高級感あふれる空間演出とホスピタリティで貴族の世界の住人に|城田優がイマーシブ・フォート東京「真夜中の晩餐会」を体験

2024年3月に東京・台場に開業した体験型ライブ・エンターテイメント施設、イマーシブ・フォート東京。「さぁ、感動の最前列へ」を合言葉にしたイマーシブ・フォート東京では、開業以来、さまざまな体験型演劇・イマーシブシアターの作品が展開している。2025年3月には、より濃密な没入体験を追求すべく、大幅に進化。その1つが、4月25日に開幕した注目の新作「真夜中の晩餐会 -Secret of Gilbert's Castle-」だ。観客の“五感”を刺激することをうたう本作では、観客は19世紀フランスで貴族の晩餐会の招待客となり貴族たちの“光と影”を目撃する。

ステージナタリーでは、俳優・アーティストとして活動し、自身の演出作品では“没入体験を提供すること”を重視している城田優に、「真夜中の晩餐会」を体験してもらった。少年のようにキラキラとした瞳で物語に入り込んでいった城田は、一方でクリエイターの視点から冷静に作品と向き合っていた。体験後には城田が、本作のクリエイティブディレクターである興山友恵と言葉を交わし、それぞれのイマーシブシアターへの思いを語り合った。

構成・文 / 大滝知里撮影 / 須田卓馬ヘアメイク / Emiyスタイリスト / 黒田領衣裳協力 / [ジャケット、シャツ]th products(TARO HORIUCHI Inc.)、
その他スタイリスト私物

イマーシブ・フォート東京とは?

イマーシブ・フォート東京 ロゴ

イマーシブ・フォート東京は、株式会社刀が初めて企画・開発から運営まで行う施設として、2024年3月に東京・台場に開業した体験型ライブ・エンターテイメント施設。2022年3月に営業を終了した商業施設・ヴィーナスフォートの建物を活用したイマーシブ・フォート東京は、全天候型の完全屋内型テーマパークとして国内屈指の面積を誇り、約3万㎡という広大な敷地の中に体験型演劇・イマーシブシアター、物販、飲食店舗が開設されている。

「さぁ、感動の最前列へ」をコンセプトに掲げたイマーシブ・フォート東京では、2025年6月4日現在、名探偵シャーロック・ホームズの世界を自由に探索して事件を追う「ザ・シャーロック~ジェームズ・モリアーティの逆襲」、江戸遊郭を舞台にした「江戸花魁奇譚」、人気アニメ「東京リベンジャーズ」をもとにした「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」、麻生羽呂のマンガ「今際の国のアリス」(小学館)を実写化したNetflixシリーズがベースの「今際の国のアリス The Ultimate」が上演されており、4月25日にオープンした「真夜中の晩餐会 -Secret of Gilbert's Castle-」は最新作となる。

「真夜中の晩餐会 -Secret of Gilbert's Castle-」とは?

「真夜中の晩餐会 -Secret of Gilbert's Castle-」

「真夜中の晩餐会 -Secret of Gilbert's Castle-」は、イマーシブ・フォート東京で「江戸花魁奇譚」「フォルテヴィータ事件簿」を手がけたクリエイティブディレクター・興山友恵率いるチームが制作した新作。1公演につき体験人数が最大50人という少数制で上演されるため、観客はよりプレミアムなイマーシブ体験ができる。作中に濃密で妖艶な表現が含まれるので、参加資格は18歳以上となるが、18歳になる年度の3月31日までは入場不可となっている。体験時間は約120分。

舞台は、19世紀フランスの貴族・ジルベール家での晩餐会。現代人として招待状を受け取った観客は、役名や役柄、登場人物たちとの関係性が与えられた招待客の1人となり、いつの間にか19世紀の人物として物語を体験する。参加者50人に対し、登場人物は、ジルベール家5代目当主のローラン=ジルベールやその娘・ソフィ=ジルベールらを含む25人。会場にいる3人に1人がキャストとなる構成が、ぜいたくな没入感を生み出し、開幕直後から完売が続く人気を博している。物語は、3000㎡という広い会場の中で展開されるが、そこには晩餐会の広間と複数の部屋を有するジルベール家の邸宅や中庭、邸宅の麓町にある宿屋、礼拝堂、理髪店、雑貨屋などが建て込まれており、クラシカルな街並みが再現された。邸宅内の調度品には一部海外から取り寄せられたものもあり、ディテールにこだわった重厚な作品世界が作り上げられている。

本作のチケット料金は2万4800円(税込)で、イマーシブ・フォート東京で上演されている作品の中でもラグジュアリーな価格帯となる。そのラグジュアリーさの象徴と言えるのが、物語の中盤で演出の一部として振る舞われるコース料理だ。ウェルカムドリンク(アルコールまたはノンアルコール)、前菜、メイン(肉または魚)、デザートを、シャンデリアや燭台に灯る明かりのもと、登場人物たちとのリアルな会話を楽しみながら食することで、観客は、優雅な雰囲気たっぷりに作品世界を味わうことができる。

あらすじ

19世紀のフランス。由緒正しい貴族のジルベール家は、霧深い森の奥にひっそりと邸宅を構えていた。人々が暮らす麓町から離れた邸宅では、今宵、ジルベール家の令嬢ソフィと、その幼なじみである貴族の青年リュークの婚約を祝う晩餐会が開かれる。

しかし、ジルベール家には秘密があった。ソフィの心には幼いころから思いを寄せ合う美少年ルイがおり、ルイは兄クロードや一族へ葛藤を抱いている。

一方で、招待客の中にも思惑を巡らせる者たちがいた。過去の因縁、胸に秘めた思い。それらが一斉に放たれるとき、“光”のようにきらびやかな貴族の世界の裏にある、暗い“影”が頭をもたげ……。

「真夜中の晩餐会 -Secret of Gilbert's Castle-」

登場人物