舞台「世界の終りと~」藤原竜也ら出演者が意気込み、「この座組でこの戯曲を届けたい」
2025年11月25日 21:00
1 ステージナタリー編集部
Sky presents 舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の製作発表が本日11月25日に東京都内で行われた。
村上春樹が1985年に発表した長編小説「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の舞台化となる今回は、脚本を高橋亜子、演出・振付をフィリップ・ドゥクフレが手がける。作中では、“世界の終り”と“ハードボイルド・ワンダーランド”という2つの世界の物語が同時進行で展開。“ハードボイルド・ワンダーランド”では、1985年の東京を舞台に、意識の核に思考回路を埋め込まれた“私”が、その秘密を探るため、地下世界から脱出を目指す様子が、“世界の終り”では、周囲を高い壁に囲まれた街で、一角獣の頭蓋骨から夢を読んで暮らす“僕”の物語が、さまざまな登場人物との関わりの中で立ち上げられる。本作は、来年1月から3月にかけて国内5都市で上演されたあと、シンガポール、中国、イギリス、フランスでワールドツアーを実施する予定だ。
ホリプロとはミュージカル「DORA~百万回生きた猫」、ミュージカル「わたしは真吾」に続く3度目のタッグとなるドゥクフレは、原作の舞台化について「無理ではないかと思ったからこそ、興奮を感じたのかもしれません。演劇でもなく、バレエでもなく、ミュージカルでもないと言いながら、同時にそのすべてでもあるような作品。ハイブリッドなものが合わさった形となりますが、それはまさに現代社会に似たようなものだと思っています。特別な何かを皆様にご紹介できたら」と作品について語った。
本作で主演を務める藤原竜也は、かつて蜷川幸雄に村上作品を読むように言われたことを振り返り、「シェイクスピアとも三島由紀夫さんとも違う、我々の細胞の何かを揺るがし、よみがえらせてくれる、目覚めさせてくれるような文体が確かにあった。村上春樹さんの作品には常にドキドキさせてもらった」と語る。また、本作については「何とも言えない世界観。フィリップさんの期待に応え、必死に稽古をして良いものを作り上げたい」と言葉に力を込めた。
森田望智は、「刺激的な毎日を送っています。“世界の終り”で演じる彼女役は、“私”が失ったものを体現している女性。一方で、“ハードボイルド・ワンダーランド”の司書役は現実世界を生きている女性。“私”と“僕”が同時に惹かれる1人の女性なので、捉えどころのない、観た人にとって余白が残る人物になれば良いなと思っています」と現在の心境を明かした。
池田成志が本作で演じるのは、「“僕”と“私”の2つの世界での状況を作ってしまった、科学に対して純粋無垢な博士と、“世界の終り”に住む大佐」。「フィリップさんが作る美しい世界で、村上さんの原作も不思議で、ナイーブな劇世界が展開します。私は普段、雑で大雑把な芝居をしているので、その繊細さをどうすれば良いのかと、もがいて、苦しんでいるところです(笑)。その結果をぜひご覧いただければ」とニヤリとコメントした。
“世界の終り”の“影”を演じる宮尾俊太郎は、「言語(がある演劇)は伝える相手がいて成立しますが、舞踊は1人で表現するので、より内面に向いていて本能的なもの」だと前置きしつつ、「この物語では、“私”の深層心理の世界に入っていくので、精神性、本能的な部分で、舞踊で培った表現をお届けできるのではないかなと模索しているところです」と気合い十分な様子で話した。
富田望生は“ハードボイルド・ワンダーランド”のピンクの女を演じる。富田は、「ピンクの女に対する思いが、皆さんと良い意味で違っているので、お稽古の中でいろいろなスパイスや潤いを与えてもらっています。私自身、ピンクの女をどう生きるかという答えはまだ見付かっていませんが、フィリップさんの頭の中をのぞきながら、きっとピンクの女と“私”の冒険を見付けることができるのではないかなとワクワクしています」と微笑んだ。
“僕”役をオーディションで勝ち取り、島村龍乃介とWキャストで担当する駒木根葵汰は、「初めての舞台であり、1つの役を2人で演じるのも初めての経験です。島村くんと意見を出し合いながら、皆で作品を作り上げているという感覚を体感しています」と言い、島村は「初めての海外公演に緊張しています。日本公演を通して自分がどう成長できるのか楽しみですし、舞台が持つ“物語を届ける力”は世界共通だと思いますので、言葉だけではなく、しぐさや振りなどを稽古で突き詰めて、言葉以外の部分でも、この素敵な舞台を皆さんにお届けできたら」と意気込んだ。
最後に藤原が、今、本作を立ち上げることの意味を尋ねられると、「やる意味は何かと問われれば、何とも言えません(笑)」と返しつつ、「この座組をもって、この戯曲を届けたい。演劇なんてちっぽけなものですから、観ても観なくても良いとは思いますが、観ていただいて、ちょっとでも心が動けばそれで良い。『ぜひ劇場に来てください』とは言いません。観たかったら来てください。初日まで精一杯、一生懸命稽古をして、素晴らしい作品を皆さんに届けたいと思います」と自然な発言でその場をしめくくった。
舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」日本公演は、来年1月から3月にかけて東京・宮城・愛知・兵庫・福岡で実施される。その後に行われるワールドツアーでは、4月にシンガポールのエスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ、7月に中国の上海・北京・蘇州、10月にイギリスのバービカン・センターとフランスのシャトレ劇場を巡る。
Sky presents 舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
開催日程・会場
2026年1月10日(土)〜2月1日(日)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス
2026年2月6日(金)〜8日(日)
宮城県 仙台銀行ホール イズミティ21(仙台市泉文化創造センター)
2026年2月13日(金)〜15日(日)
愛知県 名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
2026年2月19日(木)〜23日(月・祝)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
2026年2月28日(土)・3月1日(日)
福岡県 J:COM北九州芸術劇場 大ホール
スタッフ
原作:村上春樹
脚本:高橋亜子
演出・振付:フィリップ・ドゥクフレ
出演
“ハードボイルド・ワンダーランド”の私:藤原竜也
“ハードボイルド・ワンダーランド”の司書、“世界の終り”の彼女:森田望智
“世界の終り”の影:宮尾俊太郎
“ハードボイルド・ワンダーランド”のピンクの女:富田望生
“世界の終り”の僕:駒木根葵汰(Wキャスト) / 島村龍乃介(Wキャスト)
“ハードボイルド・ワンダーランド”の小男、“世界の終り”の管理人:藤田ハル
“ハードボイルド・ワンダーランド”の大男、“世界の終り”の門番:松田慎也
“ハードボイルド・ワンダーランド”の博士、“世界の終り”の大佐:池田成志
上松萌子 / 岡本優香 / 冨岡瑞希 / 浜田純平 / 原衣梨佳 / 古澤美樹 / 堀川七菜 / 山田怜央 / 吉﨑裕哉 / Rikubouz
※東京公演はU-25、Yシート(20歳以下)、高校生以下チケットあり。
舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」ワールドツアー
開催日程・会場
2026年4月
シンガポール エスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ
2026年7月
中国 上海・北京・蘇州
2026年10月
イギリス バービカン・センター
2026年10月
フランス シャトレ劇場
ステージナタリー @stage_natalie
【会見レポート】舞台「世界の終りと~」藤原竜也ら出演者が意気込み、「この座組でこの戯曲を届けたい」
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