小津安二郎作品を“音”の観点から総体的に論じた書籍発売

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書籍「小津映画の音─物音・言葉・音楽─」が明日6月12日に発売される。

「小津映画の音─物音・言葉・音楽─」書影

「小津映画の音─物音・言葉・音楽─」書影

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小津映画の音─物音・言葉・音楽─

正清健介「小津映画の音─物音・言葉・音楽─」
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映画監督・小津安二郎の映画作品を“音”の観点から総体的に捉えて論じる本書。「物音」「屁の音」「言葉」「画面外の声」も含めた、音楽だけにとどまらない“音”と映像の関連を丹念に読み解き、その効果を探っていく。書籍では「東京物語」「お早よう」「淑女は何を忘れたか」「お茶漬の味」「麥秋(1951年)」「秋日和」「早春(1956年)」「東京暮色」といった作品が引き合いに出されている。価格は税込6930円、356ページ構成。

小津映画の音─物音・言葉・音楽─

名古屋大学出版会 2025年6月12日(木)発売
税込価格:6930円

目次

凡例

序章

1 遅れ
2 サイレントの「勉強」
3 小津映画論
4 小津映画研究のこれまで
5 これまでの映画音響研究と本書のスタンス
6 本書の構成

第I部 物音

第1章 引戸の音
──「東京物語」(1953)における例外的な音と物語との連関
1 引戸の音の違い
2 来訪シーン──迎えられない者
3 外出シーン──送られない者
4 土手のシーン──とみの死
5 規範と例外

第2章 屁の音
──「お早よう」(1959)の変容する屁の音
1 オナラ遊び
2 「余計なこと」
3 屁の音から言葉へ、そして音楽へ
4 「余計なこと」の肯定
5 小津映画内規範

第II部 言葉

第3章 大阪弁
──「淑女は何を忘れたか」(1937)における方言の使用とその擬似性
1 感染する大阪弁
2 「擬似的な方言」
3 節子のギャング化
4 「真にトーキーを受け入れたことを示す作品」

第4章 画面外の声
──「お茶漬の味」(1952)にみる不可視の話し手の力
1 小津のトーキー論
2 CPの前倒し修正
3 画面外の声
4 CPの修正という編集

第III部 音楽

第5章 オルゴール音楽
──「麦秋」(1951)における〈我が家〉のライトモチーフ
1 物語世界内の音の規範
2 オルゴール音楽
3 平行法の音楽
4 重厚な音色

第6章 ピアノ音楽
──「秋日和」(1960)における「場ふさぎの音楽」
1 画面外の音としてのピアノ音楽
2 服飾学院のシーン
3 茶の間のシーン
4 完全性のもとに繰り返されるピアノ音楽

第IV部 テンポ・間・リズム

第7章 テンポと間
──小津映画の〈遅さ〉について
1 絵画的画面──「早春」評
2 繰り返し──「東京暮色」評
3 「ひどく退くつな『間』」──「東京暮色」の夜の杉山家のシークェンス
4 夫婦の修羅場──「お茶漬の味」と「早春」における妻の苛立ちと怒り
5 テンポと間

第8章 映像とリズム
──小津映画における〈無人のショット〉
1 画面外の間欠的な物音
2 出来事を予告する物音
3 時と場所を伝える物音
4 規範を形成しない特別な音
5 トーキー化された〈無人のショット〉

終章

1 規範と例外
2 小津映画の音
3 木魚の音──結びに代えて

あとがき

参考文献

図表一覧

索引

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読者の反応

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夫犬 @cinefilmovie

「東京暮色」観た時、振り子時計の音、どっかから聞こえるピアノの音、犬の遠吠え…よく聞くとちゃんと環境音がある映画なんだなぁと。ただ遠くで聞こえる汽笛なんか、デヴィッドリンチ映画ぐらい不気味なんだよなこれが。 https://t.co/EQ0Pmb1yLj

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