ミュージカル「ある男」は“体感できる”作品に、浦井健治は創作の豊かさ実感「家族のようなカンパニー」

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ミュージカル「ある男」の製作発表が本日5月1日に東京都内で実施され、メインキャストの浦井健治小池徹平濱田めぐみソニン上原理生上川一哉知念里奈鹿賀丈史、脚本・演出を担う瀬戸山美咲、原作の平野啓一郎らが登壇した。

ミュージカル「ある男」製作発表より。前列左から濱田めぐみ、浦井健治、小池徹平、ソニン、後列左から平野啓一郎、上川一哉、知念里奈、鹿賀丈史、上原理生、瀬戸山美咲。

ミュージカル「ある男」製作発表より。前列左から濱田めぐみ、浦井健治、小池徹平、ソニン、後列左から平野啓一郎、上川一哉、知念里奈、鹿賀丈史、上原理生、瀬戸山美咲。

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本作は、第70回読売文学賞を受賞し、2023年に映画化もされた長編小説「ある男」を原作とした新作ミュージカル。ある女性から不慮の事故で死んだ夫の身元調査を相談された弁護士は、彼の正体を追う中で、自身のアイデンティティと向き合っていく。浦井が弁護士・城戸章良役、小池がある男・X役を演じる。

「暗闇の中へ」を歌う浦井健治(左)と小池徹平(右)。

「暗闇の中へ」を歌う浦井健治(左)と小池徹平(右)。[拡大]

報道陣に加え、観客が抽選で招待された同製作発表では、城戸とXのデュエット曲「暗闇の中へ」を、浦井と小池が初披露した。同曲をはじめ本作の楽曲は、作曲のジェイソン・ハウランド、作詞の高橋知伽江という、ミュージカル「生きる」でもタッグを組んだ2人が手がけている。

平野啓一郎

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原作者の平野は「正直、映画化くらいまでは予想ができていたんですけれども(笑)、ミュージカル化はまったく想像しておりませんでした。最初は原作がかなり込み入った話なのでどうなるのかな?と思いましたが、少しずつ形になっていることに興奮を覚えております」と述べ、「小説を出版するときは、こんな(豪華な)場所で発表会をしませんので、本日は呼んでいただき僕自身も喜んでおります」と笑顔を見せた。

瀬戸山美咲

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瀬戸山は、ミュージカル版ならではの魅力として「言葉だけでなく、音楽や歌声、ビジュアルを活用して、主人公の過去や環境、逃れられなさ、息苦しさのようなものを、“体感”していただける作品にしたいと思っています。今回は、身体表現を多く取り入れようと思い、アンサンブルとしてダンスに長けた方々に参加していただきました」と構想を明かし、「本作はある意味、皆さんの想像を裏切るように“ジャンプ”したものになると思います」とアピールした。

浦井健治(左)と小池徹平(右)。

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本格的な稽古に入る前には、楽曲の創作を主としたワークショップが行われ、キャストも参加したという。浦井は「『デスノート THE MUSICAL』でもお世話になったジェイソンさんは、役の心情や、役が物語の中でどう変化していくかを、音の中で表現してくださる作曲家。みんなが時間をかけて作品を作ることを楽しんでいて、創作の豊かさを感じています」とカンパニーの熱量の高さを伝える。また浦井は「原作から、家族とは時間を共に過ごしたこと、というメッセージを感じましたが、このカンパニーも家族のようだと感じます。いろいろな作品で切磋琢磨してきた皆さんと一緒に制作できることを、幸せに感じております」と思いを語る。

アルファベット1文字の役が続くという小池徹平(右)の発見に、破顔する浦井健治(左)。

アルファベット1文字の役が続くという小池徹平(右)の発見に、破顔する浦井健治(左)。[拡大]

浦井と小池は「デスノート THE MUSICAL」以来、約8年ぶりの共演となる。小池は「健ちゃんは見た目は(若いまま)変わらないのに、演じる役はどんどんチャレンジングになっていく。今回健ちゃんは観客の皆さんと一緒に物語を旅する難しそうな役どころですが、健ちゃんだったらいろいろな目線からアプローチできるはず」と信頼を寄せ、浦井は「プレッシャーです」とはにかむ。さらに小池は「健ちゃんと共演するとき、(自身は)アルファベットの役名が続くなって。『デスノート』のときは“L”で、今回は“X”と呼ばれる役。これも何かの縁かな」と発見を語り、会場を沸かせた。

