新国バレエ団、ウィル・タケット振付の「くるみ割り人形」に吉田都「明るく楽しいカラフルな作品に」

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「新国立劇場 舞踊 2025 / 2026シーズン ラインアップ説明会」が本日2月13日に東京・新国立劇場で行われ、舞踊芸術監督の吉田都が登壇した。

吉田都

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吉田は、来シーズンではバレエ作品が6つ、ダンス作品が3つ上演されることを発表。シーズンの幕開けとなるフレデリック・アシュトン振付「シンデレラ」が、2022年にも新国立劇場バレエ団で上演されたことに触れつつ、「来シーズンでは、新しいメンバーにもアシュトンの作品を経験してもらいたい」と瞳を輝かせる。続いて、12月に小劇場で日本初演される伊藤郁女の「ロボット、私の永遠の愛」に言及。吉田は「伊藤さんは、フランスを拠点に活動していらっしゃる振付家・ダンサー。『ロボット、私の永遠の愛』は彼女の自伝的作品で、私も生で拝見するのは今回が初めてなので楽しみにしています」と微笑んだ。

カメラマンより「今年一番の笑顔で!」と声をかけられ、ニコリと笑う吉田都。

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そして12月から来年1月にかけては、ウィル・タケットの振付で新制作される「くるみ割り人形」がお披露目される。吉田は、2023年に上演された「シェイクスピア・ダブルビル」より「マクベス」をタケットが手がけていたことに触れつつ、「(ダークな雰囲気だった)『マクベス』をイメージすると『くるみ割り人形』はどうなってしまうんだ、と思われるかもしれませんが(笑)、ウィルさんには『家族みんなで楽しめるような、明るく楽しいカラフルな作品にしてください』とお願いしていますし、彼も『楽しい夢のような作品にしたい』とおっしゃっています。とても音楽的な振付をしてくれると期待しています」とコメント。記者から、新制作のきっかけを問われると「毎年上演しておりますので、リフレッシュしたいという思いもありました。あと、(これまで上演してきた)ウエイン・イーグリング振付の『くるみ』は難しすぎます(笑)。その難しさにより、ダンサーたちの身体は強くなったとは思いますが、負担が大きいことには代わりありません。ですので、ダンサーの身体を考えて、という意味もあります」と明かした。

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2月に上演される「バレエ・コフレ2026」と題したトリプルビルには、デヴィッド・ドウソン振付の「A Million Kisses to my Skin」、ハンス・ファン・マーネン振付の「ファイヴ・タンゴ」、そしてジョージ・バランシン振付の「テーマとヴァリエーション」が並んだ。なお「ファイヴ・タンゴ」は新制作となる。吉田は「『A Million Kisses to my Skin』は、2023年にも上演し、デヴィッドさんからご指導いただきました。そのとき、振付家に直接教わることがいかにダンサーたちの成長につながるか、ということを痛感いたしましたので、今回もデヴィッドさんにお越しいただく予定です。『ファイヴ・タンゴ』は、私も好きな作品で、今回日本で上演できることをうれしく思っています。ハンスさんにもお越しいただきたかったのですが、先週お話ししたとき『僕は93歳だから、ちょっと日本は遠いなあ』と(笑)。『テーマとヴァリエーション』も、何度も新国立劇場バレエ団で上演している作品ですが、今回はフレッシュなキャストになります」とそれぞれに触れた。

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3月上演のケネス・マクミラン振付「マノン」は、コロナ禍で中止になった演目。吉田は「衣裳やセットは、傷むことを心配して、なかなか貸し出していただけないものですが、今回はロイヤル・バレエ団から一式お借りできることになりました」と笑顔を見せる。同じく3月上演の「フレンズ・オブ・フォーサイス」は、ウィリアム・フォーサイスが新進気鋭のアーティストと協働するショーケース作品で、日本初演となる。この演目について吉田は「違うジャンルのダンサーたちが、異なる身体を通じてお互いを受け入れ、いかに進化させていけるかという、実験的なショーケースになりそうです」と期待を寄せた。

4月に上演されるのは、牧阿佐美演出・改訂振付の「ライモンダ」。吉田は「ロンドンに持って行きたかったのは、実は『ライモンダ』でした。近年上演が難しくなっていますが、とても素敵な作品」と魅力を語る。さらに6月に「白鳥の湖」が上演されることと、その前月にエデュケーショナル・プログラム「白鳥の湖」が開催されることについて、吉田は「(エデュケーショナル・プログラムは)昨年、初めての試みとしてやってみましたが、お子様だけではなく、バレエ初心者の大人の方にも向けた、参加型のプログラムです。このプログラムを踏まえて、『白鳥の湖』を楽しんでいただければ」と思いを述べる。

7月には、宝満直也振付「ストリング・サーガ(仮題)」、ジェシカ・ラング振付「暗やみから解き放たれて」がダブルビルとして上演され、昨年初演された「こどものためのバレエ劇場『人魚姫~ある少女の物語~』」が披露される。吉田は「ストリング・サーガ(仮題)」について、宝満が新国立劇場バレエ団出身であることから「満を持して、宝満さんに作品を依頼できてうれしい。久石譲さんの音楽を使った、日本的な作品になりそうです」と言葉に力を込めた。

