松竹大谷図書館のクラウドファンディング第13弾が、本日9月3日から10月23日23:00までクラウドファンディングサイト・READYFORにて実施される。
松竹大谷図書館は、1958年に開館した演劇・映画専門の私立図書館。歌舞伎や新派、ミュージカルなどのプログラムや台本、映画シナリオ、パンフレット、ポスターといった50万点以上の資料を所蔵し、無料で一般公開している。
今回のクラウドファンディングでは、図書館の資料保存の要となる電動移動書架のモーター交換費と、“北條秀司スクラップブック”の保存費用などを募る。このスクラップブックは、「王将」「太夫さん」「狐狸狐狸ばなし」などを手がけた劇作家・北條秀司が作品の上演ごとに作成し、1983年に同館へ寄贈したもの。これまで北條作品の研究に役立てられてきたが、経年劣化で保存状態が悪化しているという。
クラウドファンディングの目標金額は300万円で、一口あたりの設定金額は3000円から30万円までの7種類。支援のリターンとしてオリジナルシールや文庫本カバーなどが用意される。また11月には関連企画として、東京・新橋演舞場にて開催されるトークショー「劇作家・北條秀司、その作品の魅力を語る」を開催。トークショーには劇団新派の
波乃は、“北條秀司スクラップブック”について「取材メモや新聞の切り抜きなども整理されているそうで、先生の戯曲作りの裏側を知る貴重な資料。あの大きな体で、とても細やかでマメな方だったのですね(笑)」と述べ、「松竹大谷図書館さんは刊行された出版物だけではなく、先生の戯曲作りの裏側までをも知ることができる貴重な資料を整理、修復されて、後世に残すことに尽力されています。ぜひ、一人でも多くの方に知っていただければ幸いでございます」と呼びかけた。
さらに関連企画展示として、「初展示!劇作家・北條秀司の貴重資料たち」が、10月30日まで松竹大谷図書館 閲覧室で開催されている。同企画では、北條のスクラップブックの一部が初展示されるほか、北條の自筆原稿や色紙、演劇・映画台本などが用意される。
波乃久里子コメント
北條先生はすごい先生でした。
台詞のひとつひとつ、戯曲の隅々まで神経が行き届いていて、あの大きな作品が形作られているのです。
だから、現場では怖い先生でした。
その世界に生きていない役者の動きがすぐわかるんです。
そこには、徹底的に調べつくされた裏打ちがあってのこと。
花柳章太郎先生に請われてお書きになられた「太夫さん」では、舞台となる京都島原の廓に居付くように通われて、それこそ太夫たちが寝起きする屋根裏部屋まで取材されて、作品に息を吹き込まれたそう。完成までに三年をかける力の入れようですから、それは素晴らしい作品になるわけです。
この度、松竹大谷図書館の方よりトークショーのお誘いを受けました。
松竹大谷図書館さんには先生がご自身でまとめられた「北條秀司スクラップブック」という資料があるそうです。取材メモや新聞の切り抜きなども整理されているそうで、先生の戯曲作りの裏側を知る貴重な資料。あの大きな体で、とても細やかでマメな方だったのですね(笑)。
そんな北條先生のお話を、12月に新派の子「さろん・ど・まろん」で朗読として「太夫さん」を演る前に、演出の齋藤雅文さんとご一緒にさせていただきます。
昨年も演らせていただいた「太夫さん」。言葉だけで表現する朗読の難しさを感じながら、北條先生のホンの緻密さに読む度、驚いております。
私たち役者は演じることで作品に息を吹き込み、結果として先生の素晴らしい作品を後世に残すお手伝いができればと思っております。
松竹大谷図書館さんは刊行された出版物だけではなく、先生の戯曲作りの裏側までをも知ることができる貴重な資料を整理、修復されて、後世に残すことに尽力されています。
ぜひ、一人でも多くの方に知っていただければ幸いでございます。
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