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「東京暮色」4K版がベルリンで上映、ヴェンダースと坂本龍一が小津安二郎を語る

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現在ドイツにて開催中の第68回ベルリン国際映画祭クラシック部門で、現地時間2月17日、小津安二郎による「東京暮色」の4Kデジタル修復版がワールドプレミア上映された。

1957年公開の「東京暮色」は、小津にとって最後のモノクロ映画。妻に逃げられた父親と2人の娘を描いた家族劇で、原節子、有馬稲子、笠智衆、山田五十鈴らが出演している。

入場できない観客が出るほど盛況だった上映会場には、監督作「ベルリン・天使の詩」がクラシック部門に招待されたヴィム・ヴェンダース、同映画祭で審査員を務める坂本龍一が登壇。上映前のスピーチでヴェンダースは「偶然にも、昨夜『ベルリン・天使の詩』4Kデジタル修復版の上映がありました。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこの映画を私の芸術上の守護天使の1人である小津安二郎に捧げています」と小津への敬意を語る。

続けてヴェンダースは「『東京暮色』は、私がとても好きな作品です。理由はいくつかあって、小津作品最後の白黒映画であり、白黒映画の真の傑作だということ。そして、非常にフィルムノワールな点。また面白いことに、当時のフランスの哲学である実存主義につながっています」とコメント。そして「撮影を担当した厚田雄春さんは、生涯をかけて小津監督とともに仕事をした人。1983年、私が東京でインタビューをした際に、彼は『小津監督にあまりにも尽くしたので、小津監督亡きあと、ほかの監督のカメラマンとして努力したが、難しいと悟り、しばらくして引退した』と言いました。そう話しながら、厚田さんは涙を流し、通訳も泣き、通訳してもらった私も泣いて、私のカメラマンだけが何が起こったのかわからず撮影を続けていました」と自身の監督作「東京画」に触れながら思い出を明かした。

坂本は「ロンドンにいたとき、日本の偉大な作曲家で私が敬愛する武満徹さんと、小さなカフェで話をしました。私たちは大好きな小津作品について熱く、細部にわたって話をしましたが、最後に音楽の話題になり、映画はほぼ完璧なのに音楽が伝統にとらわれすぎていると、2人の意見が完全に一致しました。そこで、小津作品の音楽をすべてもう一度2人で一緒に作曲しようと企画しました。残念ながらそのあと武満さんが亡くなり、実現しませんでしたが、現在になって私はそれでよかったと思っています。考えがまったく変わったのです」と回想。「小津作品の音楽は緻密に計算され、意識的に伝統に沿ったようにできているのだと思います。数年前に山田洋次監督と仕事をしました。山田監督は、おそらく1950年代から1960年代の松竹映画黄金期を知る最後の映画監督。その黄金期をたたえて、小津作品の伝統に沿った音楽を山田監督の映画で試みました」と自身が音楽を担当した山田の監督作「母と暮せば」に触れながら小津作品の音楽を称賛した。

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