「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」が本日7月2日から10月6日にかけて東京・東京国立近代美術館で開催。7月1日に記者内見会が行われた。
本展は、2018年4月に死去したアニメーション監督・
展示は現在から高畑が生まれた1935年までをさかのぼる形で、作品群とアニメーションの歴史を振り返る年譜からスタート。高畑を写したモノクロ写真で覆われたトンネルをくぐると、彼がアニメーションを志すきっかけとなったフランス映画「
そして第1章「出発点─アニメーション映画への情熱」では、東映動画(現:東映アニメーション)時代の仕事を紹介。中でも高畑が20代半ばの1960年前後に書いたメモ「ぼくらのかぐや姫」は、遺作となった2013年公開作「
また第2章「日常生活のよろこび─アニメーションの新たな表現領域を開拓」では、「パンダコパンダ」やテレビシリーズ「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」「赤毛のアン」における高畑の演出の秘密に迫る。日常生活の丹念な描写を重視した高畑は、ヤギの生態やチーズ作りなど細部を書き記した「アルプスの少女ハイジ」企画ノート、少女アンが何歳の何月に何をしたかを把握するため原作の出来事を正確な時間軸で書き起こした「赤毛のアン」設定ノートなども残した。
続いて高畑の「日本人が日本のアニメーションを作る、とはどういうことか、いつも考えていました」という言葉とともに、第3章「日本文化への眼差し─過去と現在との対話」のコーナーが広がる。「じゃりン子チエ」をきっかけに、日本の風土や庶民生活の描写に着目し始めた高畑は、その後も「火垂るの墓」「
第4章「スケッチの躍動─新たなアニメーションへの挑戦」は、「ホーホケキョ・となりの山田くん」「かぐや姫の物語」の展示が中心に。転げる赤子、疾走する姫、桜の木の下での舞いといった「かぐや姫の物語」における具体的なシーンの原動画を参照しながら、アニメーションの新たな表現形式を模索した制作陣の創意工夫の一端を垣間見ることができる。そのほか展覧会では「ドラえもん」アニメ化に際し高畑が執筆した企画書、アニメ「ルパン三世」の絵コンテなども展示された。
「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」では、多数のオリジナルグッズも販売。「太陽の王子 ホルスの大冒険」から「かぐや姫の物語」までの作品群からポストカード、A4クリアファイル、しおり、ブックカバー、手ぬぐい、ネックレスなどが用意された。7月21日には映像研究家・叶精二による記念講演会「高畑勲の革新的アニメーション演出術」も開催となる。なお本展では俳優の中川大志が音声ガイドを務めている。
高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの
2019年7月2日(火)~10月6日(日) 東京国立近代美術館 1階 企画展ギャラリー
開館時間 10:00~17:00(金曜・土曜は10:00~21:00)※入館は閉館30分前まで
料金:一般 1500円 / 大学生 1100円 / 高校生600円
※中学生以下、障害者手帳を提示した本人およびその付添者1名は無料
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- 「高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」公式サイト
- 東京国立近代美術館 公式サイト
- 「アルプスの少女ハイジ」公式サイト
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三宅陽一郎MiyakeYouichiro @miyayou
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