新国立劇場バレエ団のダンサーが、2025 / 2026シーズンに出演する公演は合計76回。これは過去最多となる。吉田は、公演数の増加を「バレエ団にとっても、劇場にとっても良いこと。本番を重ねるごとに、ダンサーたちが成長している実感があるので、ますますいろんなチャレンジができるのでは」とコメント。また前シーズンとなる2024 / 2025シーズンにスタートした、バレエになじみのない子供たちへの招待企画をはじめとする、企業と協働で行った社会貢献活動については「新国立劇場の使命として続けていきたい」と思いを述べた。来シーズンの目標として「ダンサーたちの自主性を呼び覚ましたい。“指示待ち”では成長しないので、自ら研究し、表現する姿勢を持ってほしい」と語り、「先ほど(3月上演の『バレエ・コフレ』より)『スリル』と『エチュード』のリハーサルがあったのですが、まだまだ理想には遠いなと。基礎がないとできない作品ですので、ダンサーたちもどれだけ自分たちに基礎がなかったかを実感していることと思います。彼らがここで成長し、次につなげることを、とても楽しみにしています」と厳しさと愛情を兼ねそろえた言葉で、ラインナップの説明を締めくくった。

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新国立劇場 2025 / 2026シーズン バレエ&ダンスラインアップ

新国立劇場バレエ団「シンデレラ」

2025年10月17日(金)~26日(日)
東京都 新国立劇場 オペラパレス
※北海道公演あり。

振付:フレデリック・アシュトン
監修・演出:ウェンディ・エリス・サムス、マリン・ソワーズ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
指揮:マルク・ルロワ=カラタユード、冨田実里
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

伊藤郁女「ロボット、私の永遠の愛」

2025年12月5日(金)~7日(日)
新国立劇場 小劇場

演出・振付・テキスト:伊藤郁女
音楽:ジョアン・カンボン
出演:伊藤郁女

新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形〈新制作〉」

2025年12月19日(金)~2026年1月4日(日)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

振付:ウィル・タケット(レフ・イワーノフ原振付による)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
指揮:マーティン・イェーツ、冨田実里
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

新国立劇場バレエ団「『バレエ・コフレ2026』A Million Kisses to my Skin / ファイヴ・タンゴ〈新制作〉/ テーマとヴァリエーション」

2026年2月6日(金)~8日(日)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

指揮:冨田実里
管弦楽:東京交響楽団

「A Million Kisses to my Skin」

振付:デヴィッド・ドウソン
音楽:ヨハン・ゼバスティアン・バッハ

「ファイヴ・タンゴ」

振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:アストル・ピアソラ

「テーマとヴァリエーション」

振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

新国立劇場バレエ団「マノン」

2026年3月19日(木)~22日(日)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
指揮:マーティン・イェーツ
管弦楽:東京交響楽団

「フレンズ・オブ・フォーサイス〈日本初演〉」

2026年3月25日(水)~29日(日)
新国立劇場 小劇場

企画:ウィリアム・フォーサイス、ラフ・“ラバーレッグズ”・ヤシット
振付:ウィリアム・フォーサイス、ラフ・“ラバーレッグズ”・ヤシット、レックス・イシモト、ライリー・ワッツ、ブリゲル・ジョカ、JAコレクティブ(エイダン・カーベリー、ジョーダン・ジョンソン)
出演:ラフ・“ラバーレッグズ”・ヤシット、レックス・イシモト、ライリー・ワッツ、ブリゲル・ジョカ、エイダン・カーベリー、ジョーダン・ジョンソン

新国立劇場バレエ団「ライモンダ」

2026年4月25日(土)~5月3日(日・祝)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

振付:マリウス・プティパ
演出・改訂振付:牧阿佐美
音楽:アレクサンドル・スピナテッリ
指揮:冨田実里
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

こどものためのバレエ劇場2026 エデュケーショナル・プログラム「白鳥の湖」

2026年5月6日(水・祝)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

プロダクション原案:マリオン・テイト

新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」

2026年6月5日(金)~14日(日)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、ピーター・ライト
演出:ピーター・ライト、ガリーナ・サムソワ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
指揮:冨田実里 ほか
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

新国立劇場バレエ団 ダブル・ビル「ストリング・サーガ(仮題)〈新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演〉/ 暗やみから解き放たれて」

2026年7月3日(金)~5日(日)
東京都 新国立劇場 中劇場

「ストリング・サーガ(仮題)」

振付:宝満直也
音楽:久石譲

「暗やみから解き放たれて」

振付:ジェシカ・ラング
音楽:オーラヴル・アルナルズ、ニルス・フラーム、ジョン・メトカーフ

こどものためのバレエ劇場 2024「人魚姫~ある少女の物語~」

2026年7月23日(木)~27日(月)
東京都 新国立劇場 オペラパレス

演出・振付:貝川鐵夫
音楽:C.ドビュッシー、J.マスネ ほか

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