キーワードは“カワイイ”!オペラ「愛の妙薬」に杉原邦生「ダイレクトに伝わる作品になれば」

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2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」の取材会が、本日10月9日に東京都内で行われ、演出を手がける杉原邦生らが出席した。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会の様子。左から糸賀修平、宮里直樹、高野百合絵、杉原邦生、大西宇宙、池内響、秋本悠希。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会の様子。左から糸賀修平、宮里直樹、高野百合絵、杉原邦生、大西宇宙、池内響、秋本悠希。

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全国共同制作オペラは、2009年度にスタートしたプロジェクト。全国の劇場・音楽堂、芸術団体等が連携し、単館では成しえない、独創的かつ高いレベルのオペラを新演出で制作する。今回は指揮をセバスティアーノ・ロッリ、演出をオペラ初演出の杉原が務め、東京・大阪・京都で上演される。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」ビジュアル

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」ビジュアル [拡大]

「愛の妙薬」は美人で聡明、ちょっと勝ち気な娘アディーナと、彼女に恋する純真無垢な青年ネモリーノが、偽の惚れ薬・愛の妙薬によって結ばれるロマンティックコメディ。取材会には杉原のほか、アディーナ役の高野百合絵、ネモリーノ役の宮里直樹(東京・大阪公演)と糸賀修平(京都公演)、アディーナを口説こうとする守備隊の軍曹ベルコーレ役の大西宇宙(東京・大阪公演)と池内響(京都公演)、アディーナの友達の村娘ジャンネッタ役の秋本悠希が出席した。

全国共同制作オペラでは、普段オペラ以外のジャンルを手がけるクリエイターが演出を担う。20歳頃からオペラに携わりたいと思っていたという杉原は「普段は悲劇が多く、喜劇である『愛の妙薬』を任せていただくのは意外でした。この作品にはシェイクスピアの喜劇のような雰囲気があり、登場人物がみんな可愛らしい。このため“カワイイ”をキーワードに演出しようと決めました」と話す。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した杉原邦生。

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杉原は「世界に知れ渡る“カワイイ”というワードには、多様性社会でさまざまなものを肯定して認める力がある」と言い、「『愛の妙薬』は男女間の恋愛を描きますが、ジェンダーレスな要素も加えたい。僕が今考えているのは『ベルコーレはアディーナではなくネモリーノに一目惚れし、邪魔するためにアディーナに近付いた』『ジャンネッタも実はアディーナが好きで、嫉妬心を抱く』というようなこと。登場人物の感情を限定するわけではなく、『どっちもありだよね。恋愛は男女間だけのものではないよね』と観客が感じられるように描きたい。そうすることで、現代のお客様の心にダイレクトに伝わる作品になれば」とコメントした。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した高野百合絵。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した高野百合絵。 [拡大]

高野は本作について「本作は、オペラの中でも珍しいハッピーエンド。お客様には終始、クスッと笑えて心亜が温まる時間を過ごしてほしい」と述べ、「アディーナを演じるには、歌声に軽さと力強さが必要。これからマエストロと一緒にたくさん勉強したい」と意気込みを口にした。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した宮里直樹。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した宮里直樹。 [拡大]

一番好きなオペラが「愛の妙薬」だという宮里は「いろいろなテノールの役を演じてきましたが、自分中心のキャラクターが多い!(笑) でもネモリーノはアディーナへの強い愛を持っていて、信念を感じるので好きな役です」と話し、「今回は間違いなく、観たことがない『愛の妙薬』ができるはず」と期待を込めた。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した糸賀修平。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した糸賀修平。 [拡大]

糸賀は「音楽、言葉、物語を皆さんにしっかりお届けすることを大事にしたい」と言い、「このオペラは誰も死なないのが良いところ。こういう作品では稽古場もすごく明るくなると思います。今回は“カワイイ”がテーマ。何かあるたびに『可愛い!』と言ってその場を楽しんでいけたら」と笑顔を浮かべた。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した大西宇宙。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した大西宇宙。 [拡大]

