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吉田大八が鹿児島で田中泯と「羊の木」語る、「僕にとっては歴史的な1日」

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「羊の木」公開記念舞台挨拶の様子。左から吉田大八、田中泯。

「羊の木」公開記念舞台挨拶の様子。左から吉田大八、田中泯。

錦戸亮主演作「羊の木」の公開記念舞台挨拶が、鹿児島・TOHOシネマズ 与次郎にて開催され、キャストの田中泯と監督の吉田大八が登壇した。

このイベントは2月12日に吉田の出身地である鹿児島で行われたもの。満員の観客を前に吉田は「『映画が完成したら一緒に行きましょう』と泯さんを誘っていた。今日ついに実現して、僕にとっては歴史的な1日になりました」と感無量の様子を見せる。田中も「踊りを習おうと決めたとき、最初に習った先生が大口出身で内弟子になりました」と鹿児島との縁を語った。

港町に移住する殺人を犯した元受刑者の1人・大野役を田中にと熱望していたという吉田は、「18年間刑務所にいた大野の状態を僕は想像しかできず、確信が持てなくて。泯さんがご自分の体で表現なさってきたことをお借りできないかと思い、お願いしました」と振り返る。一方、オファーを受けた田中は「図々しいんですけど」と前置きしたうえで「監督がどんな人か、何を考えているか品定めさせてもらうんです。そうやって知り合ってできることが僕にとっての演技で、それは踊りに近いところにある。今回は、大野のことをまるで他人を語るようにできるっていうのが一番うれしいことでした」と吉田への信頼を口にした。

現場での田中の印象を聞かれた吉田は、「大野の命と泯さんの中の何かが戦うさまを見たかった。実際に現場で、僕が想像もしていなかった表情や佇まいを目にしました」と田中の演技を称賛。また田中は、刑務所から出て錦戸演じる主人公・月末一と会うシーンについて「僕にとっては踊りの真剣な練習に近くて、いまだにもう1回やりたいと感じます」と述懐する。「あのときの大野の体にはたくさんのものが詰まっている。でもそれが見えるように表現するんじゃなくて、詰まっているものと一緒に歩いている。そんなことをやらせていただけた素晴らしい映画でした」と感謝を述べた。

俳優・スタッフで完成作を鑑賞したときの様子について吉田は「皆が黙っていて、なかなか言葉が出てこなくて。そのときに泯さんが『この映画のもっともいいところはこの沈黙だ。皆が黙って自分の中で一生懸命消化するその時間に価値がある』という評価をしてくださって、その言葉に僕は救われました」とエピソードを明かす。

「この映画の秘密は、観ちゃったら皆さんの中から離れなくなること」だという田中は、「人間としてどういうふうに1人ひとりが生きていくのかと考えるようになってしまう、とても大変な映画です(笑)」と紹介する。続けて吉田も観客へ向けて「正解は僕の中にもありません。皆さんが持ち帰っていただく『羊の木』がどれくらい広がっていくかというのが楽しみなんです」と語りかけた。

「羊の木」は全国で公開中。

(c)2018『羊の木』製作委員会 (c)山上たつひこ いがらしみきお/講談社

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