ロームシアター京都 10周年記念事業取材会が昨日10月1日に京都・ロームシアター京都にて開催された。
2026年1月にリニューアルオープンから10年を迎えるロームシアター京都は、「つづきのはじまりはじまり」をテーマに、10周年記念事業を実施する。既報の通り、2025年度は
さらに昨日発表された2026年度10周年記念事業には「Sound Around 006」、ロームシアター京都10周年×京都市交響楽団創立70周年共同プロジェクトと題してProject A/「オルフ:カルミナ・ブラーナ」とProject B/「ブリテン:春の交響曲」、「Have a Good Day!」、また<10周年記念事業 レパートリーの創造>にはレパートリーの創造 ホープスとして(1)
会見には「三番叟づくし」に出演する杵屋勝七郎(長唄)、
tupera tuperaの亀山はメインビジュアル作成にあたり、ロームシアター京都のリサーチを行ったと言い、「(ロームシアター京都の前身である)京都会館の設計をされた前川國男さんから(改修を担当した)香山壽夫さんへと引き継がれたロームシアター京都は、鯨のように見えるなと感じました。そこから隅々を“鯨の目線”で撮影し、僕らならではのコラージュで鯨が出来上がりました。とてもいい鯨になったなと思っています!」と笑顔を見せる。中川は「鯨という感じの中に京都の“京”が入っていることを発見し、奇跡的だなと感じて鯨というテーマに決めました。ロームシアター京都に向かう人たちのドキドキや、周囲の広場にやってきた人たち、人じゃないものも(笑)、集まった様子を描いています」と説明した。
長唄の杵屋は「『三番叟』は非常におめでたい曲で、非常に多くの種類がありますので今回はそこからチョイスしまして組曲として皆様に楽しんでいただこうと思っております。京都会館のオープンした1960年は私の生まれた年です。またコロナ禍が落ち着いた頃、ロームシアター京都で公演したときの、満席で幕が上がったときの喜びは非常によく覚えていますので、その思いを心に今回出演させていただきます」と笑顔を見せた。
京舞の井上は「2016年のロームシアター京都開館記念式典・記念公演に私の母(井上八千代)が祝舞をさせていただき、その後見で出させていただきましたので感慨深いです。『三番叟』はこれから作っていきますが、若手を中心としたメンバー構成を予定しています。たくさんの方にご覧いただきたいと思っています」と述べた。
「饗宴!5台のピアノと5人のピアニスト」からは髙木竜馬がビデオメッセージを寄せ「これまで3台ピアノ、4台ピアノの経験はありますが、5台ピアノは人生初です。オーケストラに近づくようなボリュームのある公演になるのではないかと思っています」と期待を語った。
歌劇「愛の妙薬」演出の
「Sound Around 006」を手がける武田は京都を拠点に活動するアーティスト。今回は家業だった西陣織にちなんで“織りなすこと”をテーマにした創作になる。「茶人であったり、現代美術のキュレーターさんなどさまざまな方の力をお借りしながら、五感を使って楽しんでいただけるものができたら」と話した。
今年創立70周年を迎える京都市交響楽団は、ロームシアター京都と同じく京都市音楽芸術文化振興財団に所属しており、今回は共同プロジェクトを行う。京都市交響楽団スタッフは「8月の『オルフ:カルミナ・ブラーナ』は“オール京都”、12月の『ブリテン:春の交響曲』は“プロフェッショナルとの相互交流”がテーマになります。ロームシアター京都だからこそできる公演を行います」と期待をあおった。
“京都を拠点に活躍する若手演出家と世界を目指す”「レパートリーの創造 ホープス」にラインナップされた劇団不労社の西田は「『MUMBLE ーモグモグ・モゴモゴー』は家族と食をテーマに描いた、集団暴力シリーズの集大成的な作品です。新作公演『暗黒の喜劇』ではテーマとして陰謀論を扱おうと思っています。世界の捉え方がどんどん変わっていきみんながバラバラなものを信じるようになった中で、どうやったら手をつなげるのか、ダークなコメディとして提示できたら」と語った。
劇場のレパートリー演目として長く上演されることを念頭にした「レパートリーの創造」で新作を予定している和田は、自身が書いたエッセイを読み上げ「男性は男性であるということをどのように捉えているのか、ということを考えています」と作品の構想を明かした。
ダムタイプは、2020年に初演される予定だったがコロナ禍で上演できなかった「2020」を披露する。高谷はダムタイプが劇場でブラッシュアップを重ねながらみんなで創作するスタイルのカンパニーであることを説明しつつ、「ロームシアター京都さんから新作を、と言われたときに、『急にはできないですよ』と一度はお断りしたんです。でも時折劇場を使って創作して良いといっていただき、実験を重ねることができました。そのような作り方に付き合ってくれたロームシアター京都さんに感謝しています。COVID-19で2020年は公演ができませんでしたが、今回なんとか上演させていただけることになり、トライアウトしたい」と話した。
