本日8月2日、第4回なら国際映画祭2016のラインナップ発表会が東京・奈良まほろば館で行われ、今年4月に奈良で撮影された「
イベント冒頭で河瀬は「神と人間の領域が混ざり合った奈良という稀有な場所で、今年も映画祭を開催することができてうれしいです」と挨拶。続けて「若手の育成と新しい才能の発見、世界に羽ばたく映画監督をここから輩出することをテーマにしています」と開催に向けての抱負を語る。
また河瀬は、世界の若手作家による作品を一挙上映する「インターナショナル コンペティション」部門について「国境を越えて、人間にとって何が大切なのかを考えられるラインナップになっています」とコメント。そして第69回カンヌ国際映画祭の短編部門でパルムドールを受賞した「Timecode(原題)」が上映されることに触れ、「短編はなかなか日本に入ってこないと思います。この機会に世界の一流監督がどんな映画を作っているのかを観ていただければ」と映画祭をアピールする。
ここで、河瀬がプロデュースを手がけた「東の狼」で、絶滅したとされるオオカミを追い求める猟師を演じた藤が登場。藤は「決定稿がないっていうか、どんどん変わっていくんですね。そういう撮影もありだとは思ったんですが、慣れてなかったので苦労しました」と撮影当時を振り返る。河瀬は「藤さんが考えた『オオカミは山の神や。東吉野の魂や』というセリフがありまして、その意味は作品を観ていただければわかります」と笑みを浮かべた。
藤は「鹿の解体をしたんですけど、食べられる状態にするまでカメラを止めてくれないんですよ」とハードな撮影シーンがあったことを明かす。MCが「それは河瀬さんの指示なんですか?」と質問を投げかけると、河瀬が「カルロス(・M・キンテラ監督)ですよ。私はそんなひどくないです」と述べ、会場の笑いを誘った。さらに河瀬からは「そこで本当に生活している地元の人になりきっていただいて、立ち飲み屋とかで最初は『藤竜也が来てる!』って騒がれてたんですけど、次第に『またいるな』ぐらいの感じになって」というエピソードも飛び出す。
奈良の印象を問われた藤は「古い民家がずらっと並んでるんですよ。歴史の重みを感じられて、いい経験ができました」と感慨深げに話し、なら国際映画祭が若手の育成をテーマに掲げていることに触れ「僕より年上の監督ってあんまりいないですからね。若い監督にもどんどん使っていただきたいです」と今後について語った。なお同作は映画祭でプレミア上映される予定だ。
開催事業費の3分の1がカットされ、一時は開催自体が危ぶまれていた第4回なら国際映画祭2016。河瀬が「映画祭存続の危機というニュースを観た人たちが、レッドカーペットクラブ会員になって支援をしてくれた。支援を無駄にしないように今準備しています」と思いを語ると、藤が「カンヌだってフランスの田舎だった。そういうところから素晴らしい映画祭は生まれる。直美さんのやってることはカッコいい」と河瀬に賛辞を贈った。
最後に河瀬が「映画祭を通して、人と人との心温まるふれあいを体験してほしいです。奈良が皆さんにとってかけがえのない場所になればと思います」と述べ、イベントを締めくくった。
第4回なら国際映画祭2016は9月17日から22日にかけて開催される。
※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記
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