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2002年に劇団道学先生で初演された「無頼の女房」は、2019年に死去した劇団道学先生の
「無頼の女房」で描かれるのは、小説家の坂口安吾とその妻・三千代をモデルにした塚口圭吾・やす代夫妻を軸にした物語。本多劇場のステージ上には、戦後間もない頃に圭吾たちが暮らしていた、古めかしくも、豪勢な木造の邸宅が鎮座している。舞台下手に配置された玄関からは塚口家を訪れる人々がひっきりなしに出入りし、彼らは舞台中央のリビングへ来ては、圭吾と彼の大好物である酒を飲みながら会話を交わす。リビング横には2階へと続く階段があり、舞台奥に設置された窓からはニワトリが住む庭が見える。
酒と薬物に溺れ、精神が高揚した圭吾は、ことあるごとに2階から庭へ飛び降り、鼻血を出しながらリビングへ戻って来る。その姿を周囲の人々が心配そうに見守るというのが、「無頼の女房」の劇中で繰り返される印象的なシーンだ。
圭吾役の塚原は、丈の長い赤いはんてんをまとい、丸めがねをかけ、文豪然とした佇まいで登場。傍若無人な振る舞いをしながらも、実は繊細な圭吾の心情の揺れ動きを、塚原は表情の変化一つひとつににじませながら表現した。
浅野が演じるやす代は、普段は大らかであっけらかんとした性格の人物。一方で重要な決断を下す際には、圭吾をしのぐような破天荒さを発揮し、猪突猛進する一面もある。そんなやす代を、浅野はかわいらしく、そして胆力のある女性として立ち上げた。
絶妙なバランスで成り立っている塚口夫妻を囲むのは、圭吾といがみ合うニヒルな小説家・豊臣治(土屋)や、塚口家に集まる人々の橋渡し役を担う小説家の谷雄一(久保)といった個性豊かなキャラクターたち。文学を心から敬愛するが故に苦悩する圭吾や豊臣ら作家陣のセリフには、自身も作家である中島が心血を注いで執筆した思いが表れている。そんな、圭吾ら作家たちが破滅へ向かう様子を描くシリアスな場面がありつつ、中島作品らしいユーモアたっぷりなシーンも随所にちりばめられている。中でも佐藤、泉、渡邊扮する圭吾の担当編集者たちや、かんの演じる女中の多喜子らがテンポの良い会話を繰り広げ、物語を盛り上げた。
開幕に際し、ゴツプロ!主宰の塚原は「初演から22年経った今でも全く色褪せない中島淳彦さんの傑作です」「何が文学だ! 物書きなんてみんな変人だ!となかなか理解し難い作家たちの破天荒な日常を、役者たちの熱量とユーモアで、観るものを笑わせます。良いじゃないかだらしながなくて、良いじゃないか滑稽で、一生懸命に生きる人間達が愛おしい。老若男女問わず楽しんで頂ける作品となりました。皆様のご来場を心よりお待ちしてます」とコメントした。
上演時間は休憩なしの約2時間。東京公演は6月16日まで行われ、その後、7月6日に福岡・大牟田文化会館 小ホールで上演される。
ステージナタリーでは、ゴツプロ!版「無頼の女房」の特集を展開中。特集では、ゴツプロ!主宰の塚原、本作の演出を手がける青山、「無頼の女房」に出演経験のある佐藤B作が、中島作品の魅力について語っている。塚原大助コメント
ゴツプロ!版「無頼の女房」がいよいよ開幕します。劇団道学先生の初演から22年経った今でも全く色褪せない中島淳彦さんの傑作です。
坂口安吾とその妻三千代をモデルにした今作。自身の人生をそのまま文学として生きた男・塚口圭吾と、それを支えた妻やす代、塚口に翻弄される編集者たちに、太宰治をモデルにした豊臣治や、檀一雄をモデルにした谷雄一なる人物も登場し、それはそれは賑やかだ。
何が文学だ! 物書きなんてみんな変人だ!となかなか理解し難い作家たちの破天荒な日常を、役者たちの熱量とユーモアで、観るものを笑わせます。良いじゃないかだらしながなくて、良いじゃないか滑稽で、一生懸命に生きる人間達が愛おしい。
老若男女問わず楽しんで頂ける作品となりました。皆様のご来場を心よりお待ちしてます。
ゴツプロ! 第9回公演「無頼の女房」
2024年6月6日(木)〜16日(日) ※公演終了
東京都 本多劇場
2024年7月6日(土) ※公演終了
福岡県 大牟田文化会館 小ホール
スタッフ
出演
※大分公演(貸切)あり。
塚原大助DaisukeTsukahara @daisuke52pro
#ゴツプロ !『 #無頼の女房 』
初日、お客様の笑い声と温かな拍手に囲まれ、これまでの時間がスッと上空に昇華された気分でした。Xへの沢山の感想も投稿して頂きありがとうございます。
公演は16日(日)まで続きます。
ご予約心よりお待ちしてます。
【詳細はこちらから】
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