「新生!熱血ブラバン少女。」は、2017年に上演された「熱血!ブラバン少女。」をモチーフにした新作。作劇を「熱血!ブラバン少女。」に続き
幕が上がると、舞台上に鎮座したブラスバンドが華やかな音楽を奏でる。そこは3年前、とある高校吹奏楽部の演奏に魅了された葵(鈴木)が、その高校に入るため、福岡に移り住むことを決めた瞬間だった。壮大な音楽と共に盆が回ると、福岡のにぎやかな居酒屋の風景が広がり、観客を物語の世界へと引き込んだ。
華丸扮する城門輝勝は、葵が入学した西北女子学園吹奏楽部の立て直しを任されたコーチ。実はスポーツ専門のメンタルコーチである城門は、音楽について門外漢だが、独自の信念とやり方で潔く生徒を導き、それぞれが抱える問題を解決していく。劇中では、音楽面で城門を支える、葵の母でピアノ講師の凜々子(紅)、生徒の親たち、教育者らが城門を中心に集い、彼らの思いが温かみをもって交錯する。
華丸は、過去の苦い経験から、生徒と距離を保ちながら指導しようとする城門の葛藤を、繊細に造形。コーチたる精悍さを見せながらも、生徒たちが部活動を通して成長する姿に感化されるかのように、その表情には柔らかさと熱が帯びていった。紅は華丸との掛け合いに漫才師のようなテンポ感で応じ、大きな身振り手振りで観客の笑いを誘う。鈴木は空気を読みながらも周囲に関わっていく葵の優しさと積極性を両立させた。舞台上では精華女子高等学校吹奏楽部による生演奏が要所で織り込まれる。生演奏の存在感は物語を底上げし、まるで舞台と演奏会を一度に味わったかのような、豊かな余韻を残した。
囲み取材では華丸をはじめとする出演者が登壇。華丸は「“新生!”の文字通り、新しく生まれ変わり、スケールも大きく、見応えのある芝居になりました。普段は明太子を有名にする“めんたいコーチ”ですが、今回はメンタルコーチ。いかに説得力をもってセリフを伝えられるかに注力していますので、そこを見てもらえたら」と自信をのぞかせる。
相手役を務める紅は、華丸について「びっくりするような芝居を私がしても、動じずにいてくださる(笑)」と言い、記者から、母親役で元男役の素養をどう生かせたかと問われると、「『ああこれか』とわかってくださるような部分があります。やりすぎないようにしていますが、宝塚歌劇団出身の男役でないとできないテイストに仕上がったのではないかなと」と期待をあおった。
鈴木は初めての博多座出演に「すごく素敵な劇場で、立たせていただけることに興奮が止まりません。精華女子高等学校の皆さん、カンパニーの皆さんとで素敵なハーモニーを奏でられるようがんばります」を笑顔を見せる。
前作「熱血!ブラバン少女。」にも出演した星野は、「前回にも増して、飛び道具的な役割を持たされているなと(笑)。舞台稽古をしていると、前作より難しいことをやろうとしているんだと気付かされますが、華丸さんが7年前から変わらない様子で引っ張ってくださるので、安心感があります」と明かす。星野同様、前作より引き続きの出演となる宇梶は「今回も華丸さん演じる主人公と火花を散らす役です。皆さんに観ていただきたい心温まる物語、聴いていただきたい素晴らしい音楽、知らずに心のふたが開いて涙があふれます」と説明した。
浅野は、今回初めて“華丸組”に参加することを喜び、「精華(女子高等学校)の皆さんの演奏はすばらしく、また、出演者も俳優という職業であるにもかかわらず楽器をたくさん練習してきました。博多座は音が良い劇場だと評判です。音の良い劇場で素晴らしい演奏を楽しんでいただける作品。最後には華丸さんの素敵な姿もお目にかかれます。お楽しみに」と見どころを語った。
最後に華丸が、本作が博多座25周年記念作品を銘打つ作品であることについて触れ、「私自身、アタック25のモノマネで今日に至るので、“25”には縁がある。自信を持って、観に来たことに後悔なく、観に行かなかったことに後悔させる作品になっています。劇場でお待ちしております!」と来場を呼びかけた。
上演時間は約3時間15分。福岡公演は4月21日まで。その後、26日から28日まで大阪・新歌舞伎座でも上演される。
なお、ステージナタリーでは華丸、紅、鈴木が作品と博多座への思いを語る特集記事を展開中。関連する特集・インタビュー
新生!熱血ブラバン少女。
2024年4月6日(土)~2024年4月21日(日) ※公演終了
福岡県 博多座
2024年4月26日(金)~2024年4月28日(日) ※公演終了
大阪府 新歌舞伎座
スタッフ
出演
※柴崎凛々子の「崎」は立つ崎が正式表記。
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新歌舞伎座(公式) @shinkabukiza
『新生!熱血ブラバン少女。』
大阪公演📅4月26日(金)~4月28日(日)
📍#新歌舞伎座
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