土田は「朗読劇が好き。朗読劇でしかできないことをやりたい」と話し、「今回は、京都の市井の人たちのさまざまなメッセージのやり取りを描きたいと思っています。でもそのまま描いても面白くないのでフィクションを挟もうと思っていて、たとえば京都の主だった観光地のあちこちに赤い風船のようなものが出現して、それに触ると死ぬと言われているから京都の街の上にどんどん赤い風船が増えていくんだけれども、徐々にみんなそのことを忘れて、風船の下で普通の生活するようになる……というような状況を描きたいなと。京都の未来に希望が持てるような作品にしたいと思っています」と語った。
ロームシアター京都 10周年記念事業は、10月31日から来年12月31日まで実施される。
ロームシアター京都 10周年記念事業
[2025年度10周年記念事業]
ダミアン・ジャレ×名和晃平「Planet [wanderer]」
2025年11月8日(土)・9日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール
ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団「Sweet Mambo」
2025年11月21日(金)・22日(土)
京都府 ロームシアター京都 メインホール
クラウド・ゲイト・ダンスシアター(雲門舞集)「WAVES」
2025年12月17日(水)
京都府 ロームシアター京都 メインホール
プレイ!シアター for the 10th anniversary オープンデイ
2026年1月10日(土)・11日(日)
京都府 ロームシアター京都 全館
プレイ!シアター for the 10th anniversary《継承と創造》「三番叟づくし」
2026年1月10日(土)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール
プレイ!シアター for the 10th anniversary「饗宴!5台のピアノと5人のピアニスト」
2026年1月11日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール
2025年度全国共同制作オペラ 歌劇「愛の妙薬」
2026年1月18日(日)
京都府 ロームシアター京都 メインホール
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「未練の幽霊と怪物―『珊瑚』『円山町』―」
2026年3月21日(土)・22日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール
[2026年度10周年記念事業]
「Sound Around 006」
2026年6月13日(土)・14日(日)
京都府 ロームシアター京都 ノースホール
ロームシアター京都10周年×京都市交響楽団創立70周年共同プロジェクト Project A/「オルフ:カルミナ・ブラーナ」
2026年8月23日(日)
京都府 ロームシアター京都 メインホール
ロームシアター京都10周年×京都市交響楽団創立70周年共同プロジェクト Project B/「ブリテン:春の交響曲」
2026年12月4日(金)
京都府 ロームシアター京都 メインホール
「Have a Good Day!」
2026年9月下旬予定
京都府 ロームシアター京都 サウスホール
<10周年記念事業 レパートリーの創造>レパートリーの創造 ホープス(1)
2026年10月予定
京都府 ロームシアター京都 ノースホール
<10周年記念事業 レパートリーの創造>レパートリーの創造 ホープス(2)
2026年10月下旬から11月上旬予定
京都府 ロームシアター京都 ノースホール
<10周年記念事業 レパートリーの創造>レパートリーの創造
2026年12月上旬予定
京都府 ロームシアター京都 ノースホール
ダムタイプ「2020」
2026年12月
京都府 ロームシアター京都 サウスホール
土田英生 作・演出 新作朗読劇
2026年12月20日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール
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【会見レポート】ロームシアター京都10周年記念事業発表、京都ゆかりのアーティストたちが集う
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