濱田めぐみ

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濱田は「オリジナルミュージカルを作るときは大抵、キャスト・スタッフがお稽古場に持ってくる作品のイメージがそれぞれ違うんです。その違いを集めて、ほぐし、混ぜて、1つにしていく作業はなかなか大変ですが、“作っては壊す”を繰り返しながらだんだん“次元”が上がっていく、その経過が好きで。今回も、皆さんにお届けする日にどうなっているか、とても楽しみです」と声を弾ませた。

鹿賀丈史

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鹿賀は「ホリプロのオリジナルミュージカルに出演するのは『シラノ』『デスノート』『生きる』に続き4本目なので、格別な思いがあります。今回は、小見浦憲男という犯罪者と、小菅というボクシングジムの会長の2役を演じます。どちらもXの正体を探る中でのキーパーソンですが、2人はまったくの別人。各ナンバーの歌い方をどうするか考えながら楽しみにしています」と気合いを語る。

共演回数の多さを語るソニン(右)と頷く小池徹平(左)。

共演回数の多さを語るソニン(右)と頷く小池徹平(左)。[拡大]

ソニンは「原作を読んだとき、自分のアイデンティティに悩む主人公に自分を重ねてしまい、この作品に携わることで、私に何か起こるかもしれないという直感を得ました」と語り、「小池徹平とは『またか!』と思うくらい共演していて信頼を置いているので、夫婦役と聞いたとき、(2人で)いるだけで成立するなと思いました」と自信を見せた。

知念里奈

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知念は「夫(井上芳雄)が浦井くんとすごく仲良くさせていただいているので、浦井くんの妻役をやると伝えたときは複雑そうな顔をしていて(笑)。私もちょっと気まずいなと感じたのですが、今日こうして素敵な皆さんとお会いして、そんなことは気にせずにしっかり役目を果たそう!と思いました」と朗らかに話し、会場は笑いに包まれた。

上原理生

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上原は「ワークショップで共演者の方々の名前を知り、『このメンバーの中にいさせてもらえるのん?』とびっくりしました(笑)。ワークショップでは、ジェイソンが『今朝できたよ』とできたてほやほやの曲を持ってきてくれた。これからどんな作品になっていくかワクワクしています」と期待を語った。

上川一哉

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上川は、38歳で同学年の上原に目配せしながら「このメンバーの中では僕と(上原)理生くんが一番年下なので、お兄様・お姉様方に甘えながら精一杯がんばりたい」と述べて場を和ませ、「めぐさん(濱田)と共演するのは劇団四季退団後初になるので、背中を追ってきた先輩からいろいろ経験させていただこうと思います」と話した。

公演は8月4日から17日まで東京・東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)、23・24日に広島・広島文化学園HBGホール、30・31日に愛知・東海市芸術劇場 大ホール、9月6・7日に福岡・福岡市民ホール 大ホール、12日から15日まで大阪・SkyシアターMBSで行われる。

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ミュージカル「ある男」

2025年8月4日(月)〜17日(日)
東京都 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

2025年8月23日(土)・24日(日)
広島県 広島文化学園HBGホール

2025年8月30日(土)・31日(日)
愛知県 東海市芸術劇場 大ホール

2025年9月6日(土)・7日(日)
福岡県 福岡市民ホール 大ホール

2025年9月12日(金)〜15日(月・祝)
大阪府 SkyシアターMBS

スタッフ

音楽:ジェイソン・ハウランド
脚本・演出:瀬戸山美咲
歌詞:高橋知伽江

出演

城戸章良:浦井健治
ある男・X:小池徹平
後藤美涼:濱田めぐみ
谷口里枝:ソニン
谷口恭一:上原理生
谷口大祐:上川一哉
城戸香織:知念里奈
小見浦憲男 / 小菅:鹿賀丈史
碓井菜央 / 宮河愛一郎 / 青山瑠里 / 上條駿 / 工藤広夢 / 小島亜莉沙 / 咲良 / 俵和也 / 増山航平 / 安福毅

公演・舞台情報

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chikae.t @chikae_ta

作詞を担当しています。夏の開幕に向けて産みの苦しみはまだ続きます。オリジナルミュージカル創作は『たのぐるしい(楽苦しい』日々です。 https://t.co/d6XzYxDuDc

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