬間はびっくり。直前にテキーラが配られたのもあって、めちゃめちゃテンションが上がってしまいました」とはにかんだ。

高橋は「頭が真っ白で、よくわからなかったです」と受賞の瞬間を回想し、「僕はシュワルツェネッガーさんからトロフィーをもらいましたが、目を見ただけでいい人なのがわかりました(笑)」とも語る。野島は「僕もシュワルツェネッガーさんからいただきました。壇上に上がるまでの間に何が起こったのかを頭が理解し始めて、感じたことのないしびれがありました」と懐かしんだ。

ゴジラはワールドワイドな大スター

金のゴジラ像(左)とゴジラ像(右)。

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今後の野望を問われた山崎は「いっぱいありますが、ここで言ってしまうと難しいことになりそう(笑)」「日本映画がハリウッドでそれなりの興行成績を上げられて、賞ももらえた。今後の日本映画の作り方が少し変わっていく可能性を秘めていると思います」と前置きをしたあと、「賞を目指す映画はあまり好きじゃない。作りたいものを徹底的に作っていけば、道が開ける可能性があるかも」と続ける。

そして今回の受賞について「完全にゴジラのおかげ。ゴジラがアカデミー賞に連れていってくれたし、ワールドワイドな大スターだと思い知らされました」と言及し、「ゴジラのVFXだからあの場所に立てた、と改めて思わなければ」と力強く語った。

「僕たちにも門を開いてもらえた」

視覚効果賞に関して、山崎は「オスカー(アカデミー賞)の中でも聖域中の聖域で、僕らには挑戦権がなかったし、夢見ることさえも許されていなかった場所」とコメントする。さらに「僕たちにも門を開いてもらえたのはすごくうれしいこと。ハリウッドという場所の懐の広さ、力強さ、僕らが賞を獲ったからといって、彼らの映画産業は揺らがないという自信を感じました。皆さんの温かさも本当にうれしかった」「VFXは、僕の活動の中で一番長いキャリア。ずっとやり続けてきて、この場所(受賞)があったのはうれしいことです」としみじみ。制作時、山崎に“物申す”機会が多かったという野島は「ゴジラだということもあって、普段よりも言っちゃったなあと思いました」と照れ笑いを浮かべた。

中枢に近づいたからこそ感じる“すごさ”

高橋正紀

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続いて、同賞にノミネートされた作品の話題に。高橋は「ベイクオフ(アカデミー賞の会員を主な対象とした試写会)で、ほかの作品を観たときに、VFXをやっている身としては素直にすごいなと思いました」と話す。

受賞の決め手を聞かれた渋谷は「ベイクオフのときに『VFXを作り始めた頃を思い出した』と言われることがよくありました。そんな温かい気持ちで見守っていただけたことも含めて、皆さんに響いたのかな」と、野島は「僕たちはもがきながらVFXを作っていました。全部の“ピース”がはまって、こういう結果になったのだと思います」と述べる。山崎は「VFXが物語にいかに貢献したかが大事にされる。ゴジラの恐怖感、絶望感が話に非常に貢献しているので、その部分が評価されたと思う」「今回はラッキーパンチだと感じますし、いろんな状況が重なっての受賞。(アカデミー賞の)中枢に近づいたからこそ感じる“すごさ”がありました」と回想した。

初パスポート、初海外、初オスカー

野島達司

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「ゴジラ-1.0」アカデミー賞受賞記念会見の様子。

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1998年生まれの野島は、“初パスポート(取得)、初海外、初サマータイム、初オスカー”の初めて尽くし。彼は「オスカー像の精神的・物理的な重みで、両腕が筋肉痛です」とつぶやき、報道陣を笑わせる。そんな彼は、山崎から「これが人生のピークにならないようにね」と心配されると、「天才でいてくれてありがとうございました」と感謝の言葉を返した。

「阿部さんにいてほしかった」

「ゴジラ-1.0」を手がけたプロデューサー・阿部秀司は、2023年12月に死去。山崎らは彼の写真を持って、アカデミー賞の大きな舞台に上がった。

2000年の監督デビュー作「ジュブナイル」からの付き合いだという山崎は「僕を監督にしてくれた恩人。映画を作るうえで羅針盤のように方向を示してくれたし、監督としての幅を広げてくれた。人生のさまざまな場所で助言と行動をしてくれました」と思いを言葉にしていき、「オスカーを手にして、一通りのお祭り騒ぎが終わると、『阿部さんにいてほしかったな。どんなに喜んだだろう』と感じました」と目を細めた。

浜辺美波「思ったよりすごく重たい!」

花束を持って駆け付けた浜辺美波(左)。

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オスカー像の重さに驚く浜辺美波(奥)。

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左から金のゴジラ像、ゴジラ像、オスカー像、山崎貴。

左から金のゴジラ像、ゴジラ像、オスカー像、山崎貴。[拡大]

会見の終盤には、登壇者へのサプライズとしてキャストの浜辺美波が登場した。浜辺は「本当におめでとうございます」と山崎に花束を手渡したあと、オスカー像を手にして「思っていたよりすごく重たい! 生で見られる日が来ると思っていませんでした」と驚いた。

最後に山崎は「あまりにもうまく行きすぎていて怖い。スタッフ、キャストの皆さんの努力がゴジラをここまで押し上げてくれたし、ゴジラだからあの場所に行けた。ここを出発点として、さらにいろんなことに挑戦していきたいです」と挨拶し、会見を締めくくった。

「ゴジラ-1.0」は全国で公開中。Blu-ray / DVDは5月1日に発売される。神木隆之介、浜辺、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介らがキャストに名を連ねた。

※高橋正紀の高は、はしご高が正式表記

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映画「ゴジラ-1.0」予告編

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