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「ミス・サイゴン」卒業の市村正親「誰が演じても僕を超すことはない」

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ミュージカル「ミス・サイゴン」フォトセッションの様子。

ミュージカル「ミス・サイゴン」フォトセッションの様子。

ミュージカル「ミス・サイゴン」の製作発表記者会見が、本日6月20日に行われた。

本日の製作発表ではまず、応募総数3000通の中から選ばれたオーディエンス200人が見守る中、アンサンブルキャストを含めた総勢56名の出演者が、劇中の「火がついたサイゴン」を歌いながら登壇。その後の会見には市村のほか、駒田一ダイアモンド☆ユカイ笹本玲奈昆夏美、キム・スハ、上野哲也、小野田龍之介上原理生、パク・ソンファン、知念里奈、三森千愛、藤岡正明、神田恭兵、池谷祐子、中野加奈子が出席した。

ヒロイン・キムをトリプルキャストで演じる昆は、2014年の前回公演から参加。「キムは私に未熟さを教えてくれて、少しの自信を与えてくれた大切な役です。自分の中では初めての再演。成長したキムを皆さんのお目にかけたい」と意気込む。同じくキム役の(キム・)スハは、2015年にウエストエンド公演の舞台に立った。通訳を伴いながら「私のデビュー作品ですので思い入れもひとしおです。全編、音楽に彩られたこの作品を、日本の素晴らしい先輩方と盛り上げていきたい」と語る。

同じくキム役の笹本玲奈は「2年前、市村さんががんでお休みになられると聞いた時は、悲しくて頭の中が真っ白になりました」と、当時の不安を思い出したのか涙声に。しかしすぐに「もう一度、市村さんと一緒に『ミス・サイゴン』をやりたい。その願いが叶って本当にうれしいですし、最後までついていきます」と笑顔で話し、市村と同じ舞台に立てる喜びを明かした。

今回はエンジニア役もトリプルキャストで演じられる。その1人である駒田は過去のオーディションで2度落ち、2014年に“3度目の正直”でエンジニア役を掴み取った。そんな矢先、市村が胃がんで途中降板することに。市村の代役を務め上げたその前回公演を振り返り、「エンジニアはベトナム戦争末期を必死に生き延びる男ですが、前回の僕もそうでした。役者・駒田一ががむしゃらに、役者として生き延びるためだけに演じていた。ですので今回はエンジニア役にもっと地に足をつけて取り組んでいきたい」と抱負を述べる。そこへ市村が「駒田がね、前回稽古場で『俺、市村と比べて出演回数少なくてイヤだな』みたいな顔してたんですよ。僕が降板する前にね。だから内心『戻ってきやがって』と思ってるんじゃないの?」とつっこむと、駒田は「そんな!それはないですよ!」と慌てふためき、会見場は笑いに包まれた。

ダイアモンド☆ユカイは「30年来ロックンロールをやって来て、ミュージカルはほとんど初挑戦。ど素人ですが、自分の夢を持ちしぶとく生き長らえるエンジニアのごとく、皆さんに喰らいついていきます。ロックンロール!」と一言。市村は「エンジニアはユカイちゃんにぴったりの役。僕らには出せないエンジニアができるんじゃないかな」と前提した上で、ユカイに向き直り「特別に何かしなくても、演出家の言うことを聞いていれば大丈夫。あまり僕を意識しないで、自分なりに舞台上で生きていけばユカイちゃんだけのエンジニアになると思います」とエールを送った。

最後に、市村は卒業を前にしてもなお「エンジニアという人間を、もっと深く掘り下げていきたい」と貪欲。「僕なりの演技プランを考えれば、今後どんな方が演じても僕のエンジニアを超すことはあり得ないですよ」と自信を覗かせた。そして「前は“胃がん”だったけど、今度は“がんがん”いきますよ!」と力強く宣言。さらに「ロンドンの『ミス・サイゴン』が今度はブロードウェイで開くと聞きました。今回の日本公演を最後に、今度はブロードウェイを目指そうかな」とつぶやく場面もあり、オーディエンスはそんな市村に盛大な拍手を送っていた。

会見のあとは全キャストによるパフォーマンスが行われ、「世界が終わる夜のように」「時が来た」「今も信じてるわ」「生き延びたけりゃ」「命をあげよう」「ブイ・ドイ」「アメリカン・ドリーム」の7曲がメドレーで披露された。

本作は、ベトナム戦争末期のサイゴンを舞台に、国と国に引き裂かれた人々の葛藤と悲劇を描いたミュージカル。1989年にロンドン・ウエストエンドで初演されたのち、1992年に日本にも上陸。1年半ものロングラン公演を行ったあと5度の再演を重ね、今秋2年ぶりに上演される。東京公演後は、岩手、鹿児島、福岡、大阪、愛知へと巡演する。

ミュージカル「ミス・サイゴン」

2016年10月15日(土)~18日(火)プレビュー公演
2016年10月19日(水)~11月23日(水・祝)
東京都 帝国劇場

2016年12月10日(土)・11日(日)
岩手県 岩手県民会館 大ホール

2016年12月17日(土)・18日(日)
鹿児島県 鹿児島市民文化ホール

2016年12月23日(金・祝)~25日(日)
福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール

2016年12月30日(金)~2017年1月15日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール

2017年1月19日(木)~22日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール

オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
作:アラン・ブーブリル、クロード・ミッシェル・シェーンベルク
音楽:クロード・ミッシェル・シェーンベルク
演出:ローレンス・コナー
歌詞:リチャード・モルトビー・ジュニア、アラン・ブーブリル
ミュージカル・ステージング:ボブ・エイヴィアン
オリジナルフランス語テキスト:アラン・ブーブリル
追加振付:ジェフリー・ガラット
追加歌詞:マイケル・マーラー
舞台美術原案:エイドリアン・ヴォー
翻訳:信子アルベリー
訳詞:岩谷時子

出演:市村正親駒田一ダイアモンド☆ユカイ / 笹本玲奈昆夏美、キム・スハ / 上野哲也、小野田龍之介 / 上原理生、パク・ソンファン / 知念里奈、三森千愛 / 藤岡正明、神田恭兵、池谷祐子、中野加奈子 ほか

※ダイアモンド☆ユカイの「☆」は六芒星が正式表記。

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