大西は「私はシカゴにいた頃、シェイクスピア劇の演出家やブロードウェイの振付家がオペラを演出する現場にいたことがあり、こういう総合格闘技のようなコラボが好き(笑)。杉原さんと我々も、お互いに触発し合って良い舞台を作りたい」とコメント。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した池内響。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した池内響。 [拡大]

2023年度の全国共同制作オペラ「こうもり」に参加した池内は「“カワイイ”というテーマを伺い、この作品のポスターを目にしたとき『今年も何か起こるな』と思いました」と期待を口にし、「ベルコーレ役は初めて。僕たちも楽しむし、皆さんにも楽しんでもらいたい」と観客にメッセージを送る。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した秋本悠希。

2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」取材会に出席した秋本悠希。 [拡大]

秋本は「稽古を通じてそれぞれのキャラクターが、自分たちのそれぞれのかわいさを追求していくことになると思います」と瞳を輝かせ、「ジャンネッタはソリストと合唱をつなぐ役割を持つ役です。東京・大阪・京都でたくさんの方にオペラを見てもらえるのがうれしい」と喜びを語った。

会見では、指揮のロッリ、薬売りのドゥルカマーラ博士役のセルジオ・ヴィターレからのビデオメッセージも上映された。ロッリは「この作品は私たちが文化を共有し合う場になる。人間の普遍的な感情、本質的な感情は、人々のコミュニケーションの基盤となっており、コミュニケーションはこの時代において、これまで以上に重要です。日本の3都市を巡る冒険が心から楽しみです」とコメントする。

またヴィターレは「日本に行くことを心待ちにしています。これを機に日本語を勉強してみました」とイタリア語で言うと、次の瞬間、ビデオからはよどみない日本語で「ドゥルカマーラは詐欺師でワインを販売しています。今回、イタリアと日本の文化がどう混ざっていくのか楽しみ。最後に、ドゥルカマーラがしゃべることを何一つ信じないでくださいね!」という音声が。ビデオのラストではヴィターレがいたずらっぽくウインクし、会見場の笑いを誘った。

公演は11月9日に東京・東京芸術劇場 コンサートホール、16日に大阪・フェニーチェ堺 大ホール、来年1月18日に京都・ロームシアター京都 メインホールにて。

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2025年度 全国共同制作オペラ ドニゼッティ作曲 / 歌劇「愛の妙薬」

開催日程・会場

2025年11月9日(日)
東京都 東京芸術劇場 コンサートホール

2025年11月16日(日)
大阪府 フェニーチェ堺 大ホール

2026年1月18日(日)
京都府 ロームシアター京都 メインホール

スタッフ

作曲:ガエターノ・ドニゼッティ
台本:フェニーチェ・ロマーニ
指揮:セバスティアーノ・ロッリ
演出:杉原邦生

出演

アディーナ:高野百合絵
ネモリーノ:宮里直樹(東京・大阪公演) / 糸賀修平(京都公演)
ベルコーレ:大西宇宙(東京・大阪公演あり) / 池内響(京都公演)
ドゥルカマーラ博士:セルジオ・ヴィターレ
ジャンネッタ:秋本悠希

ダンサー

福原冠 / 米田沙織 / 内海正考 / 水島麻理奈 / 井上向日葵 / 宮城優都

合唱団

ザ・オペラ・クワイア(東京公演) / 堺+京都公演特別合唱団(大阪・京都公演)

管弦楽

ザ・オペラ・バンド(東京公演) / 大阪交響楽団(大阪公演) / 京都市交響楽団(京都公演)

公演・舞台情報

読者の反応

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水島 麻理奈 @marina_mizushii

!!!!!!!
キーワードは "カワイイ" !!!
記者会見の様子です!!💕
#全国共同制作オペラ
#愛の妙薬 https://t.co/gWfa4rAdgu

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